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第8.5話 秩序を守りしは、精霊


短め‼︎

時には真面目な精霊王です‼︎


誤字脱字ご指摘くださって、ありがとうございます‼︎

 







 ルイ達が去った後ーー。



 わたしはニッコニコしながら、先ほどまでいた息子……次男ルイの顔を思い出していた。

 いやぁ……言葉にはヤンデレ感は出てなかったが、顔には〝アリエスを奪うことを許さない〟って独占欲がありありと滲んでたなぁ。

 いい……いい!

 表向きは保護者、裏ではヤンデレってのも中々に興奮する!






『気色悪い顔してますわよ、精霊王様』

『あいっかわらずオブラートに包まないなっ!?』


 唐突に告げられた容赦ない言葉に振り返れば、そこには長い青髪の女性の姿。

 彼女は四大大精霊の一柱……水の大精霊。

 しかし、その見目麗しい顔は……酷く歪んでいた。


『………どうした? 水の大精霊。そんな険しい顔して』

『…………険しくもなりましょう。まさか、()()()()()()()()なんて……想像もしませんでしたから』


 わたしは思わず言葉に詰まってしまう。

 さっきの話……わたしはルイに辺境の地にいた転生者の少女から得た情報の全てを話さなかった。

 いや、精霊を家族だと思っているルイには話せなかった。



 …………わたしを殺そうとしている《邪神兵団》の中に、()精霊がいるなんて。



『……………信じられませんでしたわ。まさか……未だに諦めていなかったなんて』


 水の大精霊はそう呟きながら、震える手を握り締める。

 …………()は、彼女の()()()()()からな。

 自身の友人が……この世界の神(わたし)を殺そうとしているのだから、動揺を禁じ得ないらしい。


『…………大丈夫か? 水の大精霊。我々は……君のかつての友人と、対立することになるぞ』


 わたしはその言葉の裏に、無理ならば傍観者となって良いと告げる。

 ……まぁ、我々精霊は個であり全だ。

 言葉の裏なんて問答無用で伝わっているだろうし……こちらにも、彼女の覚悟が伝わっていた。


『……勿論ですわ。アレは世界の秩序を乱そうとして、追放されたモノ。わたくしは秩序を守るモノとして、彼らを止めます』


 その声と瞳には迷いはない。

 わたしはそんな彼女の覚悟に、心の中で賞賛の拍手を送った。


『そうか。ならば、何も言うまい』

『はい』


 …………得た情報(乙女ゲーム)の通りならば。

 まだ《邪神兵団》の動きが本格化するまでに余裕があるが、この世界に強制力なんてものは存在しない。

 いつ、どのような変化が起こるか分からない。

 現に、《邪神兵団》に拾われるはずだったアリエスは……ルイによって保護されている。

 ゆえに……できることは先立ってやる必要がある。


『相手は固有能力持ちが多く、我らでも探知できない……或いは、探知をかい潜れるような場所に潜伏しているようだが……できることから始めよう』

『畏まりましたわ』


 わたしは早速、全精霊に伝達する。

 何か異常があれば直ぐに報告をするようにと。

 これは、世界の命運がかかった一大事であると。



 そうして……精霊達の手によって、この世界に探索網が展開される。



 少しの異変でも、察知できるように。

 最悪の未来を、回避できるように。



 そしてーー。


 息子ルイとその伴侶が笑い合える未来を守れるように。





 こうして、精霊達にとっては短く……この世界の生命達にとっては長い戦いが、始まった。







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