魔法戦士ケシャ
エルドは小山羊亭の宿の泊まることにした。
広くはないが1人用の部屋はキチンと整理されている。
メリアドールに魔法を教えるには資格がいるらしく、それの取得に元教え子のパメラが動いてくれるようだ。
取り合えず連絡を待つためにエルドは宿に泊まり朗報を待つことにする。
昼間食べた食事の量が多くて余りお腹は空いていなかったが夕食を食べてジュディと世間話をしてエルドは部屋に戻った。
老人の寝る時間は早い。
エルドはベットに横たわりそのまま寝た。
ドカドカドカ
大きな足音が廊下に響き渡る。
その音にエルドはうるさいなと思いながらもまた眠りの中に入ろうとする。
静かにしてくれとエルドの願いも虚しくその足音は近づいてくる。
そしてコンコンというドアをノックする音と同時にドアがドカンと蹴開けられた。
「先生‼︎、お久しぶりです‼︎」
ドアをうるさく開けられた事と女性の大きな声でエルドは何事かとベットから飛び起きた。
「な…なんだ⁉︎、何が起こった⁉︎」
エルドがドアの辺りをを見ると1人の長身の女性が立っていてエルドを見ていた。
髪は茶でその服装はシャツにショートパンツという姿。
しかし腰には小剣をさげていて戦士であると分かる。
額には魔法の文字が刻まれた布を巻いていた。
「何だ?、一体…」
そう思ったがエルドは昔これに似た事を経験しているのもボンヤリと思い出した。
「先生お久しぶりです、ケシャです‼︎」
「ケシャ…相変わらず蹴り癖は直っていないようだな」
「えへへへ…」
照れたように頭を掻くその女性にエルドは気づいた。
「ケシャ?、ケシャか?」
咄嗟に出た言葉だったが今、目の前にいる女性はエルドの知っているケシャではない。
エルドの知っているケシャは活発で落ち着きのない12歳の少女だった筈だ。
「ケシャ、大きくなったな」
「はい、覚えていてくれて嬉しいです」
このケシャも10年前にエルドが魔法を教えていた教え子の1人だ。
「それで、こんな朝早くから何の用だね」
エルドは窓を見ながらケシャに言う。
外はうっすらと明るくなってきたとはいえまだ明け方だ。
「はい、先生がここにいると聞いてやってきました」
「それは嬉しいな、だがノックとドア開けは同時ではだめだ」
「はい、すいません」
これは昔からのケシャの癖だ。
昔に散々言った事だが直ってはいない。
「とにかくケシャ座りなさい」
「はい」
ケシャは木の椅子に座る。
エルドもベットから出て木の椅子に座った。
「その格好は…魔法戦士かね?」
「はい先生、私は魔法戦士になりました」
「そうか、何にせよ魔法に関わりのある職に就いてくれていて嬉しいよ」
「はい、先生に教えてもらった事が活きています」
「最近は魔法使いの職が無くなったと聞いた」
「そうです、残念ですが…」
「時代の流れかな、賢者と魔法戦士しかないとはな」
「いえ、先生、正確には賢者と魔法戦士と聖戦士です」
「な…なに?」
「魔法と神聖法を使えるのが賢者、魔法と戦士が魔法戦士、神聖法と戦士が聖戦士です」
「なるほど、魔法戦士がいるなら神聖法と戦士の組み合わせもあるのか」
「はい、そうした2つの力を持った者をダブルと呼びます」
「ダブルか、さしずめ私のような1つの事しかできない者はシングルといった所か」
「はい、そう分類されています」
「はは、分かり易いな」
「そして、魔法と神聖法と戦士の3つを併せ持つ者をトリプルと呼びます」
「そんな者がいるのか」
「はい」
ケシャの説明にエルドは流石に驚いた。
もう無理、もう無理と思いつつ書いてしまうが本当にもう無理です。
書くには忙しすぎて時間が…。
忙しくなくても時間が…。
つまり無理です。