第0.5話 《****》
初っ端からシリアスですね……⁉︎
まぁ、よろしくね〜☆
薄暗い地中深くに存在する、地下神殿。
何かから隠れるように存在する、その場所の聖堂で……黒いフードを被った彼らは言葉を交わしていた。
「………〝召喚師〟を拾いに行った使い魔が、何者かの手によって死んだな」
使い魔と繋がっていた契約が切れたことに気づいた屈強な男が、壁際に背を預けながらぽつりと呟く。
長椅子に座りながら剣の手入れをしていた男はそれを聞いて、手を止めた。
「……………おや。〝予知者〟の言葉では、召喚師は人のいない森に捨てられたと聞いていたのだが? 召喚師が殺したのかな?」
「…………いや。召喚師ではないだろう。流石に、赤子に殺されるほどオレの使い魔は弱くない」
「ふぅん。なら、誰かな……我々の邪魔をしたのは」
ぞくりっーー。
フードで顔は見えないというのに、剣を持った男の声は酷く冷たく恐怖を覚える。
壁際にいた男はビクリッと身体を震わせた。
……それに目敏く気づいた彼は、大袈裟に肩を竦める。
「おっとごめんよ? 怖がらせちゃったかな、〝獣使い〟君」
「……………気にするな、〝団長〟殿」
「ふふっ……でも、困ったものだね。予知者には、〝あくまでも数ある未来の可能性の一つを予知することができない。絶対そうなるとは言えない〟って忠告されていたのに……まさか、最初っから頓挫するなんてね」
言葉では困っていると言っていても……団長と呼ばれた男の声は、実際に困っている様子はない。
それどころか……計画を頓挫した者に対する怒りを押し殺すような声音は、聞いている者を恐れさせるだろう。
現に……獣使いは、団長を恐れていた。
ある程度の高みにいるという自負を持つ獣使いであれど、目の前にいる男は底が知れない。
ーーーー深い、深い……深淵を思わせる男なのだ。
獣使いは、そんな男が敵でないことに……心の底から安堵しつつ……。
その反面、この男の怒りを買ったであろう何者かに……ほんの少しだけ同情を覚えた。
「さて……予知者にまた予知してもらわなきゃいけないな。召喚師は……我々の計画に必要不可欠な存在なんだから、ね?」