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秘密 3

 ディドメン帝国皇女カレンは、目の前に次々と表示されるパネルをじっと見た。

 地球と呼ばれる惑星777に帝国が埋め込んだエネルギー吸収システム『ラセン』は、資料によると十三基のはず。

 しかし、何度もセルレイン号から各ラセンの制御コンピューターにアクセスを試みるが、大部分が反応はしても途中で通信が遮断されてしまう。その内の一基に至っては無反応なのだ。

 確かにラセンはエネルギー吸収システムの中では古いものだが、壊れたという報告は無かった。今でもディドメンに地球の星体エネルギーを送り込んでいる。

 施設と宇宙船の距離が遠すぎるということは考えにくい。

 しかし、そうなると直接ラセンへ降りて確認をする必要が出てくる。

 彼女は意を決して、これから夜になるであろう地域のラセンに船を近づけた。

 ところがその途中でラセンから船のコンピューターへ攻撃が仕掛けられたのである。そのショックで一時迷彩モードが解除になってしまった。

 すぐに迷彩モードを復帰させたが、地球人に見られたかどうかわからない。

(早くしないと……)

 地球人にラセンの存在を気が付かれたら大変なことになる。

 だが、どういうわけだかラセンのある地域に近づいてみると、今度は逆にどこにあるのかが分からなくなってしまったのだ。


 近くにあるはずなのに、所在の確定が出来ない。

 今もカレンの守役でありセルレイン号の機能を一手に引き受けているソーベーが、全力を持ってラセンを探していた。

 だが、依然として見つからない。

(まさか、ラセンは本当に壊れてしまったの?)

 それとも地球人たちが壊してしまったのか。

 カレンはこのとき、地球人の科学力は自分たちの予想を超えて発達しているのではないかと思った。そうなると自分は敵側の人間である。この星の人たちは自分が来た理由を聞いてくれるだろうか。

 万が一にも血に飢えた凶暴な種族ならば、自分の命はこの星で果てることになる。

 彼女は不安な面持ちで、今いる管制室のドアを見たのだった。



 太陽の光が空に広がる。車は一路、早朝の山の奥深くを進む。

 健也は車の窓から見える風景を見ながら、先程の出来事を思い返していた。


 千業峡。そこは崖崩れなどのおそれがある為、一般人の立入は禁止されている。

 何しろ異星人の秘密基地付近では鉄が使えない。車もヘリコプターもそこに近づくことが出来ないのだ。

 その為、健也たちは別の渓谷の入り口から2時間以上も山道を歩いて、問題の場所へ向うことになる。

 この説明を朝食時に聞いたとき、彼は自分の体力が持つかと不安になった。その表情を読まれたのか、同じく朝食をとっている郁美の視線が痛い。

「郁美ちゃん。そんな怖い顔をしないでください。それに貴女を連れて行ったら、こっちが緑川さんに殺されます」

 割烹着をつけて給仕をしてくれる早田の言葉に健也は単純にほっとしたが、彼女の方は親の仇のような目で早田を睨み付ける。

 そんな中でも蒼馬は平気で食事を続けていた。

 

(何だか食べた気がしない……)

 旗地や他の道場の人たちは先に千業峡へ向かっているはずである。ある種、置いてきぼりにされた状態である。

 蒼馬に尋ねてみると「良くある話」という返事。何が良くある話なのか、健也にはさっぱり分からなかった。

 だが、実際に出発点となる奥崎渓谷入り口ではとんでもない事態が発生していた。


 道の前方で黒い煙が立ち上っているのが見えたとき、車内に緊張が走る。

「まさか!」

「何かあったんだ」

 早田が車のスピードを上げた。

 そして到着した奥崎渓谷入り口という看板のある駐車場では、数台の自動車が大破し炎を上げていたのである。

 健也と蒼馬は車から降りると、怪我人を安全な場所まで引きずりながらも移動させる。

「しっかりしろ。何があったんだ」

 蒼馬の呼びかけに、怪我人は意識を取り戻す。

「……奴ら……だ。待ち伏せを……」

 そのとき、遠くで銃声のような音が二発、三発と聞こえてきた。

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