第9.5話 万年新婚夫婦
短め‼︎
シエラ目線だよ〜‼︎
よろしくねっ(*´∀`*)
ルイ君へのお話が終わって、諸々の支度を終えて夜ーー。
私とルインは夫婦の私室にあるソファに寄り添って座りながら……紅茶(彼はお酒だけど)を楽しんでいたわ。
「でも、驚いたなぁ。ルイのあの反応」
唐突にそう告げたルインに、私はさっきのことを思い出し……彼の言おうとしていることに納得して、頷く。
ルイ君の《邪神兵団》に対する見解を聞いた時ーー。
彼は最後にこう言った 。
『忘れたの? アリエスを拾ったのはボクだ。なら、ボクはあの子を最後まで守る義務がある。だから、ボクはアリエスを守るんだよ』
言葉では保護者としての、アリエスさんを拾った責任を持つ……みたいなことを言っていたけれど。
彼の瞳は……そうじゃなかった。
本音が、ダダ漏れだった。
ドロドロとした隠しきれない闇を感じさせる、仄暗い瞳。
…………ヤンデレモードのルインと同じ、瞳。
…………まだ明確ではないようだけど……ルイ君は完全にアリエスさんに対して特別な感情を抱いている。
そして……なんだかんだとアリエスさんもまた、ルイ君に対しては特に気の抜けた表情をしているのよね。
つまりは、そういうこと。
ふふふっ……未来は決まったようなものだけど、これからどうなるか楽しみだわ。
「ねぇ、シエラ? どれぐらいからルイのヤンデレが本格化するか賭けない?」
唐突にかけられた声に振り向くと、ルインはとても楽しそうにしていて。
どうやら、自分の弟が大切な人を見つけたことがとっても嬉しいみたい。
私はそんな彼の肩に頭を預けながら……答えた。
「うーん……賭けるには微妙じゃないかしら? 貴方達に付与されたヤンデレ属性は、生半可なモノではないでしょう? ほんの些細なキッカケで、本格化するわ」
そう告げると、ルインは「あー……それもそうか」と納得しながら苦笑を零す。
だって……ルインも私に出会っただけで、簡単にヤンデレが本格化したもの。
きっと弟であるルイ君だって同じはずだわ。
それが分かっている時点で……これは賭けとして成り立たない。
だからーー。
「賭けなんて無粋なことするよりも、二人のこれからを見守った方が面白いわよ」
「ふはっ……そうだね。それだけでも面白そうだ。でも、一つだけーー」
グイッ……!
彼の手によって簡単にソファに押し倒された私は、目を瞬かせる。
そして……彼の顔を……ルインのハイライトの消えた暗い瞳を見て、思わず笑ってしまった。
「あんまりそっちに夢中になられたら拗ねるから……ルイ達を見守るのは程々に、ね?」
…………嫌ね。先に言い出したのはルインの方なのに、なんて自分勝手。
だけど、こうやって示されるドロドロとした独占欲は……とても嬉しくて、心地いい。
いつまで経っても変わらない……ルインのヤンデレ。
………きっと、こんな欲をぶつけられる度に恍惚としてしまう私も……ヤンデレに毒されている。
私は彼の首に腕を回しながら……にっこりと微笑んだ。
「ふふっ……勿論よ、愛しい旦那様。貴方より優先するものは何もないわ」
「なら、それを証明してもらわなきゃね?」
私を軽々とお姫様抱っこしたルインが向かう先はベッドがある寝室。
きっとこういうのが万年新婚夫婦って言うんでしょうね。
でも、幸せだから問題ないわ。
私はクスクスと笑いながら、彼の首に回した腕に力を込めたーー。