第22.5話 事後報告ほどタチの悪いモノはない。(3)
お馴染みの〜!
胃痛王子(王)様の登場です!
……なんでか苦労人ポジにしてしまうんですよ……。
まぁ、とにかく。よろしくどうぞっ☆
いつか、こんな日が来る気がしていた。
できることならば……わたしが王位についている時ではない方がよかったとは、思わずにいられない。
『急な念話、失礼するよ。クラーダ国王陛下。俺はルイン・エクリュ特務。唐突で悪いんだが……これから言う人を集めてくれるかな? 勿論、君も参加ね』
国王の執務室にてーー。
書類に目を通していたわたし、クラーダ・ニル・エディタは唐突に頭の中に響いた声に胃痛を覚えた。
相手は、ルイン・エクリュ特務。
クリストファー曾お祖父様の正妃である、ナナリー曾お祖母様の義父である方。
つまり、義理の曾々お祖父様に当たる方だ。
そして……今では、時代の流れと共に彼の方の凄さを信じている人が少なくなってきているが……わたし達エディタ王家には曾お祖父様から伝わる言葉があった。
〝エクリュ侯爵家に逆らうな。後、胃薬は常備しろ〟ーー。
…………これ、断ったらダメなパターンだよな……?
『断ってもいいけど、王都が滅ぶかもしれないよ?』
「直ちに招集します!」
断る以前に断るという選択肢がないパターンだったっっっ!
わたしの急な叫びに執務室にいた文官達は驚いた顔をするが、今はそれを気にしている余裕はない。
だが……。
『いや、実際に集まるのは明日でよろしく。今、お説教中だからさ』
意気込んだわたしの勢いを削ぐような言葉に、わたしは動きを止める。
というか、脱力した……。
…………あの、王都が滅ぶかもしれないのに集まるの明日なんだな……?
『それで、集めて欲しいのは……』
そうして……エクリュ特務は、若干思考が止まり気味なわたしに集めて欲しい人々の名を連ねるだけ連ねて、一方的に連絡を絶つ。
………あぁ、うん。
曾お祖父様、貴方の言葉に間違いはなかった。
「………………胃が、痛いな……」
わたしは翌日のことを考えて、思わず現実逃避したくなるのだった……。




