①
僕の彼女はちょっぴり変わっている。
それを象徴するかのように、彼女は突然、部屋の中で謎の踊りを始めた。どこかの部族の演舞のように、ゆっくりとした不規則な踊りだ。
「……なにしてんの?」
「今、神を呼んでいるの」
踊りを続けながら彼女は答えた。
「へえ。そらまた、どうして」
「願いを叶えてもらおうと思って」
「ふーん」
「ふーんじゃねえよ! どんな願いか聞けよ」
「……どんな願いなの?」
「私の、お前への愛が一生消えないように、ってね!」
え、やだ、何この子イケメン。
「でもやっぱ、神は呼べないみたい……」
彼女は踊りを止め、がっくりとうなだれた。
「神は呼べなくてもさ、僕がその願いを叶えてみせるよ!」
彼女に負けじと、僕もカッコいいことを言おうとする。
「うるせえ黙れ!」
「えー」
一蹴されてしまった。
「やっぱ玉が7つ集まらないと神は来てくれないかあ」
「いや神龍かよ」
「4つは集まったんだけど――なぁッ!」
「おっふ」
彼女は右手で僕の金玉を握る。割と、思いっきり。
金玉独特の痛みに耐えながらも、ある疑問が浮かんだ。
「……4つ?」
「残り2つは――」
彼女は空いた左手でチョキを作り、僕の眼前に持ってくる。
「――お前の目ん玉だ」
やだ、何この子、怖すぎ。