第26話 眠り姫が目覚める時、会議の大部分は終わっていた
解説は後書きにて☆
それでは、今後とも〜よろしくねっ!(*´∇`*)
《邪神兵団》ーー。
彼らの目的は精霊王の殺害。つまりは、世界の滅亡。
そんな危険な人達が王都に現れたら、王様とか偉い人達が対策会議をするのは当然だよね。
だから、今日の会議は《邪神兵団》について話し合うために行われたらしい。
……となると、彼らの目的である私が参加するのは当然で。
だけど、よく寝ていたから起こさずにいてくれたんだとか。
……。
…………。
………………。
…………いや、ルイ君……? ここは無理にでも起こすところじゃないかな……?
「ここには子供を無理に起こすような禄でもない大人はいないはずだから、いいんだよ」
にっこり。
ルイ君がサラッと私の心の声を読んでそう告げるものだから、思わずドキッとする。
だけど、私は思いっきり顔を横に振った。
「いやいやいや。あいてはおーさまなんでしょう? なら、ダメなのでは?」
「ふふふっ。駄目じゃないよ? アリエスに文句を言う人がいたら、ボクが許さないから」
「…………」
クスクス、クスクス。
ルイ君スマイルから若干、物騒な気配を感じ取りました。
…………え? 何? 私が寝ている間になんかあったの?
というかこれ、怒っているというヤツなのでは?
「…………あの……いいだろうか?」
……ぽつりっ。
とっても小さな声で一番上座に座っていた人……ちゃんと名前を聞いてはいないけど、(多分)王様が恐る恐る質問してきた。
「…………何?」
ルイ君は嫌そうな顔を隠そうとせずに、王様に顔を向ける。
ル、ルイくーん!? 相手は王様だよっ!?
そんな態度取って大丈夫なの!?!?
「………あの、説明を……」
にっこり。(←素晴らしいくらいのルイ君スマイル)
「……あぁ、うん。分かった。説明しなくていい」
おぉう……笑顔だけで黙らせたよ……。
王様は死んだ魚のような目をしながら、胃の辺りをさする。
な、なんだろう……なんか苦労人オーラが見えるよ!?
大丈夫なの、この人!? 胃痛が凄そうだよ!?
「大丈夫だよ。あんまり必要ない部分の説明だし。もう話の大部分は終わってるんだ」
「……そうなの?」
「うん。アリエスはこれまで通り、ボクと暮らすだけでいいんだ。誰に何を言われようと、国に逆らうことになろうとも。絶対、アリエスを手離さないよ」
「…………う?」
それを聞いた私は首を傾げる。
だって……その言い方はまるで……。
……………この人達に私とルイ君が離れるように言われたみたいじゃない?
……。
…………。
「……………うっ…うぅぅぅぅっ……!」
ーーぽたりっ。
私の頬をポロポロと熱い雫が伝っていく。
ルイ君は私が泣き出したのを見て……目を大きく見開いてギョッとした。
「ア、アリエス!? ちょっ……どうしたの!?」
「やぁ……ヤダヤダヤダヤダヤダ! ルイ君とはなれるの、やぁっ!」
私は思いっきり彼の首に腕を回して、離さないと言わんばかりに強く抱き締める。
だって、思わず想像しちゃったんだもん。
ルイ君と離れ離れになるの。
そうしたら胸がキュウッと痛くなって。凄く悲しくなって。
…………勝手に涙が溢れてきた。
まさか……いきなり涙が出てくるとは思わなかったけど、それぐらいルイ君と離れるのが嫌だ。
想像しちゃったけど、二度と想像したくないぐらいに嫌。
私は唸りながら、彼の首筋に顔を擦り付ける。
すると……ルイ君はちょっと困ったような手つきで、優しく背中を撫で始めた。
「アリエス。本当に大丈夫なんだよ? 離れて暮らさなくていいって陛下が言ってくれたから。だから、泣かないで? ね?」
私は涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げて……至近距離で彼の顔を見ながら首を傾げる。
「ほ、ほんとぅ……?」
「うん、本当。だから、泣き止んで? そんなに泣いたらお目々が溶けちゃうよ」
「うぅむ……」
ルイ君は軍服の袖で私の目尻と頬っぺたを拭う。
ちょっと拭き方が雑だけど……拭いてくれるのが嬉しくて頬が緩む。
それでやっと涙が止まったからか……ルイ君はホッとした様子で微笑む。
そして、チュッと優しく額にキスをしてくれた。
「でも……嬉しいな。アリエスがそんなにボクと離れ難いと思ってくれてるなんて」
「……そんなの、当たりまえ……でしょ?」
思わず、ムスッとしながら睨む。
だって……ルイ君は私の保護者だもん。
捨てられた私を拾ってくれた。
私を甘やかしてくれる。
この間も……《邪神兵団》に連れて行かれそうになった私を助けてくれた。
ルイ君なら……私を怖いモノから、守ってくれるって思える。
今、この世界で一番信頼できる人はルイ君だけなの。
だから、離れよう……離れたいなんて思わないよ。
「…………」
にっこり。
ルイ君は笑う。とっても……とーっても柔らかな顔で。
でも、なんかちょっと冷たーい雰囲気を感じて、背筋がゾワっとした。
私は……ちょっとビクつきながら、彼の名前を呼ぶ。
「……ルイ君?」
「……なんでもないよ? 問題ない、うん。こうなるのも分かってたから。うん。想定内、想定内」
……想定内? ………うん? 何が?
そんな私達の会話を見守っていたルイン様が、ルイ君を見ながらクスクスと笑う。
そんなルイン様に、彼はじろりとジト目を向けた。
「…………何」
「いやぁ? 前途多難だねぇ、ルイ?」
「兄様、煩い。いいんだよ、どうせ時間はたくさんあるし。少しずつ頑張るから」
「頑張れ?」
「………………ムカつく……」
不穏な空気を放つ兄弟に、私は頬を引き攣らせる。
怖いよぅ……纏う空気が凄い物騒だよぅ……。
そんな私と同じことを思ったのか……王様達もそっと目を逸らす。
なんとも言えない空気になった会議室の中ーー。
そんな空気を変えたのは、ルイ君だった。
「…………はぁ。まぁ、とにかく。話はこれで終わりってことでいい? 終わりなら、帰りたいんだけど」
「そうだね。これ以上、話すことなんてないからいいんじゃない? 俺も早く帰ってシエラに会いたい……」
「(あははははっ……凄い自由人だな……エクリュ侯爵家……)あぁ……帰ってもらって構わない。もうわたしの胃が限界だ……」
最後に小さな声で呟かれた王様の呟きに、私は思わず同情の視線を向けてしまった。
あっ……やっぱり胃痛が酷かったんですね……。
「いやいや。陛下は帰っていいと仰いましたが……今日お仕事があるんでしたら、きちんとお仕事に行きましょうね?」
ピタリッ。
ルイ君とルイン様は目を瞬かせ、他の人達は顔面蒼白気味で声の主人に顔を向ける。
そこにいるのは、中性的な金髪美人(多分、男性)さん。
ルイン様はそんな彼(?)を見て、肩を竦めた。
「相変わらず真面目だね、サリュ」
「こればかりは性分ですね。それに、シエラ様からお二人のことを任されておりますから」
「あっ、シエラが君にお願いしてたの? なら、真面目に頑張ろうっと」
サリュさんから魔法の言葉が出た瞬間に一気にやる気になるルイン様。
……すげぇ……流石(?)愛妻家……名前だけでなんとかなるとか……。
「後、先ほどの様子を見ますと……ルイ様とアリエス嬢は本日、一緒にいた方が良いかと思われます。なので、ルイ様の仕事をお休みにするか……アリエス嬢の同行を許可するかのどちらかと思われますが、如何いたしますか? 国王陛下、ガンマ総帥」
同行!? つまり、ルイ君のお仕事シーンが見れるってこと!?
目をキラキラさせながらルイ君を見つめると、彼は苦笑を零した。
「陛下。アリエスはどうやらボクの仕事に同行したいようです。よろしいでしょうか?」
「…………(今更敬語を使われても、なんか違和感があるな……)そうだな……わたしは構わないが……総帥が許すかどうか、だな」
全員の視線が厳つい顔のおじさん(総帥さん?)に向かう。
おじさんは忌々しそうに顔を歪めながらも、舌打ちをしながら答えた。
「好きにしろ。その娘が怪我をしても責任は取らん」
「はい、ありがとうございます。サリュ君もありがとう」
「いえいえ。気にしないでください、ルイ様」
…………この場にいる人達の紹介を受けてないから、誰が誰だか分からないけど……サリュ様は気遣いができる大人だと見た。
私もサリュ様に向かって、勢いよく頭を下げてお礼を言った。
「ありがとーございます!」
「どう致しまして。よろしければ、今度お話ししましょうね。勿論、ルイ様もご一緒に」
「はい!」
私は元気よく返事をする。
だけどルイ君は……困ったような顔をしながら、彼に話しかけた。
「サリュ君は大丈夫だって分かってるから、そんなに警戒しなくてもいいよ?」
「あはははっ、一応ですよ。我が身可愛さに貴方様に同席して欲しいんです」
「…………そう言うなら、それでいいけどね?」
……?
なんか私の分からないところで高度な会話がなされている……?
「では、本日の会議はこれにて閉会とする。皆、ご苦労だった」
そうして……会議は王様の挨拶で締めくくられ。
私達は、軍部へと向かうことになるのだった……。
ルイ君の想定内→自分に依存するようにしてるのは自覚あるけど、マジで保護者に対する感情しかなさそうなアリエスにちょっと落ち込み。「大丈夫。その内、恋愛感情にさせるから」
サリュ君→エクリュ侯爵家の溺愛ヤンデレを知ってるので、アリエスとお話しする時も気をつけます。「怨まれたくありませんので、そうならないようにルイ様にも同席していただきたい……」




