-ヒロインを倒して聖女になりました!-第3話【11/12】
改行、推敲しました〜
登場人物名変更!
私は、いつリリーとの最終決戦が来てもいいように、そして魔力を沢山使っても倒れなくなるように、皇城の魔術師を招いて授業をしてもらうことになった。
「ペネロペ様、こんな感じです」
「・・・こう?」
「違います。」
私に魔法の制御を教えてくれるのは、皇城の筆頭魔術師、ハルク。平民出身のため、姓は無い。
そして、「エクレシアの薔薇」の攻略対象。
皇城の筆頭魔術師だから、授業はとても難しい。
私のレベルが低すぎるのか、ハルクの授業が難しすぎるのか・・・。
「ハルク、もう少し簡単にしてくれませんか?」
「社交界の華ならなんでもできると思っていたんですが、そうではないようですね」
「はい?追放されたいの?」
一応私は公爵令嬢なんですけど!と言いながらも練習を続ける。
「・・・じゃあ、これに魔力を注いでください。魔力を注ぎすぎると大炎上なので気をつけてください」
「わかってます!」
ハルクから教わったとおりに魔力を注ぐ。
「・・・これぐらい?」
「そうですね、完璧です。・・・今度はこっちに。」
「え、急に大きくなりすぎじゃない?!」
私がさっきやって成功したのは、ピンポン玉サイズの魔性体。
次に出されたのは鍋サイズの魔性体。
「いいえ。さっきやったほうが難しいんですよ。魔力を注ぎすぎると大変なことになりますから。」
「・・・分かったわ。」
思いっきり、でも注意しながら魔力を注ぐ。
「これぐらいでいい?」
「私が教えることはもうありません。」
「え?」
「魔力の制御は完璧なので、聖女がつかえる魔法の種類と、使い方は・・・うちの二番目の魔術師に教わってくださいその分野は彼女のほうが適任ですから。」
もしかして、「彼女」だから次の講師は女性?
優しいと良いな、と思いつつ、いままで協力してくれたハルクに礼を述べ、魔力制御の授業は終わった。
「こんにちはぁ!ペネロペ様、私、シルクって言いますぅ!」
「こんにちは、シルク。よろしくね」
「はいっ!!」
彼女は、シルク。ハルクの双子の妹で、皇城の第二魔術師。
ハルクの紹介で、聖女の魔法やその魔法の使い方・発動方法などを学ぶ。
「じゃあ、質問なんですけど、聖女の魔法って、どんな魔法をつかいましたか?」
「治癒魔法?と攻撃魔法かしら」
「一個忘れてますよ?」
「・・・あ、浄化魔法?」
治癒魔法と攻撃魔法は森の中で、浄化魔法はリリーの毒を無効化するのに使った。
「正解です!さすがペネロペ様!じゃあ、どんな魔法があるのかの説明をしますね」
「はあ、疲れた・・・」
シルクは、聖女の魔法を一通り教えて、今日は帰っていった。
ー「ちゃんと覚えてくださいね?」ー
「なんか気に食わない」
「なにが?」
「きゃっ」
「何が気に食わないんだ?俺が処分してやるよ!」
「大丈夫です。・・・ただ聖女が使える魔法の全てを次の授業までに覚えてと言われて、無理でしょ!って思ってただけです。」
どうやら、独り言は私の部屋に入ってきたカイラスに丸聞こえだったようだ。
聖女が使える魔法を覚えるのは、至難の技だ。
・・・まあ、高嶺の花の私なら簡単だけど。
「あぁ、シルクか。アレはかなりのぶりっ子だから気をつけた方がいい」
「ですよね!」
「男は一度は誘惑される位だからね」
「・・・わお。」
恐ろしい恐ろしい、と言う。
「まあ、俺もその中に入ってたけどな」
「え、殿下もですか?!」
「うん。でもその時は何にも興味が湧かなかったから無視してたけど」
殿下が何にも興味を示さない時期があって良かった。なかったらきっと今頃・・・
「そうなんですね。シルクには気をつけます。」
「ああ。それに俺がペネだけに心を開いてることを知ってるし、俺のストーカーだから、ペネを陥れて、っていうのを考えてるんだろう。それなら難しい課題を出すのも分かる。」
「・・・なんか燃えてきました!」
「え?」
「私、馬鹿にされるのが一番嫌なんです!私なりに頑張ってるのに、よく酷いことを言えるなって思うんです!だから、次の授業までに必ず全ての魔法を覚えます!」
「無理しないでね・・・?」
「はい!もちろんです!」
そして3日経ち、ついに次の授業の日がやってきた。
「ペネロペ様、魔法、覚えられました?」
「ええ。」
「じゃあ、どうぞ!」
「治癒魔法は外的治癒と内部治癒、攻撃魔法の中の火属性はものや汚れを燃やして・・・」
「できると思いませんでしたぁ」
「私をバカにしないで頂戴、シルク。これぐらいお手の物よ。」
「・・・じゃあ、次は使い方ですねっ!」
「え?」
「はあ、ほんとに気に食わない・・・」
「ペネ、またシルクか?」
「はい。今度は、魔法の使い方を覚えろって・・・」
シルクの次の難題は、「聖女の魔法の使い方を覚えろ」だ。
覚えたことに結びつけるだけだが意外と難しい。
一つの魔法でも、2個3個使い道があるため、相当な記憶力が無いと3日で覚えるのは・・・。
ある意味、リリーではなく私が聖女になって良かったと思えた。
「これ以上の横暴は許さない。シルクを追放する」
「ちょっと待ってください殿下!シルクを追放したらハルクも追放する羽目になります!」
「構わん。将来の皇妃に対する侮辱だ。追放では済まない。」
「その必要はありません。全ての課題をクリアしてこそ、『高嶺の花』です!課題をクリアして、シルクを黙らせます!」
「無理しないでよ・・・?」
「もちろん!」
「信用ならないな・・・。おい、イクリス。」
「はい、殿下。お呼びでしょうか」
「シルクがペネの侮辱をしたらすぐに捕まえてくれ。あとペネの護衛も増やしておいてくれ。」
「かしこまりました。」
「殿下、過保護すぎではありませんか?」
「構わない。」
ああ、この人には何を言っても駄目だ、と思いつつ、暗記を進めるのであった。
「ペネロペ様、覚えられましたかぁ?」
「ええ。治癒魔法の外的治癒は擦り傷や切り傷に効いて、内部治癒は胃潰瘍などの臓器の怪我に効く。心の傷も内部治癒でケアできる。攻撃魔法は・・・」
「っ・・・!凄いですぅ・・・」
「シルク。一つ、言っていい?」
「なんですか、ペネロペ様っ」
「あなたの身分は平民よね?魔術師でも貴族以下なのよ? で、私は何家の娘だか分かる?」
「え?」
「ちゃんと覚えておきなさい。私はこの国に2つしか無い、公爵家の娘なのよ?あなたが今までしてきたことは全て侮辱罪に当たるけど、いいのかしら?」
シルクの前に立ち、彼女を見下ろす。
「っ、申し訳ありません、ペネロペ・エカルト様。私の無礼をお許しください。」
「うーん。私の一存で処罰は決められないから、カイラス殿下と話し合って決めるわね。」
「っ・・・」
彼女が大好き?なカイラスの名前をわざと出して、反応をうかがう。
・・・当たり。カイラスの言う通り。
「じゃあ、授業はこれで終わりでしょ?いままでありがとう。お陰で私の記憶力が良くなったわ。また会えるといいわね。じゃあね」
お前のせいで苦労したと嫌味を込めた別れの言葉を述べて、退出した。
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絶対に無理だと思ってたのに。
私の目の前には、普通の人は絶対にできない難題を難なくクリアした女が。
「あなたの身分は?平民よね。いくら魔術師でも貴族以下なのよ?そして私は何家の娘だか分かる?」
「え?」
ハルクが公爵令嬢だとか言ってた気がするけど、そんなこと関係ない。
カイラス様の婚約者があの女ってことが気に食わない。
どうしてあの女はカイラス様の唯一の理解者なの?
・・・ずるい。
「ちゃんと覚えておきなさい。この国に2つしか無い、公爵家の娘なのよ?あなたが今までしたことは、全て侮辱罪に当たるけど、いいのかしら?」
どうしよう、ここで何か言っても処罰が重くなるだけかもしれない。
「っ、申し訳ありません、ペネロペ・エカルト様。私の無礼をお許しください。」
「うーん。私の一存で処罰は決められないから、カイラス殿下と話し合って決めるわね。」
「っ・・・」
気安くカイラス様のお名前を呼ばないで!
・・・本当に腹立つ。許さない・・・
「授業はこれで終わりでしょ?いままでありがとう。お陰で私の記憶力が良くなったわ。また会えるといいわね。じゃあね」
絶対にあの女は私の手で破滅に追いやる。どんな手を使ってでも・・・
『あの女を憎んでるの?私が楽にしてあげるわ』
部屋に黒い気体が入ってきて、私に話しかけた。
「誰だか分からないけど・・・。構わないわ」
『たとえ、あなたの体が滅んでも、何も言わないでね・・・?』
そうしてシルクは、黒い気体・・・リリーに体を乗っ取られ、自我を失った。
続く
こんにちは(❀╹▿╹)かにゃめです(ᐥᐜᐥ)♡ᐝ
今回は・・・
「氷結狂人皇帝に(元悪役令嬢の)私が溺愛されています 第二話-ヒロインを倒して聖女になりました!-」
の第3話でした〜ヾ(*´∀`*)ノ
なんと!!
リリーちゃんが乗り移ったのはシルクちゃんでした!
彼女は昔から男が大好きでその中で特にカイラスくんがお気に入り♡
そんなカイラス婚約者であるペネロペを憎むのは・・・当然ですね^^;
さあ、リリーちゃんが乗り移ったシルクちゃんはこの後どんな行動をとるんでしょうか?
続きはぜひ本編でお楽しみくださいᥫᩣ ̖́-
このお話を読んでくださった皆様に感謝(ㅅ´꒳` )
かにゃめ☾⋆·̩͙⑅*