第一話 -1
「柳の下で蛇は眠る」の続きです。
できる限り前作を読まなくてもわかるように書いていくつもりですが、先に目を通しておいてもらえるとうれしいです。
巧達がオロチを倒してから数ヶ月――
巧は、白髪の男と対峙していた。
「よう。久しぶりだな、クソガキ」
「オロチ……さん…………生きていたんですね……」
秋代 双。
この世界のスサノオでありながらオロチに魅入られ、新たな世界を作ろうとした男。
「まだ世界を作りかえようと思ってるんですか?」
「オロチがいなくなった途端、犯罪が増えた。お前はそんな世界がお気に入りか?」
「そういうわけじゃないけど……あなたのやり方が過激すぎるんです」
「あー、お前とは意見合わねぇな」
「そうですね」
双が地面に手をつく。
ぼんやり光ったかと思うと、地面から剣が現れた。
オロチを宿していたことの後遺症で、五行が使えなくなった双。だが、かわりに周囲のものから五行の力を借りる方法を会得していた。
対する巧の手のひらには、黄色い勾玉。
頭の中で武器をイメージすると、その勾玉が長い日本刀へと変わった。
「ずいぶんと勇ましくなったじゃねぇか」
「これでもケイム・エラー討伐とかやってますから」
お互いに構え、
「…………」
「…………」
駆ける。
「ふんっ!」
「はぁっ!」
剣と刀が火花を散らす。
ドクン――
と、突然空間が揺らいだ。
「「……っ!?」」
お互い距離をとる。
先ほど武器がぶつかり合った場所――その空間が蜃気楼のようにゆらゆらとゆれていた。
「これは……」
「……時空の歪み…………?」
「……てめぇ、何をした?」
「僕は何もしてないですよ」
そのとき、歪みから人が飛び出してきた。女性だ。
年齢は二十歳前後か。
ビキニの水着をベースにしたような露出度の高い服装。持っている武器は剣のようだが銃口らしきものもついており、かなり重そうなゴツいデザインだ。
そして、
「なっ……!?」
「あれは……」
巧と双 二人とも驚きで思考が停止する。
肩にかからないくらいで切りそろえられたウェーブがかった髪は赤く、巧と双を交互に見た女性の瞳は琥珀色の鋭い目付き。
オロチ。
二人の頭の中に同じ言葉が思い浮かぶ。
五行を使っているのか、それともオロチの力なのか、女性はものすごいスピードでその場を去っていった。
「…………」
「…………」
無言で顔を見合わせる巧と双。
直後、また歪みから女性が飛び出してきた。
こちらも二十歳前後。先程の女性と顔がどことなく似ている。
スポーツブラのようなデザインのタンクトップに、丈の短いジャンパー。肩口から破れたのかそういうデザインなのか、少し日焼けした腕が露出している。下はホットパンツに膝あたりまでの深さのブーツ。
こちらも先程の女性に負けず劣らず肌色が多い。
黒いショートカットの髪を揺らしながら巧を見て、双を見て……
「あ……」
先程の女性も持っていたようなゴツい武器を捨て置き、双に向かってくると……
「双さんっ!」
涙目で双に抱きついた。