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今回は登場人物が急増します。
あと、ちょっと乙女ゲーム感が出てきたかも…
次の日学園に行くと、大勢に囲まれた。
「ダリア様大丈夫でしたか!?」
「その…私共に出来ることがございましたら…」
「今日は生徒会の仕事は私達でやっておきますから、ゆっくりなさってください…」
これらは全て今まで私が演じてきた『都合のいい存在』の賜物だ。
誰も私が殿下の言い分をガン無視して婚約を解消し、これまで育ててもらった義父を罪人として獄に入れただなんて思っていない。
馬鹿な王子に突然婚約を破棄され、偶然にも同じ日父親である公爵の不正が告発され傷心中の可哀想なご令嬢に見えているのだろう。
私は彼ら全員に笑顔で応じ、騒ぎを大きくしない様にと告げて教室へ向かっ…
そこに正真正銘の『馬鹿』がいた。
「リアァァァ!!この前は本当に俺が悪かった!俺は反省したんだっ、これを受け取ってくれ…!」
赤薔薇の花束と共に指輪を渡してくるその人…それは殿下だった。
「…殿下」
「リア…!」
「…殿下、もう少し考えてから行動に移してください。迷惑なので以後こういった事はない様にお願いします。それから学園に学園生活と関係のないものを持ってくるのは禁止されているはずです、王族だからといって生徒会の一員であるあなたが率先して禁止事項を破るのは…」
「あはは、そこら辺で勘弁してやってよ。こいつも相当参ってるみたいだしさ。」
そう言われて前を向くと、そこにいたのは昨日に引き続き放心している殿下と宰相の息子であるスグリ・シーマニアだった。
「そうですね、私もあつくなりすぎました。では、後はよろしくお願いします。」
「えっ丸投げ!?」
「私が殿下とこれ以上一緒にいると本音がこぼれてまた殿下が放心されてしまうかも知れませんし…それに殿下の親友たるあなたに任せるのが1番でしょう。」
「まぁ、いっかぁ。それにしてもダリア嬢随分と印象が変わったねぇ。」
「そうですか?変わった様に見えるのでしたら、今が私の素ですよ。」
「へえ、前は『完璧』って感じでつまんなかったけど…今は何か興味出てきたかも。」
…食えない人だ。
以前はほとんど関わり合いがなかったがこれからは要注意人物かもしれない。
教室に入って席に着くと隣の席の人物である、王国騎士団長の息子、ヤナギ・イキシアが話しかけてきた。
「はよー、リア。婚約解消成功したんだってな?おめでとう。」
「うん、おかげさまでね。ついでに言えばルピナス家の当主も交代した。」
「えっマジかよ!いつも大人しい奴がキレると怖ーな…気をつけよ」
ナギは私と同じく公爵家の人間で、幼少期から付き合いがあるため私の本心を晒せる数少ない相手だ。
今まで殿下やお父様、妹などのことを相談してきたので、やっとひと段落して彼を安心させられて本当に良かった。
「じゃあ、新しいルピナス公爵は…アスター殿か。なら安心だな。」
「本当に良かった…お兄様はお父様の息子だとは思えないほど素晴らしい方だもの。」
…ドタバタとこちらに向かって走ってくる音がする。
貴族の他には限られた者しかいないこの学園でこんな走り方をするのは今のところ1人しかいない。
「姉様ぁぁ!!これは一体どういうことなんですか!?」
あのお父様の娘、私とは義理の姉妹。
妹…ラン・ルピナスの登場だ。
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