表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/97

第11話 年齢トークは禁忌です。


明日は諸事情により、更新できないかもしれません!

待っていてくださる皆様には申し訳ないのですが、ご了承ください!


話の進みが遅くてごめんね!

今後ともよろしくどうぞっ(・ω・)ノ

 








 ランチを終えて、食後の休憩をした後ーー。




 私はシエラ様からこの世界の人達の暮らし(特に貴族のこと)を、セリナからはこの世界の文字や数字などを教えてもらった。



 貴族の方を重点的に教えてくれたのは、これからこの侯爵家のタウンハウスで暮らすから知っておいた方が良いだろうっていう理由と……ルイ君は基準が精霊寄りすぎて、こちらで暮らし始めてもまだ色々と疎いからなんだって。

 ……確かに。ルイ君はマイペースすぎて、貴族とか気にしなさそうだもんね。

 それに、前世と色々と違うから、教えてもらえるのは凄くありがたい。

 …………だけど、転生特典なのか元々のスペックが高いのか、前世で頭が良かったのか。

 何故か教わった内容が簡単に覚えられてしまったので……お勉強自体は二時間程度で終わってしまった。


 でも、まだ二時間。

 …………ルイ君は帰ってこない。




 あまりにも勉強が早く終わってしまった、時間を持て余すことになってしまった。

 いや、それ以前に何をして過ごせばいいか分からなかったと言いますか……。

 だって、居候(?)とはいえ人様のお家だよ?

 普通に考えて、勝手なことはできなくない?

 だけど、シエラ様はそんな私を見かねたのか……エクリュ侯爵家にある図書室(二部屋分の広さにびっちり本棚が並んでて、ぶっちゃけ学校の図書館みたいだった……)に案内してくれた。

 はっきり言います。



 びっくり仰天です。



 だって、本当に学校の図書室みたいだったんだもん!

 二部屋かそれ以上ありそうな広さに、ギッシリと本が詰まった本棚が沢山、窓ガラスがある方の壁と出入り口以外の壁際にも本棚が並んでて!

 本を飲むためのテーブルとイスも準備済み!

 一般家庭にこんなのあったら驚くから!

 いや、貴族でした! 貴族凄いねっ!?


「物語も歴史書も沢山あるから、好きに読んで頂戴ね」


 私はシエラ様の言葉に甘えて、そこでいろんな本を読むことにした。

 最初は子供が読むような簡単な絵本から。

 内容は……慈悲深き《精霊姫》のお話。








 病弱だった《精霊姫》には、有能な従者がいた。

 いつも優しく、病弱な彼女を支えてくれた彼。

 しかし、そんな彼には秘密があった。

 それは……他国の諜報員スパイ

 従者は、自身が仕えていた《精霊姫》を洗脳して利用して、彼女が暮らす国を滅茶苦茶にしようとしていたのだ……。


 …………。

 …………………(中略)。


 そうして、洗脳から解放された《精霊姫》は慈悲深い心で従者の国に移住し、その力で国を救い。

 死ぬまで、彼の国で暮らし続けた……。


 おしまい







 パタリと本を閉じて、私は大きく息を吐く。

 そして、思った。


「……………うん。これ、こどもが読むえほんのないよーじゃないな」

「それはそうよ。だって、《精霊姫》のイメージアップのために作られた本らしいもの」

「うひゃぁっ!?」


 ビクリッッ!

 驚きながら振り返ると、そこにいたのは「うひゃぁっ! とか、凄く可愛いわぁ〜♡」と言いながら、(若干のよだれを垂らしつつ)満面の笑みを浮かべるシェリー様。

 私はちょっと呆れるような息を吐いてから……頭を下げた。


「こんにちは、シェリーさま」

「こんにちは……いえ。ただいま、アリエスちゃん」

「………おかえり、なさい? どこかにお出かけしてたんですか?」

「えぇ。最有力婚約者候補君のお家にね」


 バチーンッ☆ とウィンクしたシェリー様曰く。

 どうやら私のアドバイス通りに自分よりちょっと強い&自分をちゃんと守ってくれる可能性が高い男の子の家に行き、改めてその性格やら何やら見定め……婚約を確定してきたらしい。

 とは言っても、(婚約者は好きに選びなさいという)父親の許可は得ているけど、ルイン様本人はお仕事だったため……正式な婚約式はまた後日。

 取り敢えず、時間帯が昼になってしまったから……向こうでランチをご馳走になってから帰ってきたみたい。

 成る程……だから、お昼にいなかったんだね。


「うふふっ。アリエスちゃんのおかげで、ちゃーんっと婚約者を選ぶことができたわ。あのままだったら、理想が高すぎて、ずっと婚約者ができなかったと思うもの。ありがとうね、アリエスちゃん」


 シェリー様は「ぐへへっ〜♡」と言いながら、私を抱っこして頬を擦り寄せてくる。

 …………めっちゃお肌モチモチですね……シミ一つないとは思ってましたが、まさかの柔肌触感。

 残念系美少女でも、容姿は超一流ということなのですね……(←中々に失礼なことを言ってる)。

 まぁ、とにかく……。


「お役にたてて、よかったです」

「えぇ。本当にありがとう」

「いえいえ。ところで……このえほん……」

「あぁ、《精霊姫》のイメージアップのこと?」

「はい」

「私も又聞き……というか、お母様から聞いた話なのだけどね?」


 そこから聞かされた内容は、ちょっと衝撃的でした。



 病弱(?)に加えて、異母姉の母親(つまり第一、第二夫人やらの)とかの問題で、領地で()()()()()()()()()》。

 でも、その時点で従者から薬物を使った洗脳を受けていて……正常な判断ができなくなっていた彼女は、よりにもよって、異母姉の夫に恋をして色々と面倒なことになる。

 その後、強力な精霊術師である《精霊姫》を囲いたい国の意向で王太子の婚約者になるが……従者に唆されて、なんかもう色々とやらかして隣国に逃亡。

 そして、戦争開幕。

 始まる前に力技で終わらせたらしいけど……国王達上層部の意向や、洗脳やら何やらの詳しい事情をを知らない平民達からしたら、《精霊姫》が戦争を起こして、最終的に隣国に逃げたよう(実際には追放に近いらしいけど?)に見えてしまった訳で……。

 まぁ、そんなこんなで《精霊姫》に対するイメージは大幅ダウンしてしまったから、だいぶ脚色した内容の絵本を作ることで、こういう理由があったんだよ〜と広めた……と。




「…………なんか。じゅーしゃさんに利用されたのはドンマイって感じですけど、なんかもう……いろいろと、アレですね……」

「本当、言葉を失うわよねぇ〜。ずーっと昔のこととはいえ、身内のことだから恥ずかしいわ〜」

「んぅ?」


 こてんっ。

 私はクエスチョンマークを飛ばしまくりながら、首を傾げる。

 …………身内の、こと? この絵本の内容が?

 つまり……。


「えっ!? この《精霊姫》はシェリーさまのみうちっ!?」

「そうよ〜? さっき言った異母姉……それがお母様よ?」

「ふぁっ!?」


 この絵本に出てくる《精霊姫》の異母姉がシエラ様っっ!? 嘘ぉっ!?

 あっ! でもっ、シェリー様が詳細を知ってたってことは本当にっ……!?


「とは言っても、叔母様は百年近く前に死んでいるんだけどね?」

「………………はい?」


 この言葉に、思考が止まった私は悪くないと思う。

 いや、だって《精霊姫》が百年近く前に、死んでる?

 ………………え? おかしくない?



 なんで、異母姉のシエラ様は……まだ、()()()()()



 …………普通、百年以上も生きててあの若さは……おかしくないかな?


「……………」

「アリエスちゃん?」

「あ、あの……なんで……シエラさまは、生きて……?」

「え? あぁ、それね」


 シェリー様は私の動きがぎこちなくなった理由を察したのか、クスクスと笑う。

 そして……。


「簡潔に言えば……〝愛の力〟、かしら?」

「…………んぅ?」


 ちょっとね。更にクエスチョンマークが増えましたよ。


「お父様が世界を滅ぼせるレベルで強いのは知ってるわよね?」

「はい」


 昨日のルイ君とシェリー様の会話で聞いたからね。


「それって……異なる世界の《穢れの王(お父様)》をこの世界のお父様が吸収したからなのよ」

「………ドーユーコトデスカ……?」

「えっとね〜……」


 シェリー様は分かりやすく説明をしてくれる。

 《穢れの王》というのは、負の感情に飲み込まれ闇堕ちしたルイン様のこと。

 でも、この世界のルイン様は……シエラ様に会ったことで、闇堕ちしなかった。

 だけど、異なる世界のルイン様こと《穢れの王》は……数多の可能性の中で唯一救われたこの世界のルイン様を妬み、羨み、憎み、その身体を乗っ取ろうとしてきた。

 しかし、ルイン様はシエラ様への愛情で《穢れの王》を返り討ちにするどころか逆に吸収してしまった。

 その結果、ルイン様はめっちゃヤバい存在にレベルアップしてしまった……と。


「ただでさえ世界を軽く滅ぼせるお父様を置いて、先にお母様が死んでしまったら……お父様はその嘆きから世界を滅ぼしてしまうだろうってことで、精霊王(お祖父様)の力とお父様の愛の力で、お母様は長命になっているらしいわ」


 なんかもう納得しづらいけど、ここは異世界だからなんでもありなんだろうな……。

 愛の力は強し、ということにしておこーーーー。


(ぴぃっ!?)


 ビクリッ!

 私は声にならない悲鳴をあげながら、シェリー様の後ろに立たれた()()に硬直する。

 シェ、シェリー様っ……!? あの、多分、これ以上この話するとヤバいかと思われるのですがっっ……!


「でも、お母様は見た目若いのに実際はオバさんなことを結構気にしてるみたいだから、お母様に年齢のことを言うのはダメーーーー」

「うふふっ。分かってるなら、なんでアリエスさんに話してるのかしらね?」

「…………………(顔面蒼白)」


 シェリー様の顔は、サァァァア……と顔面蒼白を通り越して、土気色にまで変わる。

 ギギギッ……と錆びた人形のような動きで振り返ったその先には、満面の笑みを浮かべながら凄まじい威圧を放つ……シエラ様の姿。

 思わず両手を上げて無実を証明した私は悪くないはず!


「…………もう。悪い子ね、シェリー? 少し、私とお話ししましょうか」

「いや、あの、お母様……この話をしたのは……アリエスちゃんに聞かれたからで……」


 こいつっ! 巻き込みやがった!


「うふふふ。うふふふふふっ。確かに、その絵本のことを聞いたのはアリエスさんからみたいだけど……余計なことを話し始めたのはシェリーからじゃないかしら? 別に、私が異母姉であるってことを話す必要はなかったわよね?」

「………………」

「それにね? 精霊からの話を聞けるってことを、忘れてないかしら?」

「あっ」

「詳しい言い訳は、私の部屋で聞くわね」

「ヒェェェ! 許してください、お母様ぁぁぁぁぁ!」


 シェリー様は(多分、精霊術で)空に浮かばせられ、そのままシエラ様に連れて行かれる。

 なんかすっごい謝罪しまくってたけど……許されそうにありませんでした。

 ……………年齢トークは禁忌(タブー)だって、身を以て証明してくれたね……。


「……………なむ……」





 合掌……。









聡い人は、伏線に気づいてるかな……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ