第六話...後追いの死神
はい!前話が第六話と書いていて戸惑った人がいるかもですが!単純なるミスです!そして、評価ありがとうございます。評価を受ければ、ちょっと進行度合いが上がるかも?
出口に先回り、磨器伌が頑丈な扉を無理矢理こじ開けると、透明な液体が渦を巻いて周囲の破壊する。
────硝子か?
予知術で攻撃が来る事を自然に知っていたので飛び上がり、磨器伌は腰に吊るしてある黒刀を抜刀し、赤黒色の雷撃を纏った初級風属性魔術を応用した斬撃を放つ。
すると何処から脱出したらしく、二手に分かれて逃るのを把握術が感じ取る。
「こいつらは俺がやる。逃げた二人は殺しても構わん」
三手に分かれて移動した明麗だったが、距離置いて数分後には待ってたと言わんばかりに白衣を身に、ニヤリと腕時計を確認して笑う男。
カラオケの地下にも、護衛の一人や二人は居るだろう。それも、高い実力を誇る人物である事は明白だ。
だが、彼は一つ勘違いをしている。
「探偵さん。私はつくづく思っていたのだよ。君達は一人が強異能者で、もう一人が頭脳担当であると」
「何でそう思っちゃったの?」
「彼と距離を置くことさ。彼は強化術だけで彼等を葬るだろうが、君は能力を使えば、正体がバレてしまい完全に詰みな訳だ。彼の足手まといさん」
「私は貴方を追って来たんだよ?離れるのは当たり前だよ」
「違うね。君達は常に行動中ある程度距離を置いていたのが根拠だと言っているのだよ?わたしは」
「うーん?半分正解かな?私は彼奴の足手まといだよ?それに、私は彼寄り馬鹿だから、死んだ訳だし?でも、私の実力が貴方寄りも低い見積もりなのは浅いとしか言えないよ。トルクのパワーが弱いとか思考が浅って言われちゃうよ?速さも、重さも大切だよ」
「は?」
「ねぇ?この世界の大半の力って、何だと思う?絶対的"個"のワンマンプレー?いや、違う。数の暴力に他ならないよね。雑魚が100人いても、彼には到底勝ち目なんてないけど、それってさ?数が足りないからだよね?私はそう思う」
彼女の能力、神像傀儡異力・魔力・霊力を消費した分の強さを誇る異獣を生誕させる。1の単位が存在すると仮定するなら、雑魚が生まれるも、10万ならSレートさへ一方的に倒せる戦力になる。
それも、束になればSSレートやAAASレートも倒す事が可能。
そして、彼女の能力はロスが全く存在せず、キッチリと消費させる。ロスが存在するとすれば、異獣が生まれた時に手に入れた基盤発動時のみで、このロスは異獣自身のものであり、明麗が取り込めば探知も不可能となる。
磨器伌とは真逆な"個"としてではなく、明麗は"軍"として最強の位置付けの最強の能力。凶悪なのはある一定の異力か魔力を持つと、生命判定を受けて基盤を世界から与えられる事で、異獣を体内の生得領域内で力に戻して基盤を抽出する事が出来る。
人格を持つ者もおり、学園での二つ名は最凶の二文字だった。
「出ておいで!」
突然空間が漆黒に染まり、パリパリと音を立てて砕け散る。驚き、目を丸くする男の前に現れたのは高層ビルと同等か、それ以上の巨体を誇る蚯蚓にも蛇にも酷似する巨大な龍。
もう一体は4mを遥かに超える漆黒の巨体を持ち、巨木を連想する筋肉質の両腕にはチェーンソーが埋め込まれ、グルルルルと唸り白い息を吐く。
藩発鏡冥獸────それは明麗の異獣の中で最強の存在。
能力を複数個保有し、結界術の最高峰である異能結界や固有結界等も使用でき、能力一つ一つが最強クラスの物が選抜され、多種多様のコンボを想定されて制作されている。
彼らを凶悪たらしめるのは、彼の制作肯定にあり、異力・魔力・霊力で構築された藩発鏡冥獸は三種の力が籠った攻撃でないと攻撃を受けず、それが概念攻撃ですら無意味になる。
魔力を持つ者が六割、異能を持つ者が三割、霊力を持つ者が一割のこの世界では三種全ての力を保有している者が珍しく、彼等と対等に戦える土俵にすら上がることは極めて困難である。
「強力そうだな〜」
「フーン。余裕そうだね」
「余裕だよ。来い!彩禍!陣禍!」
白と黒の人型の異獣。両の手には鎖が繋がり、二体は繋がっている。
式神は異獣と基本同じで、ただただ呼び方が違うだけである。違いは式神は召喚に近く、人同様に自己でエネルギー補給をしているので自己で完結している。
あとは、一度破壊されると二度と召喚出来なくなり、召喚なのでスペックは式神本人のものであり、異獣の用に後に強化術を付与出来ず、基本は命令しか出来ない。
────彩禍は他者の防御系基盤を貫通し、高い火力に寄って相手を殺す。陣禍は概念防御系で最強クラスの異能を持つ。あらゆる攻撃を無効にする。能力、速くあのガキの能力をしゃべらせるか。
藩発鏡冥獸・白雷神解・異界獸偫魈がチェーンソーを吹かし、雄叫びを上げなら白衣の男に向かい地面を砕いて駆け出した。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
「無駄さ。彩禍!黒い巨人を屠れ!」
「あっ!ちょっとごめんね〜」
明麗が掌を向けると、二体の式神の一部が黒ずんで液状化する。一瞬にして全身が泥に変化すると直ぐさま明麗の手の平に吸収され、突然明麗の背後に陣禍と彩禍が現れる。
ニヤッと笑う白衣の男に、チェーンソーが振り下ろされ右半身を大きく斬り裂かれ、大量の赤黒い鮮血と共に肉塊が宙を舞い地面にぺシャリと生々しい音を工路現場に響かせてる。
左腕のチェーンソーが拳に変化し、動揺する白衣の男の顔面に強烈な一撃が叩き込まれる。
何十メートル吹き飛び、ゴロゴロと血を流しながら喘ぐ男が明麗を視界に入れる寄りも速く、視界に飛び込んで来るのはハイスピードで右腕のチェーンソーを振るう白雷神解。
「まっ!マズイ!」
「──────────ッ!!!!」
「はい。私の勝ち......うん?」
「まだだ!絶対防御。いっ、異能っ!け───ッ?!」
六角形と五角形が球体を作り出し、一撃を防ぐ。それはありとあらゆる攻撃を三度だけ、絶対に防ぎ切る最強のクラスの固有魔術だが、チェーンソーを吹かすと共にバリアが砕かれ、吹き飛ぶ白衣の脚を掴んで握り潰す。
白雷神解の固有能力の一つは、森羅万象の事象に適応し全ての障害や厄災を突き進んで対象を殺すまで進み続ける。
何度も何度も巨大な拳が白衣の男に振り下ろされ、17mを超える巨体に変化させて更に振るう。
血の池が砕かれた地面に溜まり、この世から肉塊や血液さへも消失するまで彼の攻撃は続く。
────ボスは......頼んだよ無儽衊君。
建築現場が続く鉄骨を爆速で駆け、ビュンビュンと黒のローブが靡く音だけが聴こえ、手に持つ二丁のウィンチェスターライフルを放つ。
何だ?これは?......動きが物理法則を無視している?何故月明かりを駆け、無を駆けて進む?あの探偵二人も化け物クラスだが、アレは恐らく一つの概念を極めたものだろう。コイツは狂っている。
有限的超越概念の二つ名は、彼の《《死》》と言う生命が必ず抗えない絶対的事象の一部を克服している事にある。
彼は姉の異能に寄り、決して自殺する事が出来ない。これは行動に起こせないのではなく、死の概念が彼を包み込み、本来の分裂された力と魂の封印されている多次元空間に移動する寄りも前に、能力が適応される。
死を否定し、強制的に蘇生する。これは時の巻き戻しであり、命を懸けた制約条件として姉の自殺が世界に認知され、承認された事に寄るある種のバグの様な物である。
死んだ物は爆発的に力を上げ、死後に発動する制約条件で発動する固有と異能力の性能を上げる。コレに寄って彼は何度も死を体験し蘇生される事で、何百とも倍増させる。
コレに寄って命が繋がっている探偵二人と同等の力量と、総量を誇る。
「これは、"魔法の域"に達している動きだ」
月を明かりを駆けるのは、彼が月を駆ける能力を蘇生時に手に入れている為であり、これは単なる蘇生では不可能。
彼は神と同等のAAASレートであり、彼本人の力を使った瞬間、相手は死ぬ。
「俺と一緒に死んでくれないか?」
「は?君という男が私程度の配下と共に死んでくれるなら、有難いがね〜」
無儽衊の言葉と同時に、彼らは"堕ちる"のだ。底知れぬ闇に、底に、奈落に、地獄に。ある種の固有結界であり、異能結界である。
これは異能力でありながら、魔の力も保有するので放たれれば繰り返す寄りも前に対象には"此処で共に死ぬか"逃走"の二択が迫られる。
此処で死を選べば術者諸共死亡するが、逃走を選べば死の概念を纏う大鎌を彼に与える。
この選択しは姉の異能がなければなく、二人ともに死ぬだけの能力であった。
────存在もしなければ、生きている訳でも、死んだ訳でもない。磨り減り無くすべなく、自己は自死を選び続ける。それが、決して奈落に魂を棄てる行為だとしても、彼は腐食した人生に置いて螺旋の終幕を迎える。
彼の異能名は有限的超越概念。死を超え、幾度となく他者を殺すだけに特化してしまった概念異能。
「固有結界か!?」
肌感覚で寒気を感じ、堕ちると言う感覚が全身を包み込む。周囲は漆黒と言うだけで何も無く、本能で"死"が底から迫るのを感じる。
────選択の時だ。
「異能結界」
人差し指と中指を絡め、異能基盤を120パーセント使用し結界内で世界を創造する結界術の最奥。
────否定か。それも良いだろう。
左手に握られるのは、3mは優に超える持ち手が漆黒の大鎌。1mある三日月型の刀身は紫色で、人を狂わせる効果がある。
結界が完全に構築され、心象風景が無儽衊を包むも漆黒の闇が染め、腐敗した結界は崩壊の道を辿る。
「生きている事が辛かった。お前もそうだと思ってたけど、違うんだな......俺と同じ、人一倍惨めな人生を送ってそうなのに」
「は......ハハッ!ん?手首が────ッ?!」
いつの間にか斬られていた手首からは大量の血が溢れ、手で抑え止血しようとするも勢いが弱まる事はなく、首に何かが引っかかり鉄骨から脚を滑らせる。
動脈を閉め、高速で男を引っ張る縄は抗う手を透過してビルへと叩き付けて引き摺り回す。
「流れた血の跡そのままに、掻き鳴らせ過去の詩」
大鎌は無儽衊の手を離れ、頭上でクルクルと回転し上昇。血の前を降らし、ヘラヘラと笑う少年は高い建造物の先端に乗り、バランス良く踊っている。
期待してた未来は、彼に取って味気ないものだった。全て、死が待つだけで、最後には何もかもを取り上げられてしまう。
過去を振り向くと、ゲロが出そうなくらい辛い人生。前を向いても目眩がした。笑顔何て忘れ、他者を憎む事が彼の精神を安静させる薬となる。
泥の中で死ぬと、そう思い何度も何度も飛び降りたが、決して死ぬことが出来ない。
落ちこぼれと言われ続け、死んだら全て忘れてやり直せるだろう。来世は、来世こそは、楽しい人生が送れるかも知れない。
「全に満ち欠け往く月は心模様」
姉が手渡したナイフを手に取り、少年は鳴く少女と共に喉にナイフを突き刺そうとにも、一瞬の恐怖が命を助けた。
最期の姉の言葉も聴こえず、冷たくなる姉を抱き締めることしか出来なかったお利口さんな彼は、死ぬ前が一番の心地良さを感じる。
鎌から降り出す鮮血が硬化し、槍の如く降り注ぎあちらこちから爆発音にも似た衝撃が夜間に響き、高い土煙が巻き上がる。
「飛び散る赤色は星の様」
何故人は、生命は死ぬのか。それは過去の自分が犯した罪を、清算する為に死ぬ。
燃えて死のうが、海に沈もうが、餓死しようが、手首を斬ろうが、飛び降りようが、首を吊ろうが、全て逝き先は同じ所。
場所も時間も、方法だって全て関係ない。誰だって始まったのだから、終わりは必ず来る物は何にも変えられない。
手元に戻り、紫色に輝く三日月型の刀身と月を重ね、漆黒に塗り潰された寄るを裂く。
「振るわれるは、死を纏いし大鎌。降るわれ浄化せんと清算される過去の異物。闇夜に堕ちる迷える子羊達よ、我が刻む軌跡に──────散れ!」
明麗ちゃんも磨器伌君も強過ぎるので戦闘はカット!!
「いや〜〜、無儽衊君強いね?私の戦闘シーン少ない」(明)
「一人称がオレから俺になってる!?修正......」(誘)
「ねぇ〜〜少なくない?」
「ORT&マコーラ+蚯蚓+ワルプルギス+トットムジカを大量に保有してる奴はNG」
「え〜〜!」
「概念創造とか、概念破壊とか!君達強過ぎるの。私の物語に邪魔なの」