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スコップの手引き

作者: nov雄

1 序論

 本作は、本サイト「小説家になろう」(以下なろう)において面白い小説に出合うための方法を共有する目的で執筆した。簡単に構成を説明しよう。序論は、前提となる用語の確認を述べる。次に本論は、私がなろうにおいて利用している作品を調べる方法についての考察を述べる。最後に本エッセイのまとめを書く。


 まず用語の確認を始めよう。「小説家になろう」に限らずwebを媒体とした小説は無数に存在する。なろう以外の外部の投稿サイトや個人で運営するブログやサイトなどである。そういったweb小説を探す行為を指す言葉としてスコップという言葉が生まれた。


 そのスコップを行う人々をスコッパーとネット用語は位置づける。スコッパーと呼ばれる条件は定義されていない。web小説を愛読し、ネットから作品を見つけるすべての人をスコッパーと定義したい。


 次に「エタる」について説明する。エタるとは作品が永遠に完結しない未完状態を指す。エタる状態の判断は様々だ。半年から1年以上更新がない場合はエタしたと考えていいだろう。なろうの検索でも長期休止作品として検索から除外されている。


 続いてテンプレについて説明しよう。なろうにおける流行している作品の要素を指す言葉だ。「異世界転生」や「チート」、「ハーレム」、「内政」、「乙女ゲー」などが代表的だ。多くは累計ランキングで上位を占めている作品の傾向からテンプレは作られている。テンプレをどう定義するかについては本稿では検討しない。他のエッセイで詳しく検討されているのでそちらを参照して欲しい。


 最後に「読み専」とは、作品を投稿せずに作品の閲覧を主に行うユーザーを指す。私も「読み専」である。なろうの登録ユーザー数は50万を超える。登録をせずに閲覧をしているユーザーを含めれば、作者として活動している人より多いと推測する。なろうの用語の説明をこれで終わる。


 次になろうの機能について説明する。ブックマークに登録できる作品数は1カテゴリで400件だ。これが10枠あるので、合計で4000件の作品をブックマークすることができる。その中でも更新をチェックしたい作品を400件登録することができる。このリストに登録した作品の更新が行われるとマイページから確認できる。


 続いてお気に入りユーザーだ。これは情報によれば200人までの登録上限がある。自分が気になる作者やレビューを書いているユーザーなどを登録できる。


 さらに活動報告(通称「割烹」)とはユーザーが自由に自分の活動について報告する。多くは感想への返信や書籍化情報、更新予告、作者の日常などを書いている。ある人は活動報告で考察も行っている。


 以上で用語と基本的な閲覧機能についての説明を終える。次の本論編は検索の方法について具体的に検討する。


2 本論

(1) ランキング

 小説家になろうでランキングは幾つかに分類される。1つはポイント数から判断する通常のランキングだ。2つ目はジャンル別に分かれたランキングだ。3つ目はセカンドと呼ばれる種類だ。通常のランキングと異なる判断基準によってランキングされる。さらに統計方法として、日間、週間、月間、四半期、年間、累計という形をとる。


 通常ランキングでの作品の調べ方だ。累計ランキングはサイトに入るとすぐに分る。執筆時(2014年11月27日)のランキングの上位3作品は、1位「無職転生 - 異世界行ったら本気だす -」、2位「謙虚、堅実をモットーに生きております!」、3位「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」となっている。累計ランキングは作品連載開始から現在までの総ポイントで集計されている。次に年間ランキングは、過去一年分のポイントをもとにランキングされている。以下同様に期間によってランキングが集計されている。


 このランキングを使って自分の好きな作品を探す方法はいくつかある。1つは日間ランキングから作品をスコップする方法だ。累計ランキングと違って日間ランキングは入れ替わりある。現在累計ランキングにある作品も日間ランキングで首位を取るなどして徐々にポイントを稼いだ。

 しかしこの方法はデメリットがある。作品の質に大きな差があり時に読む気が失せるような作品に出会う。そのような事を繰り返して挫折した経験がある。


 2つ目は月間ランキングを使う方法だ。日間や週間ランキングなどでポイントを集め、生き残った作品が月間ランキングに反映される。多くの人が評価を下した作品である事から洗練されている。月間に乗っている作品の多くが山場を迎える。ここが作品の人気が長期に渡って続くか否かの分水嶺だ。累計作品の多くに勢いがあり、この時期の話はどれも面白い。ある意味で作品の1つの旬と呼べる時期だ。


 3つ目は四半期以上のランキングを使う方法だ。これは作品の1つの山場を越えて安定した面白さが出ている作品の多くが集計されている。なろうで初めて作品を探したいという人はこの方法がベターだと考える。


 次にジャンル別のランキングについて説明する。ジャンルは大きく分けて15種類だ。文学、恋愛、歴史、推理、ファンタジー、SF、ホラー、コメディ、冒険、学園、戦記、童話、詩、エッセイ、その他である。その中でも人気なのが恋愛、ファンタジー、SFあたりだろう。それぞれ「乙女ゲー」、「異世界転生」、「VR物」と呼ばれる人気の要素が含まれている。

 そのジャンルも日間~年間で集計されたランキングが発表されている。それらを使って自分の好みの作品を探す方法がある。


 最後にセカンドランキングだ。セカンドランキングの認知度は低い。また基準は公開されていない。

 実際にセカンドランキングを使用しての感想を述べる。このランキングは私の感覚にマッチしている作品が掲載されている。私はいわゆる「テンプレ」以外の作品も楽しみたいと考えているタイプだ。商業化されないニッチな作品を常々読みたいと考えている。そういった嗜好をお持ちの方は一度セカンドランキングの使用も検討してみて欲しい。


(2) 検索方法

 検索を使って作品を探す方法を検討する。単に自分の読みたいキーワードに合致する作品を検索する方法がある。これは普通の検索と一緒だ。例えば「転生」というワードで検索すると6011作(2014年11月27日時点)が該当する。長期連載休止作品を除外しても2000作がある。物理的にこれから作品を絞るのは困難だ。そこで検索にはオプションがある。「おまかせ順」や「新着順」、「総合評価の高い順」、「ブックマーク順」などがある。さらにジャンルで絞りこめば少なくなる。


 その中でもオススメしたいのが「ブックマーク登録が多い順」、「週間ユニークアクセスが多い順」だ。「総合評価が高い順」はお勧めしない。評価ポイントは物語と文章力のそれぞれ5ポイント、合計10ポイントで評価される。総合評価の高い作品は熱烈なファンがいる。その対極にアンチも存在する。アンチが評価した点数も総合評価に含まれている。実際の読者層と違う可能性もある。そこで実際に読んでいる読者を調べる手段が先に上げた「ブックマーク数」と「ユニークアクセス数」だ。私のように完結を待ってから評価点を入れるというスタイルの読者も存在する。そういった評価せずにブックマーク登録のみしているユーザー数から人気を調べる方法がある。

 長期休載作品を除外するとなろうに18万8040作の作品がある。ブックマーク数と週間ユニークアクセス数の上位ではこのような類型とこのような食い違いがでる。


①ブックマーク数(2014年11月27日)

1位「無職転生 - 異世界行ったら本気だす -」(6万3712件)、2位「八男って、それはないでしょう!」(5万3864件)、3位「謙虚、堅実をモットーに生きております!」(5万2764件)、4位「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」(5万2249件)、5位「ありふれた職業で世界最強」(4万7082件)、6位「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」(4万2976件)、7位「ログ・ホライズン」(4万1853件)、8位「異世界食堂」(4万0079件)、9位「フェアリーテイル・クロニクル」(3万9200件)、10位「理想のヒモ生活」(3万9127件)となる。


②週間ユニークアクセス数(同日)

1位「無職転生」(25万3506人)、2位「八男」(20万2031人)、3位「サモナーさんが行く」(19万7196人)、4位「マギクラフト・マイスター」(16万6085人)、5位「彼は英雄ではないと言い張るようです」(16万042人)、6位「レジェンド」(15万8162人)、7位「デスマーチ」(14万5083人)、8位「神達に拾われた男」(14万4238人)9位「悪役転生だけどどうしてこうなった。」(13万8909人)、10位「ありふれた職業で異世界最強」(13万7815人)


③上記の検索オプションで登場した作品の累計ランキング(同日)

1位「無職転生」、2位「謙虚」、3位「奴隷ハーレム」、4位「八男」、5位「職業で世界最強」、6位「デスマーチ」、8位「食堂」、9位「ヒモ生活」、10位「フェアリーテイル」、13位「拾われた男」、14位「ログホラ」、18位「マギクラ」、32位「レジェンド」、66位「サモナー」、76位「英雄ではない」、118位「悪役転生」となる。


④検討

 ユニークアクセスはその週に更新された話数の多さにも関係してくる。「サモナーさんが行く」は累計の順位から考えると大健闘といっていいだろう。

 一方のブックマーク数は、累計ポイントと何らかの因果関係を有する可能性がある。ほぼ累計通りの順位だ。その中で累計10位外の「ログホラ」は健闘している。

 ブックマーク数は総合評価とほぼ同じになる。それに対して週間ユニークアクセス数は総合評価と大きく異なる。このような状況の解明は今後の課題としたい。


 総合評価だけではなく、他の検索手段を使うことでランキングとは違った形の作品を探すことを模索してはどうだろうか。


(3) その他

 検索やランキング以外の探し方をここで紹介しよう。主に3つある。1つは外部の掲示板で探す方法、2つ目は個人でやっているブログやSNSで探す方法、3つ目はお気に入りユーザーのブックマークから探す方法である。


 1つ目の外部掲示板は主に2ch系列の掲示板だ。ここになろうに関するスレッドがあるのでそこに紹介された作品を読んでいく方法だ。


 2つ目は個人のブログは、2ch系列で紹介された記事を転載しているブログと、独自の情報からスコップした作品を紹介するブログの二つに分けられる。2ch系は「スコッパー速報」が便利だろう。個人系だと「チラシの裏の読書感想文」が便利だ。このブログの特徴に他のブログの更新情報もあわせて紹介している点と、数年にわたる更新で多くの紹介がある点が上げられる。ここを中心にして個人のブログを探してはどうだろうか。


 次にはてなブックマークでなろうを含めたweb小説を追っているものがある。各自で探して欲しい。

またSNSの中でも大きいtwitterなどで更新情報をつぶやいている作者や、自分の読んだ作品を紹介するスコッパーがいる。さらに個人系ブログから移転した人もいる。


 3つ目に上げたお気に入りユーザーのブックマークから探す方法の紹介に移ろう。まず自分がブックマークをしている作者のブックマークを辿って自分の好きな作品を探す。この方法は自分と傾向が似ている作者のブックマークを利用することで、より自分の好みに合いやすい作品を探せることだ。その作者が参考にしている可能性がある作品も探せるなど創作においてもメリットがある。


 次に「読み専」のユーザーを探してその人のブックマークから調べる方法がある。自分が使った手段は3つある。


 第一の手段は、自分がブックマークに入れている作品の感想欄から手当たり次第にユーザーを探す方法だ。この方法は問題がある。ユーザーを手当たり次第に探すので時間がかかるのだ。


 第二の手段は、レビューを行ったユーザーから探すことだ。人気のある作品は多くのレビューが寄せられている。その中で自分が気に入ったレビューをした人のお気に入りを探す方法だ。レビューを行うような活発なユーザーの多くは登録している作品数も多い。それを辿っていけば、自分の好みの作品と出会える可能性がある。


 第三の手段は、ユーザー検索だ。ユーザー検索のレビューが多い順で調べると読み専の人が書いた人を見つけることができる。実際に検索すると小説投稿数ゼロにも関わらず多くのレビューを行っている読み専がいる。彼らがブックマークに登録した作品を辿ってみると意外な作品と出会える。


3 最後に

 このエッセイの終わりとしてまとめを行う。なろうで作品を探す方法は3つある。1つ目はランキング、2つ目は検索、3つ目はその他だ。

 ランキングはそれぞれ、総合、ジャンル別、セカンドがある。これらの特徴を組み合わせて活用して欲しい。

 検索は、なろうの運営が用意したオプションを活用しながら検索すると、同じワードでも表示が変わる。それらの特徴を理解した上で検索すれば良いだろう。

 その他は、お気に入りユーザーのブックマークを使っての調べる方法だ。ユーザーごとにジャンルの嗜好が異なるので、自分の好みに合った人を見つけてその人の作品から調べるといいだろう。他方で自分とまったく異なるジャンルの人を登録する手もある。これは新たな新規開拓をしたい場合に有効だ。テンプレに飽きたという人はそういった方法を試すといいだろう。


 巷では新着スコップという方法もある。これは時間がかかる上に自分の好みとは違う作品に当たり挫ける可能性が高い。あまりお勧めはしない。

 またレビューを読んで探す方法も同様だ。人気作のレビューは多い。人気のないマイナーな作品のレビューは少ない。人気作を探すだけなら別の方法で探せる。評価が高くない隠れた名作を探すのには不向きだ。


 私が述べた方法論は、この4年間に渡ってなろうで作品を探した経験論で語っている。他にも作品をスコップする方法は数多く存在する。この一連の短編がそれを探すための手助けとなれば幸いである。

何かご質問やご指摘などありましたら、感想欄に書いて下さい。

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[良い点] 昔のランキングを久々に見れて良かったです。 無職はそんな昔でも一位だったのかと驚きました [一言] エタっても面白い作品を見つけるにはどんな方法がいいと思いますか? 例えば鋼鉄のアイなん…
[良い点] 新規ユーザーが読みたいものを探す手段と方法がきめ細かく表記されている点 [気になる点] 正直、文章が詰まっていて読み辛かったです。 老眼の私にはもう少し文章の間に隙間があるとうれしいが、こ…
[良い点]  新規小説の発見の仕方、それは多くの方がお悩みになることだと思います。  その指針として、非常に為になるエッセイだと感じました。特に、自身の好悪を混ぜずに論じているところが素晴らしいと思い…
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