第12.5話 異なる世界からの願いを
調子悪い時って……何故か、更に不運が重なることがあるよね。
という訳で、更に体調が悪化しました。※貧血を起こしました。
体調が戻らないと頭が回らないので、しばらく(?)不定期になります。
お待ちして頂いてる皆様には申し訳ないけれど、ご了承ください!
それでは、短めだけどっ……よろしくどうぞ!
上も下も、右も左もない真っ暗な世界。
その男以外が存在しないその場所で、男はぽつりと呟いた。
「…………おっと、いけない。ついつい同調しすぎちゃったな」
閉じていた目を開けて、真紅の瞳にただ闇を映す。
そうすれば離れていた意識がはっきりと自分の元へと戻り……それと同時に自分の中に封印されたモノの声も明瞭に聞こえるようになった。
『ーーーー! ーーーーーーー!』
「なぁに? 力量差の所為でボクが彼を消してしまうかもしれないから……あまり同調しすぎるな? そんなの分かってるよ。だから、意識を戻したんじゃん」
『ーーーー!』
だが、その言い草が気に入らなかったのか……男の中のモノは文句を言い始める。
男はそれに、面倒くさそうに溜息を零した。
「いや……そんなに怒られても、ボクがヤバいのは君を封印してる所為だし。というか……なんだかんだと文句言って、君もあの子を見守りたがってるじゃん」
『ーーーー! ーーーーーー………』
「はいはい、その話は何度も聞いたから。反省してるから。だから、託して、今も見守ってるんだろう?」
『ーーーー!』
「そんなことを言われたって仕方ないし、どうしようもできないだろう? この世界では終わってしまったことなんだから」
男は笑う。
だが、その笑顔は柔らかなモノではない。
自嘲するような……何かを堪えるような。
歪んだ、笑み。
「神に近しい力を得たボクでさえも、零れ落ちた命を戻すことはできない。だから、まだ間に合う世界の……彼に託したんだ。ボクにできるのはただ……この場所から見守るだけ」
男は再度瞼を閉じて、脳裏に彼女の姿を映す。
そして……。
「そして……ここで、あの子が救われることを願うだけだ」
歪んだ笑みを浮かべながら、そう呟いた。




