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老魔法使い

40年前に魔王は倒された。

それから40年、魔王を倒した魔法使いはそこにいた。


人里離れた山の中。

そこに暮らす魔法使いエルドは今年で60歳。

40年前に魔王を倒して以来ここにひっそりと住んでいる。

そもそも人付き合いなど嫌いな人間だ。

自給自足とまではいかないが山小屋でそれなりに生きている。

そんなエルドの前にある日訪ねてきた女の子が1人。


「お久しぶりです、エルドさん」


そう声をかけられても誰だかは分からない。

歳の頃は15〜16歳ぐらいか。

しかし見覚えはない。


「誰かな?」

「お忘れですか?、メリアドールです」

「メリアドール?」


その名前は知っている。

しかしエルドの知るメリアドールは小さな女の子だった。


「どちらのメリアドールさん?」

「からかわないで下さいエルドさん、トルルのメリアドールです」

「ん?、しかし私の知っているメリアドールはこんな小さな女の子だが」

「エルドさん、最後に会ってからもう10年経つんですよ?」

「ん、そうか、そんなになるか、本当にあのメリアドールかね?」

「はい、そうです」

「大きくなったな」

「エルドさんもお元気そうで何よりです」


立ち話も何なので家に招き入れるエルド。


「それで?、私に何か用かね?」

「はい、早速で申し訳ありませんが魔法を教えて下さい」

「魔法を?」


聞けば魔法戦士を目指しているらしい。


「魔法戦士とはな、何でそんな面倒な職に?」

「?、面倒ですか?、魔法職といえば魔法戦士や賢者ぐらいしかありませんし」

「魔法使いになればいいのでは?」

「エルドさん、今は魔法使いなんて職は無くなっています」

「なに?」

「今は複数の事が出来なければならない時代になっています」

「魔法使い専門職は無くなっているのか…」

「はい、戦士と魔法使いの両方が出来る魔法戦士か魔法と神聖法の両方が出来る賢者しかありません」

「それではより深い魔法を研究する事も出来なくなるのでは?」

「今は広く浅くが求められています」

「ふむ、そんな時代になったか」


昔エルドが若い頃は専門職が持て囃され中途半端な魔法戦士や賢者など馬鹿にされていたものだが。


「なるほど分かった、メリアドールが魔法戦士を目指している事は」

「それでエルドさんに魔法を教えてもらいたいのです」


更に聞けばメリアドールは魔法戦士の学校に入った。

しかし剣はともかく魔法については教えて貰っている内容では物足りなくなったメリアドールは同期を突き放す成績を求めたいためにかつて魔王を倒したエルドの元を訪れたのだった。


「私は教えられないぞ」

「どうしてですか?」

「もう歳だし何より今の魔法について知らない」

「大丈夫ですよ、魔王を倒したエルドさんならば」

「いや、私1人で倒した訳ではないからな」

「とにかく教えて下さい、お願いします」


ペコンと頭を下げるメリアドールにエルドは困惑した。


先生としてはまるで向いていない。

確かに昔は少し若者に教えていた事はあるがそれもうまく教えられとは言えない。

当時の子達も自分の分かりにくい説明でよく付いてこれていたと思う。


「そういえばメリアドール、何歳になった?」

「今年で15歳です」

「時間の経つのは早いな、教えるのは構わんが私は教えるのが下手だ、それも良ければ…」

「お願いします‼︎」


言い終わらない内にメリアドールは元気に答えた。

続く…?

否、絶対続かない

適当に書いただけなのであしからず


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