第二話 -8
連絡を受けた陽芽達は、ばらばらに祠へと向かった。
陽芽、瑞穂、ナミクーチカ、パルティネ、なつめ…………戦いになったら勝ち目がないメンバーばかり。とはいえ、黙っているのももどかしい。というわけで、目的は偵察だ。
もともと祠は全部で八つある。勾玉の力で増えた首を封印するものが五つ。アマテラス、ツクヨミを取り込んで増えた首を封印するものが二つ。そして、オロチ本体を封印するものがひとつ。
陽芽が向かったのは、季里湖のほとりにある祠。本体を封印している所だ。
ちなみに、双が天変地異を起こしたことで五本の首が霧散、前の戦いにてアマテラスとツクヨミが解放されたことで二本の首を失い、オロチの首は本来のもの一本のみになったため、首を封印していた祠は本体の封印を強固にするための補助として使われている。
この祠に向かうのが陽芽であることには理由がある。もしものときに、五行の盾で祠を守るためだ。これまでの修行で、離れた位置にも盾を出すことができるようになった。わざわざ敵の目の前に飛び出さなくても、隠れながら安全に時間が稼げるのだ。
…………という理由なのだが、季里湖の周辺は見通しもよく、道に迷いづらいという裏の事情は陽芽には伝えられていない。
陽芽が草むらに身を隠しながら祠へと近付く。
「……………………」
祠は無事。周囲も比較的静かだ。敵の協力者達が押し寄せてきそうな雰囲気はない。
そのとき、祠に近づいてくる足音が聞こえた。
緊張が走る。勾玉をぎゅっと握り、身をかがませたまま周囲を確認。
「…………あれ?」
そこに現れたのは、
「朱伽さんっ!」
咲のマンションで休養しているはずの朱伽だった。