エルドの試験日決まる
小山羊亭に朝早くに現れたケシャ。
そのケシャと話をするエルド。
10年前にエルドから教えを受けたパメラは賢者に、ケシャは魔法戦士になっていた。
「それにしても不満に感じます、先生」
ケシャが何か不満気な表情でエルドに言った。
「何をだね?、ケシャ」
「メリアドールという子を教えるならば私に相談してくれれば良いのに」
「いや…そもそもケシャが魔法戦士になっているとは知らなかったからな」
「それはそうですが…」
「私も山から降りてくるのは本当に久しぶりだからな、色々と変わっていて驚いている」
「教師の資格はパメラが?」
「そうだ、パメラが手配してくれるという話だ」
「そうですか…」
何やら悔しそうな顔をするケシャ。
「パメラとは会っているのか?」
「まぁ…それなりには…」
「それなり…?」
「はい…いつも…」
ケシャが話そうとした時、被せるように女の声が部屋のドア付近から聞こえた。
「いつも喧嘩していますけれど」
エルドとケシャはドアを見た。
パメラがやれやれといった顔で立っている。
「パメラ?、いつの間に?」
「ケシャ、相変わらず蹴り癖炸裂ですね」
「うるさい、放っとけ」
「しかもこんな朝早くから来て先生に迷惑だと思わないの?」
パメラに振られてエルドは慌てて言う。
「いや…私は特に…」
「ほら、先生はそう言ってるわよパメラ、大体そういうアンタも同じじゃないの?」
「う…私は一刻も早く先生に試験の日を伝えたくて…」
「へー、私だって先生に会うのは10年ぶりだからね、仕方がないね」
「な…何を…屁理屈はやめなさい」
パメラとケシャのこのやりとりを聞いてエルドは思い出した。
そう言えばこの2人は子供の頃からこんな感じだったと。
ライバル関係というか…いつもケシャが突っかかっていってパメラが巧くかわしていた。
魔法もパメラが出来るなら自分も出来るはずだとケシャは頑張っていた。
パメラはそんなケシャを相手にしていない素振りを見せいていたが裏では追いつかれまいと努力していた。
それで2人は力を伸ばしていったのだ。
「それでパメラ、試験の日とは?」
2人のやり取りは放っておくといつ迄でも続きそうなのでエルドは頃合いを見て間に入った。
「はい先生、明後日の午前中からです」
「随分早いな、もっとかかるかと思っていたが」
「協会と話を付けました」
「そうか、それはありがとう」
「い…いえ…先生の為ならばこれぐらいの事は…」
パメラの赤面した顔を見てケシャは微妙な顔を見せた後、ニヤッとして言った。
「協会と大喧嘩でもしたか?」
「な…何を…」
「これ程短期間で試験に漕ぎ着けるなんてあり得ないからね」
「そうなのか?、パメラ」
「い…いえ…あ…はい…少々…ただ先生が気になさる事は御座いません」
「そうか、無理をさせてすまないな、本当に大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です、何も心配ございません」
「そうか、ならば後の心配は…」
無理をして取って貰った試験だがこれで落ちたらパメラに合わせる顔がない。
更にプレッシャーが掛かるエルド。
「心配?、何か心配事が?」
「先生は試験に落ちるのではと気になさっています」
「え…?」
「そうだ、これで落ちたら恥だな」
引き攣った笑いをするエルドに2人は口を揃えて言った。
「先生ならば大丈夫です‼︎」
書こうという気と書きたくないという気が戦う私は無類の面倒臭がり屋である。