一話 二年四組
小鳥の囀りで、目を覚ます・・・。
なんて可愛らしい少女漫画の主人公の女の子みたいな起き方をするわけでもなく、
無機質な目覚まし時計の「ジリリリリリ、ジリリリリリ」という音で目を覚ます。
安物の目覚まし時計の癖に、音だけは随分立派だなぁおい?
なんて、寝起きの悪い僕は目覚まし時計に悪態をついてみる。いつもの朝の風景である。
普段ならここで嫌々起きて、洗面台に向かうところだが今日は違う。
なぜなら、今日は学校が休みだからである。
土曜日である。昔の人は土曜日にも学校に行っていたとか聞いた事がある。
ゆとり教育のど真ん中にいる僕からは考えられないな・・・。
まぁいい、とにかく俺はこのまま二度ねするとしよう。
何気なく手に持ったままの目覚まし時計を見つめてどうでもいいことを考えてみる。
「…なんでコイツ、土曜日の朝から鳴ってんだよ」
何気なく口にしてみたものの、答えはわかっている。
どうせ自分がスイッチを切り忘れただけである。
だらしない僕の事だ、それくらいは十分に、いや、十二分にありえるだけだろう。
タダ、それを僕のミスではなく、この時計の故障にして、自分は悪くないと思いたいだけなのだ。
「…まぁいいや」
そういって僕は時計を元あった位置に戻し、ベッドに仰向けで倒れこむ。
どうでもいいことだが、僕は仰向けでないと眠れない。
うつ伏せで寝てる人間を、何度か見たことあるが、アレでどうやって寝れるか不思議でたまらない
苦しくないのだろうか?特に女性は厳しそうだな…。胸とかあるし
ていうかあれは仰向けに寝てても邪魔くさそうだな。重そうだし
何のためにあんなものぶら下げてるのだろう?
母乳を出すためにはでかくないとダメなのか?
しかし貧乳の母親とかも見たことあるし…。
意味なくぶら下げてるのだろうか?…いや、さすがにソレは…。
…ってあれ?いつの間にか女性の胸について考えてしまってるぞ?
まずいな、初っ端からこれでは読者の皆様に僕の人間性が疑われてしまう。
ここまで読んだ読者様、どうか誤解しないで欲しい
僕は別に女性の胸に夢中の中学生というわけではない。
断じて、断じて僕はそういう目で女性の胸の事を考えているわけではない。
そりゃぁ確かにそういう時期も一回はあったよ?でも今は違う。そういう感じではない。
…と、ここまで必死に誤解を解こうとしたら逆に怪しくなってしまうな。
まぁ、大人の僕はあえて余裕を見せてみよう。
まぁ、滅茶苦茶になってしまったが、そんなわけで、始めていこうと思う。
語り始めようと思う。僕が、人間を止めたアノ日の事を。
僕が始めて人外の『者』と…否、『物』と出合った日の事を…。
一話 二年四組
私立赤星学園
今校舎立っているその場所に、昔赤い星が落ちた、
という伝説の元に付けられた名前らしい。
ま、どうでもいいことだけど。
兎に角、そこが僕こと皇后崎 帝の通っている学校である。
私立赤星学園高等部 2-4組
それが僕の所属しているクラスである。
ちなみに出席番号は8番である。
現代の少子化云々のせいでクラスは4つまでしかなく、全てのクラスには30人程度までしか居ない。
しかしそのおかげでクラスのほとんどの人間とかかわりを持つ事が出来る。
少人数だからこそ、人と人の距離が近く、嫌でも関わりを持たなきゃいけないときがある。
そして、その人との関わりをきっかけに、その人の友達とも関わりを持つ事になる。
そうしてどんどん色々な人と接していくうちにクラスの人間とは、中々良好な関係を築く事が出来た。
まぁ、この学園には昔からイジメとか自殺とかそういう物騒なものは無く、平穏な毎日が送られている。
多少の喧嘩はあれど、それが長引く事はそうそう無い。極めて平和な学園である。
そして、この学園にはほかの高校とは違う、厳しい校訓があった
『天才は育てる。馬鹿はそのまま落ちればいい。育ちたければ、努力しろ』
いや…別に特別ではないか。ほかの学校も、言わないだけでこういうものだろう。
ただハッキリ言ってるかソウでないかの違いである。
つまり何が言いたいかというと、この学校は成績順にクラスが分けられているというものである。
全成績オール5の人間のみが入れる1組、全成績がオール3以上の人間が入れる2組、それ以下の人間が入れられる3組
そして、成績に関係なく、かつて問題を起こした者、もしくはなにか問題を抱えている者達が入れられる、4組。
勿論4組にいる僕も、かつて問題を起こしたから入れられているわけだけど…
僕の場合、実際そんな大それた問題は起こしていない。まぁ、問題は問題だけど、本当に些細な問題である。
新聞に載る程度の、小さな問題だ…。
「…しまった、宿題を忘れた」
説明なんかしている場合ではなかった。なんと宿題を忘れてしまっていた。
「あいかわらず阿保だなお前は…なんで昨日アレだけ教えてやったのに忘れるんだよ」
と、いきなり後ろから馴れ慣れしく僕の肩をたたきながら登場したこの男 白崎連夜
族を丸々一つつぶしたとか言うふざけた武勇伝を持っているふざけた男である。
「まぁ…持ってきても持ってこなくても一緒だし、別に忘れても困らないっちゃぁ困らないんだけど…」
評判も悪く、信用も無い4組である。宿題を忘れたところで
「あっそ」程度にしか思われないだろう
「そういう問題じゃねーと思うけどなー?」
そういいながら白崎は僕の隣に座る。
そこはお前の席じゃぁ無いだろ。
「うるさいなー。どうだっていだろ」
そう言って僕も自分の席に座る。
「ま、確かに何をやっても無視されるココじゃぁ、宿題の一つや二つ、忘れても何も言われないだろうな…」
そう言って白崎はあたりを見渡す。僕も釣られて見渡す。
寝てる者、ゲームをしている者、早くも弁当を空にしている者、紙飛行機を飛ばしているもの、化粧をしている者、ド派手な髪の色をしている者
ここまで校則を無視していても許されるのが、4組である。
現に白崎も髪の毛を真っ赤に染めて、短い髪の毛をワックスでツンツンにしている。
反対に僕は、地毛のまま特にいじりもせず、そのまま適当にほうって置いている。
地毛といっても何故か真っ白だけど…。いや、本当に真っ白なの、地毛で。理由は知らないけど。
「授業中に机の上で逆立ちしても許されそうだな…今度やってみようかな?」
「お前ならやりかねねーな…その時は後ろからとび蹴りを入れてやるよ」
やっぱり止めておこう。逆立ちした状態で後ろからけられたら、とんでもない大惨事だ
ていうか君の席は僕より前だろう。どうやって後ろから蹴る気なんだよ
「…ていうか君もいい加減元の席に戻ったら?」
本来、そこに座るべきの子が、こっちをチラチラと見てくる。
気になって気になって仕方が無い。
「ん…?ソウだな、もうそろ弁当食わないと授業に間に合わないし…じゃ、また授業の後に…」
そう言って白崎は自分の席に戻っていって、当たり前のように弁当を食し始めた。
さも当然のような顔をしているけど、結構おかしい事だと思うんだよなぁ…。僕は
と、こういうと真面目に思えてしまうかもしれないけど、実は僕はこのクラスの中でも上位の問題児
自覚は無いけど性格悪いし勉強もしないし不真面目だしで最悪なんだそうだ。
どんだけ評判悪いんだよ、僕。
「…ねぇ」
不意に、白崎がいなくなった事により隣の席にやっと座れた子…っていうか娘が声をかけてきた。
なんかもう…本当に同級生かどうか疑ってしまうような体系である。
聞いた話によると140cm程度しかないとか。特殊な性癖な人にもてるんだろうなー。いずれ誘拐とかされそう
「無視した挙句に何か変な事考えてない?私誘拐なんてされませんけど?」
「…まぁ、お前がソウ思っててもされるもんだと思うけどなぁ」
心を読まれた事に対して、僕はつっこまないぞ。ここでは何が起ころうと驚くだけ無駄なきがするからな
「そんな事はどうでもいいのよ。そんな事より弁当とサイフと携帯と教科書とついでにバックも忘れたんだけど、教科書と筆記用具とお金を貸してくれない?」
「それは忘れたといわないと思うのは僕だけだろうか?ていうかじゃぁお前は何を持ってきたんだよ」
一応制服は着てはいるがそれ以外何も持ってきて内容に思える
「勿論タダでとは言わないわ。私に今出来る精一杯のお礼として貴方にコレをあげるわ」
そう言って彼女はスカートの内側に手を突っ込み、そのままパンツを…。
とか言ってる場合じゃねぇ!
僕はその手を右手で押さえパンツを脱ぐのを静止し、そのまま左手で彼女のおでこに全力のデコピンを食らわせる
「お前は何をやっとるか!なんで今パンツを脱ごうとした!」
「だって私に今出来るお礼なんてコレくらいしかないわよ?いいじゃない。男の子なんだし。もらっておいた方がお得よ?」
なんて可愛らしく顔を右側にコテンとしながら、彼女はさも自分がなぜ怒られてるかも分からないかのように僕に反論する
「……ハァ。今日も一段とお前の考えが読めないよ、倉内」
そう言って彼女の手をつかんでいた右手を離し、もう一度、今回は軽く彼女のおでこにデコピンをした
「ま、確かに幼児体系の私に欲情して、そのままパンツを受け取っていたら、私は貴方のことを一生幻滅していたでしょうけどね」
「自分から仕掛けたくせにお前は…いや、お前はそういう奴だったな」
初対面のときもその次にあったときも、コイツはいつも回りの人間が自分と関わるのに相応しいかどうかを、試しているようだった。
そして、多分コレがコイツが抱える問題という奴なのだろう。典型的な自己中で偉そうなその態度。
誰よりも自分が上で、誰よりも自分が優れている。そんな考えを持つ奴が、周りに順応して、一緒に仲良く授業なんて出来るはずが無い。…ココを除いては、だけど。
「…あら、まるで私を昔から知っているような口ぶりね?知り合ってからたった一年ちょっとしか立ってないのに私を知り尽くしたつもり?」
「君の事なんか何も知らないよ。知るつもりもないし」
そう言って僕は自分のサイフを取り出し、彼女に千円札を渡す
「返してくれるのは明日でも明後日でもいいから」
「ダメよ、帝君。お金をそんな風に扱っては。そんな適当に渡されてしまっては私もこのお金はその程度のものなんだとしか思えなくなってしまうわ。ソウ思ってしまっては私、このお金いつ返すか分からなくなってしまうわよ?」
「あぁ、もう!一々君はうるさいなぁ。じゃぁ明日だ!明日返してくれ!」
「そ。」
そういうと彼女はソレを四つ折にし、胸ポケットにしまった。
ったく…朝っぱらから…疲れたよ。