8話 君と一緒に見たい
7月の終わりのこと。
接骨院に再び通いはじめてもう直ぐ、1か月が過ぎようとしている。
まだ1か月も経っていないのに色々なことが一気に起きすぎて1ヶ月とは思えない量の思い出ができた。
それもこれも神山蒼太に出会ってからだ。
彼との出会いには何か意味があったのだろうか?
見事なまでに落ちてしまった。
毎日毎日彼のことばかり考える
とにかく…
『君に会いたい』
私は届かぬ恋に落ちてしまった。
8月の初旬…
この頃から私は素直に自分を出せなくなっていた。
神山「そう言えば今月藤田市で5年ぶりに花火大会があるみたいですよ!」
谷川「え!5年ぶりですか?!」
神山「そう!しかもうちの近くのグラウンドで打ち上げみたいで。」
谷川「グラウンド?たしか近くだと鳥川なんとかってとこ?」
神山「そうです!橋渡って右側の!」
谷川「わりと近い!歩いていけますね!(笑)」
神山「歩いて?!意外と距離ありません?」
「あ!しかも打ち上げ場所がうちの目の前なんですよ!」
(目の前?)
谷川「橋までは3キロくらいですよ!目の前とかめちゃくちゃいいじゃないですか!じゃあ家の中から見える感じですか?」
神山「いや、そっち向きに窓がなくて…」
谷川「あ、じゃあベランダからとか?」
神山「ベランダもないし二階は小さい小窓しかなくて…笑」
谷川「じゃ、じゃあ外に出てみる感じですかね(笑)」
神山「多分?谷川さんは見に行くんですか?」
谷川「行けたら見に行こうかな!って思います!神山さんは見に行くんですか?」
神山「僕も行けたら行こうかなって!」
私「見れたらいいですね!5年ぶりだからたくさん人が来そうですね…」
神山「人はすごい多いんじゃないですかね。」
話が途切れた。
急に出てきた花火大会の話題。
他の患者さんとも話してるんだろうけど家も近いし打ち上げ場所も近い。
家の目の前が打ち上げ場所って、僕の家はだいたいその辺です。って言ってるようなものだ。
いくら雑談でもそんなこと言うのかな?
私の思考はあらゆる想像を掻き立てたが、冗談でもこれだけは言えなかった。
『良かったら一緒に見ます?』
なんて、今の自分はビビって言えなかった。
偶然でも会えたらいいなって思うけど正直バッタリ会うのも怖い。
まだたったの1ヶ月しか顔を合わせていないのに、プライベートな話題、恋人たちがしてそうな話題が出るなんてびっくりだった。
誘ったら一緒に行ってくれそうな雰囲気さえかもしだしている彼の独特な雰囲気、どう受け取るのが正解?
あなたが行く可能性があるなら私も意地でも見に行くよ。
会いに行くんじゃなくて、あなたと同じ景色が見たくて。
ただそれだけのこと。




