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シクラメン  作者: 織田
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第1話 再会

カーテンの隙間から夜明けの不気味な空がこちらを凝視している。

夜明けの空は好きじゃない。そして朝日も好きじゃない、何故って?

夜明けは不気味で朝日はリア充みたいに眩しくて嫌いなんだよ。

長いこと猛者と戦場へ駆けていると現実世界ではどうやら夜明けを迎えたらしい壁に置かれた電子時計を見ると時刻は6時

猛者とゲームを終え解散したのは5時頃で俺はその後に射撃訓練所に籠り一人エイムの練習をした。

1時間ほどの射撃訓練の後に時計の時刻を確認したのちに今日が2学期の当日なのを思い出し、現実に戻ってきたのを実感した。

徹夜明けだから遅刻する心配なんてない、いつもより少しばかり早く登校することにしようか迷ったが何となくダラダラするのも悪くないと思い朝から少し動画投稿サイトで暇を潰した。

動画を見終えた頃には7時になっており、そろそろ学校に行こうか迷っていた。

自宅から学校までは徒歩で約30分ほどかかる位置に住んでいるので8時に出ればギリギリ始業のチャイムに間に合うが今日は優雅に学校まで行こうと、軽い軽食をし身支度を済ませた頃には7時30分になっていた。優雅とは程遠い重い足取りで玄関を開けた。眩しい日差しが目に染みる。


『やっぱ眩しくて嫌いだわ』


こうして早坂凛の高校二年生の初日が始まった。


10分ほど経過しただろうか…初登校の足取りはとても重たく、そして9月1日ということもあり気温はまだ30度、あちぃよ、馬鹿なの?こんな暑い日に始業式とか暑さで頭おかしくなるってガチしんどいわ。

つか、小学生元気すぎるでしょ…若いパワーってすごいな 

道を行く少年少女達の微笑ましい姿を見て素直な感想を述べた

俺の小学生時代もあんな感じだっか??と記憶を掘り返しながら歩いていると後ろから声がした。


『凛ちゃん??』


 初めは気のせいかと思ったが、もしかして俺のこと?いや聞き間違いだろ。多分ゲームのやりすぎで耳までおかしくなったか?いや幻聴でしょ…

友達の居なさが故に完全にその名前を自分に向けられたとは考えることが出来なかったがその呼び方がもう一度続く


『凛ちゃん??』


 今度は確実に凛ちゃん?って聞こえた。聞き間違いでも幻聴でもないハッキリと俺の名前が聞こえた。でも俺をちゃん付けで呼ぶやつは誰だ。俺はそんなやつと友達になった覚えはない。そもそも友達なんて居ないんだけどね。


でも、万が一昔の友人とかの可能性があるから一応は振り返ってみるか、これで人違いだったから悲しいなと思い振り返ったら、そこには懐かしさよりも新鮮さが優ってた。会ったことあったけ誰この人


『やっぱり凛ちゃんだ!久しぶり!凛ちゃん昔から変わってなくてすぐ気づいたよ〜』


俺はあった覚えすらない女の子に声をかけられて腰が抜けそうになるのを必死に抑えた。

こんな俺に笑顔で女の子が話しかけてくるもんだから、そりゃビックリするよ。


 つか名前も気になるけど、なんなのこのプロポーション 黒髪のロングヘアーで胸もデカい、あっ胸見てごめんなさい

そんな事より俺はこの女の子を知らない。

いつ出会ったのかすら思い出せない。


『あれー?私だよ覚えてないの??』


 本当に思い出せない…そもそもこんな可愛い子と俺知り合いとかどうなってんだ。身体乗っ取られたり、誰かと入れ替わってて 君の●は?みたいな現象でも起きてるのか???

気になるからちょっも勇気を出して聞いてみようと声を出した。


『あの…ほんっとつ失礼ですけど、どちら様でしゅか??』


 盛大に噛んでしまった。声を出すのは数ヶ月?いや半年ぶりくらいだ。噛みまくって恥ずかしい。声って出さないと変なこと言うんだな。まず話す前に話す練習しとけばよかった。いっそ死んでしまいたい。そんな弱気な思考と共に冷や汗をかいていると。


『も〜私だよ!咲!黒森咲!昔よくゲームして遊んだじゃん!忘れちゃったの??』


 陰キャラの俺を圧倒する太陽みたいな存在は昔よく同じゲームをして遊んだ幼なじみである。

昔とは変わって短い髪型がロングになっており絶景の美女へと変貌していた。どおりで気づかない筈だ。昔の咲はゲームで負けたらそこら中にキレ散らかす手のつけようのない悪ガキな印象から某アニメの女版ジャイア●の様に思ってたが俺の目の前にいる女の子は高嶺の花のように花蓮な容姿をしている。そんな咲を一瞬で思い出せるはずもなく何度も言われて漸く理解することができた。


『あー思い出したわ。全部思い出した』

 

 緊張した口調で口を開いた。

本当に別人になっていて、昔のようにコミュニケーションを取るのが難しい。なんてったて俺の目の前にいるの美女だぞ。昔の俺なら兎も角

美女と話すなんて心臓止まるっつうの、いっそ止めてくれなんて思ってた


『凛ちゃん久しぶり?クマ凄いけど、徹夜?ゲームでもしてたの?』


『うん。昨日すごい人と知り合って朝までゲームしてたんだ。』


『へぇーなんていうゲーム??』


『Battle Legendsって言うチーム戦のバトルロワイヤルだよ。』


『バトレジェ??私もやってるよ!あのゲーム面白いよね。チャンピョンとった時の快感がすっごく面白いからついついやり込んじゃうんだよね』


『咲バトレジェ知ってるの??俺なかなか上手だよ??』


『いやいや!私の方が絶対上手い!100%凛ちゃんより上手いから』


『じゃあそこまでいうなら今度しようよ!俺のプレイを見せつけるから』


『望むところよ!』


 どうやら話始めるとリズミカルに会話ができるらしい。俺って本当はコミュ症じゃないのかもなんて考える余裕まで出来てきた。

そんなことよりこの女とゲーム一緒にやるだと??見た目は高嶺の花だけど負けたら癇癪起こしてめっちゃキレられそうな気がするんだが、まぁいいわ言ってしまったものは仕方がない


『いつする??』


『今日は始業式で午前だけでしょ?午後からしよう』


『おっけーじゃ学校終わったらな。それと一緒にするならフレンドコード教えて』


『いいよーちょっと待ってね』


 軽い返事と共に咲はポケットに腕を突っ込んで何か探し物を始めた。見つからなかったのかバックの中も探し始めた。何か見せたいものでもあるのだろうか。


『あれ…確かに持ってきたんだけどな…忘れてきたかも…ごめんちょっと忘れ物したから一旦帰る。凛ちゃんは先に学校行ってて!遅刻しちゃダメだよ』


 最後のは完全に俺のセリフだ。

そう告げると咲は駆け足で来た道を戻って行くのを横目に俺は一人懐かしさを思い出しながら歩いた。そういえば何年ぶりなのかな、咲は小五の時に引越したから7年とかか…7年も経つと人間変わるんだな。そんなことを考えているうちに重い足取りは軽くなった。

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