01 さてどうしよう
とりあえずプロローグ終了です
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転生する肉体の種族や職業、強すぎない便利系のチート技能、神様からの加護。
それは転生後に魔王を倒すため必要な特典だとヴァイシュ様は告げる。
「あやつら、我先にと争いおって大混乱じゃったわぃ・・・。ワシとしては、他のみなを落ち着かせ、まとめておった者が『勇者』のジョブに気に入られていたようで助かったがのぅ」
軽いため息をついて僕を見据える神様。そうか、やっぱり勇者とかあるんですね。
それじゃあ僕はいったい何になれ・・・あ、残ってないんでした。がっかりだ。
「ちなみにそやつには、ポカをやらかしおった天使を守護に就けてやったわい」
ひょっひょと陽気に笑うと、どこからともなく一枚の紙を出す。神様、それは?
「ぁー・・・おまいさんは嫌かも知れんが、唯一残っておる種族のリストじゃよ」
「ぁ、あるんですね!? よかった僕にもまだ希望が・・・無かった」
【転生後用の肉体、種族選択書・魔物(最低階位種)】と題された書類に膝をつく。
書かれているのはなんとかラビットといったウサギのような名前や、他にも蜘蛛の名前であったりと名前だけでも弱そうだとわかってしまう魔物が十二種ほど。
たぶんだけれど、他の魔物よりも圧倒的に少数なんでしょうね・・・。
「本来であれば微塵も使わん物なのじゃがのぅ」
「遅刻してしまった自分が悪い、んですよねぇ・・・わかりました。この中にあるどの魔物でもかまいませんよ、また生き返れるなら」
そういえば・・・あの子はどうなったのか聞いてもいいのでしょうか。
同じ部活、クラスなら彼女も転生しているはずです。
「ふむ、藍といったかのぅ。おまいさんの想い人は」
「あの、恥ずかしいので想い人とかやめてください」
「確か『人間の村娘』じゃったな。他の者達の残り物じゃったが、まあまあ無難な所じゃろ。チートは得られんかったが、生命の神の加護を受けて『治療(下級)』のスキルを得ていたのぅ」
・・・少し羨ましいです。僕もそのくらい平凡がよかったな、とぼんやり考える。あ、むこうの世界でまたいつか、彼女に会えるんでしょうか?
「まあ、生きていればあえるじゃろうて。おまいさんは魔物じゃがの」
遅刻の罰が重すぎます。人間は死の淵に異性のことを考えると生存本能を高める、でしたっけ?あそこで素直に死んでいればなんて、生き残れていたことを後悔するのは嫌ですけれど・・・。
「微妙に間違っとるぞ・・・まあ、ワシもこれは少し酷かと思うてな。あまり干渉しては他の神があれやこれやとうるさいが、このくらいならば大丈夫じゃろぅ」
ふわり、と僕の体が優しい光に包まれたと思った時にはすでに光は消えていた。
今の光はいったい・・・まさか加護?いえ、それでは過干渉になってしま――――
-創世神の神力によりヒイロは『鑑定(最下級)』のスキルを会得-
頭の中に、『声』とも『文字』とも呼べない、何か不思議な感覚が流れる。
「え、こ、これは・・・スキル?」
「すまん。本来ならば『必要経験値減少(下級)』などのスキルを会得させてやりたい。しかしこれが今のワシにできる最大限の助力なんじゃ。」
「あの、大丈夫なんですか・・・?」
「うむ、何一つとして残っておらんかったからのぅ。先の書類と同じくらい放ってあった、最低階位のスキルじゃし問題は無かろうて」
大げさに笑いながら何やら準備を始める神様。ああ、もう行かなきゃなんですね?
少し未来が憂鬱ですけど・・・さて、どうなりますかね。
「さて今回は本当にすまなかったのぅ。これから先でのことは、ワシには何もしてやることができん。じゃが、おまいさんの未来に幸福があると・・・祈っておるよ」
「ふふ、神様が幸福を祈るんですね。それは過干渉なんじゃないですか?」
「ひょっひょっひょ!なあに神の力は使わんて。・・・じゃあの」
「じゃあの・・・って軽すぎますよ、神さ、m――――――