前編
いつもお母さんに怒られる2人の姉妹がいました。
顔を見合わせれば、何でもないことなのにすぐケンカをします。
お母さんは困っていました。
何とか2人を仲のいい姉妹にしたい。
そう…思っていました。あんまり深刻に悩んだからなのか?お母さんは病気になってしまいました。
1日…一カ月…。
時間だけが過ぎていくのですがお母さんは治りません。
お母さんが病気だというのに相変わらずケンカばかりしています。
お母さんの病気が治ってほしい気持ちは一緒なのに素直になれないでいます。
そんなとき、遠くから雀達のおしゃべりが聞こえてきました。
「知ってる!あの赤い家のお母さん病気なんだって」
「知ってる!知ってる!中の悪い姉妹が原因なんだろ〜」
「そうなの!じゃあ神様の意地悪なんだね」
「仲良くなったら病気が治るのに馬鹿な姉妹だこと」
雀達はそういうと羽を広げてどこかにいってしまいました。
それを聞いていた姉のドロシーは妹のナンシーにいいました。
「さっき、雀達が話してたの!お母さんの病気、私達のケンカのせいなんだって!」
「だから今日から仲良くしよう」
そういうドロシーの顔は苦笑いしていました。
「お母さんが治るため…。いいよ!仲良くする」
そういうと2人は固い握手をしました。
それからは、以前の姉妹とは思えないほど献身的にお母さんの看病をしています。それなのに、お母さんは良くなりません。毎日、ベッドで姉妹に謝ります。
「ごめんね!ドロシー、ナンシー。おまえ達に迷惑かけてばっかりで!でも、嬉しいよ!おまえ達が仲良くなってくれて」
「お母さんッ」
胸がいたみました。お母さんが願う仲のいい姉妹にはなっていないからです。
影ではケンカをしているのでした。
ドロシーは悩みました。このままでいいのかなぁ…と思い雀達が暮らす森へと向かいました。
緑に囲まれた森は、生き生きとしています。命に満たされてるような感じが肌にヒシヒシと感じるのです。
ドロシーは森に向かって叫びました。
「雀さん!教えて!お母さんの病気はどうしたら治るの?誰でもいいから教えてよ」
森の住人達がザワザワ騒ぎ始めます。
「ホントに知りたい?」
雀がいいました。
「教えて!」
「じゃあ!教えてあげる」
そういうと森の高い木から降りてきました。
「でもね…ドロシー!これだけは必ず守ってね!!うわべだけで騙そうとしても神様は許してくれない。お母さんが苦しむだけだからね」
「…ッ」
そういうと雀は話し始めました。
「ひとつはこの森の崖の下にあるシロタナ草、風達が持ってるという風鳴らしの扇、虫達の生命蝶を必ず集めなさい。それをお母さんに向けて祈るの。ドロシー達の心が本物なら必ず神様が応えてくれるから…」
そういうと雀は羽を広げて森の中に消えていきました。
見えなくなった雀に向かっていいました。
「ありがとう」
ドロシーは大急ぎで家に戻りました。
家に着いたドロシーは、ナンシーにいいました。
「ナンシーよく聞いて!私、旅に出ることにしたの。大変だと思うけどお母さんのことお願い」
そういうと旅支度を始めました。
ナンシーはそれを見ておもしろくありません。
ナンシーはいいます。
「私も旅に出るわ」
慌ててドロシーが言いました。
「ナンシーが旅に出たら、お母さんを見る人がいなくなるじゃない。お願い。ナンシー」
ナンシーは首を縦に振りません。困ってしまいました。
隣の部屋で寝ていたお母さんは言いました。
「行っておいで!私は大丈夫だから」
お母さんは、体を動かすだけでも大変なのに姉妹を心配してのことでした。
2人は顔を見合わせてお母さんに駆け寄って言いました。
「ホントに大丈夫?苦しくない?」
「大丈夫だから。いっといで」
「お母さんッ」
2人の姉妹からポロポロと涙がこぼれ落ちました。
お母さんのことが気になりましたが、元気になるお母さんを早く見たかったから我慢しました。
旅支度を済ませたドロシーとナンシーはお母さんに言いました。
「行って来ます」
「無理しないでね。お母さん」
そういうとお母さんに手をおもいっきり振りました。お母さんの住む赤い屋根が見えなくなるまで振り続けました。顔は涙でグッショリです。
一本道を抜けると雀達が住む森が見えてきました。
ドロシーは言いました。
「ここから二手に分かれましょう」
「イヤよ!ドロシーと一緒がいいわ」
困ってしまいました。
「あのねナンシー。私は意地悪で別れようって言うんじゃないの。二手に分かれれば早くお母さんの病気が治るでしょう」
ナンシーはしぶしぶ頷きました。
「じゃあ私は雀達の森に、ナンシーは風達が住む渓へ」
「虫達が住む山へは一緒にいきましょう」
そういうと2人は指きりげんまんをしました。
「約束ッ」
そういうとドロシーとナンシーは二手分かれました。
右の道はドロシーが左の道はナンシーが2人は離ればなれになりました。
でも、全然、悲しくありません。
だってお母さんを治す為だから…。