-暗殺者を倒したら聖女の魔法が使えちゃった!-第3話【5/6】
登場人物名変更〜
改行〜
「カイラス殿下、何があったんですか?!」
「いや、これは敵の返り血だ。・・・イクリス、森の中にいっぱいアレがあるからコルテシア侯爵家に送っておいて」
「お怪我がなくて安心しました。」
・・・怪我は私が治したんだけどね。
アレ(死体)の処理を頼んだのは、カイラスの第一側近であり、唯一の側近、イクリス・ラクトビオン。ラクトピオン男爵家の次男で、本人曰く、カイラスに一目惚れしたから側近に立候補したそう。仕事ができるし、アレの処理にも慣れているから、カイラスから絶大な信頼を得ている。
「殿下、アレってコルテシア家からなのですか?」
「ああ。ペネ、もしかして下見たのか?」
「そんなに怖くなかったですよ?というか、コルテシア侯爵家って・・・」
「そうだ。アイツらも早いうちに駆除したほうが良いかもな」
コルテシア侯爵家は、最近急に活発になってきた。発言力も強くなり、一部の貴族は警戒している。
「殿下。そろそろ公爵邸に行かないと時間危ない気がするんですが・・・」
「少しぐらい遅れたって平気だろう。」
「私が怒られるんですよ!早く戻りましょう!」
時計を見ると、夕食会開始まで30分を切っていた。
「ペネロペ、これはどういうことだ」
「えっと、これにはわけがありまして・・・」
私は今、公爵邸の夕食会場にいる。そして父に問いただされている。
多分、父はカイラスが食事会に来たことと遅刻したことについて怒っているのだろう。ただの身内の食事会ならまだしも、皇族が来るとなると、メニューを変えて毒味を念入りにしなくてはいけないし、遅刻はもってのほか。場合によっては、公爵家の顔に泥を塗ることにもなりかねない。
「ペネロペ姉様、失望しましたよ?私に隠してるだなんて・・・」
「そうよ!ペネロペ姉様はなんでも話してくれると思ってたのにっ!」
「アクア、マリン、ごめんなさい。私にも秘密の一つや2つはあるから・・・」
アクアとマリンは私の双子の弟と妹。アクアが上で、マリンが下。とにかく可愛い。
「ペネロペ。何をあなたが抱えてたかはわからないけど、相談してほしかったわ・・・」
「お母様・・・」
この人は私の母、レティシャ・エカルト。ほわほわした雰囲気を纏っていて、かわいい。一目惚れでシュナウスが好きになり、猛アタックして、見事ゴールに辿り着いた。
「お父様、きちんと説明します。」
私の父は、シュナウス・エカルト。若くして皇帝の右腕である『宰相』になった。私達が大好きすぎて、親バカとあだ名がつくほど。
「まさか、お前が聖女だったとは・・・。」
「・・・はい?」
「さっきカイラス殿下から聞いたの!アクアとマリンでびっくりしたんです!」
「殿下、秘密にするっていいましたよね?」
いつの間にか私の隣にいたカイラスを睨む。
「うん。でも誰に、とまでは言ってないから。」
「っ・・・」
こいつ・・・悪知恵は働くんだよな・・・。
「殿下、これは世界をあげてペネロペの聖女祝賀会を開くべきです!」
「それには俺も同感だ。ペネ、どう思う」
「私は・・・」
私は、どうしても死にたくなかった。カイラスをどん底に落とすところを見たかった。でも、私はどうやら聖女になってしまったみたいだし、原作にはなかったエンディングが見れるかもしれない。それにカイラスが好きになってしまったっぽい。それなら・・・
「私は構いません」
「じゃあ、私から陛下に進言してみるよ。」
「じゃあ、私は神殿に掛け合って式をしてもらえるように交渉してくるよ」
「殿下、お父様・・・。ありがとうございます」
優しい二人の言葉に心から感謝を述べる。
「いや、大丈夫。愛しい人の為ならなんでもするよ、ペネ。」
「私の愛娘が聖女になったなんて、特大ニュースじゃないか!もちろん、盛大な祝賀会を!ああ、今から楽しみだ!どんなセッティングにしよう!そうだ、ペネロペの服も作らせないと!針子を呼んでくれぇ〜」
「あなた、まだ決まったことではありません。落ち着いてください。」
「お姉様、さすがです!」
「さすが高嶺の花ですわ!・・・でもこれからは高嶺の聖女様ですわね!」
「こら、そのあだ名はやめなさい!」
今まで見たことがないぐらいのはしゃぎっぷりの皆をなだめつつ、幸せだな、と感じた。
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「ああっ、どうしてっ!」
暗い部屋の中に女の叫び声がこだまする。
「私がヒロインなのに・・・臼井許さない・・・」
叫ぶ女の前には、「エクレシアの薔薇」のゲームウィンドウが。
《ペネロペ・エカルトが聖女の力を開花させました!よってあなたはラピス家の養女になることができなくなりました》
「許さない・・・」
《隠しルート 〜ペネロペ攻略byカイラス〜 社交界の華、ペネロペが聖女になった!一ヶ月後に国をあげて盛大な祝賀会が開かれる!そこでペネロペは聖女の力を完全に開放し、正式な聖女となります!》
「・・・確かこの祝賀会は庶民も招かれるはず・・・」
思考を巡らせる。
「じゃあ、祝賀会を邪魔しちゃえば良いんだ」
そう言い、ティアラローズ・ラピスという名を与えられるはずだった女、リリーは作戦実行のために動き出した。
-ヒロインを倒して聖女になりました!-第1話に続く
こんにちは(」・ω・)
このお話で、「氷結狂人皇帝に(元悪役令嬢の)私が溺愛されています」の第1節が完結です((o(*゜▽゜*)o))
最後にチョロっと出てきた、ゲーム内ではティアラローズことリリーちゃん。
この後彼女が活躍しますのでお楽しみに♡
リリーちゃんもペネロペちゃんと同じ、転生者で、2人は・・・
これ以上はネタバレになりそうなのでやめます(ノ_ _)ノ
ぜひ、本編でこの謎を解き明かしてみてください!
以上、かにゃめでした(*^^*)
ご覧いただきありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)