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 彼女は僕のことをお前と呼ぶ。だから僕も彼女のことをお前と呼ぶ。最初からそれが普通だったし、それに対して違和感を持ったことはない。けれど、一度だけ彼女に聞いたことがある。お前って、僕のこと名前で呼んだことないよね、と。

 彼女の答えはこうだ。「私、お前の名前呼ぶと蕁麻疹出るんだよね!」

 それを聞いたときは、そんなに僕の名前が嫌いなのかとショックを受けたものだ。


「僕、改名しようかな」

「なんで!」

「だって、蕁麻疹出るほど嫌いな名前って……」

「嫌いなわけじゃないよ! なんていうか、むず痒いんだよ!」

「そうなんだ。――でも、あれ? 名前なんか呼ばれたことない気がするんだけど、いつ蕁麻疹なんか出てたんだ?」

「んー。付き合いたてのときさ、一人で練習してたんだよ。お前の名前呼ぶの。私もかわいいとこあるだろ!?」

「なんだよお前それ」

「えっ」

「かわいすぎだろ!!」

「そうだろ!? もっと褒めろ!」

「かわいい!」

「もっと!」

「超かわいい!」

「もっともっと!」

「ウルトラかわいい!」

「もっともっともっと!」

「スペシャルかわいい!」

「語彙力ねーなてめえ!」

 

 そんなこんなで、僕らはお互いをお前と呼び合っているのだ。


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