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止まらない水のように
足音は流れ続ける
その中で――時を止めたように
足を止め はっとして
歩み寄り 手に取る人が――いた
その眼差しは時には愛と慈しみに溢れ
しかしまたある時は闇よりも深い悲しみに溢れていた
彼の人たちは時間に取り残されたのだろうか
それとも過去に置き去りにしてしまった景色を
ここに見つけたのだろうか
その眼差しは驚愕に見開き
その手は震え
滴が零れる程に
心揺れるのだった
彼らの小刻みな声が…問う…
この人に逢ったのか……
この人を知っているのか……
だが彼は首を振るだけで
その理由を言うことはなかった
ただ作品が沈黙に語り
見た者の心の中の風景が答えるだけだった