第一章第三話...夜行列車殺人事件
この物語は将来、お前さ、何見てんの?って言われた時に
「推理物だよ」
と、カッコつけられる話にしたい。まぁ、殺人事件のネタね、尽きたわ
電車に揺られながらスコッチのキルト区に向かう途中、電車がゆっくりと停車し、誰かが騒ぐと隣室の人も他の車両に行ってしまった。
雪が降る冬の時刻10時過ぎ、到着は朝の6時半の筈だが、何かが起きたのか?
「何が起きている?」
「事件かな?」
「最近、何かしらの事件に巻き込まれるな。巻き込まれ体質になった覚えは......あるな」
目隠しを外し、ウィザードフードジャケットを羽織り、呆れながら部屋の住みで動画を観ている明麗の椅子を蹴り、共に野次馬が集る車両に向かうと、自称探偵と医者が女性の遺体を囲んでいる。
むさ苦しい野次馬共が集まり、写真を撮るバカは些か多い為、助ける事が難しい。
「行かないの?」
「利き手と言うのは無意識何だ。俺たちがでしゃばって、二人が左利きなのがバレて事件を解決したら、これこそ終わりだ。特定されて詰む」
「うん」
「まぁ、我々は今野次馬に過ぎないからな。探偵がいるなら、解決できると信じて、出発を待とう」
廻希は頭を捻る自称探偵の男性に対して、馬鹿にする様に微笑んで見せた。
炎柄がデザインされた黄金色の缶珈琲を開けチビチビと飲んみ、廻希は嘲笑う様に数分、見詰めていたけど、何度も貧乏揺すりして、落ち着かない様子。
「どうしたの?」
「何故解剖しない?解剖医がいないのか......」
「探偵さん、もう解剖してよろしいですか?」
「あっよろしくお願いします」
「何だ。居んじゃねぇかよ......」
休みの旅行中に寝ていた警部が到着し、解剖が開始される。医者は解剖が終わると頭を悩ませ、警部と自称探偵と話している。
が、頭を悩ませている。
事件も解決しない様なのでフードを深く被り、お水を飲んで声を高くする。変装用に準備していた鬘やカラーコンタクト、マスクを付ける。
「あ〜......あー」
「やっぱり行くんだね」
「アレから数時間、もう待てねぇ。行くぞ」
「はーい♪」
事件現場に移動し状況を聞くと、毒に対して詳しい人がいない事から事件が軟膏しているらしく、列車も犯人が逃げる可能性がある為に移動させる事が出来ず、動かせないらしい。
薬師を目指す学生だと偽り、事件現場の情報を手に入れる。
「最後に食事や飲み物を飲んだのは7時頃、旦那さんと駅前の店で食事が最後らしい。死因は心筋梗塞の不整脈、死亡推定時刻は9時50分程。アコニチン、これはトリカブトに含まれる毒で、短時間で死に至る」
「ふむ......ふむ?」
左利きに憧れを持っているのか、噂の探偵に憧れているのか判りないが慣れない手付きでペンと手帳を持ち、ペンを走らせる。
リング手帳は残念ながら左で使うと書きにくいし、何故かペンは壊れたと錯覚する。でも、右手で使うと何故かインクが出るクソアイテムのダブルコンボを使うとは、此奴さては馬鹿だな?
「友人からの情報によると死ぬ前に下痢や嘔吐、呼吸困難や心臓発作等の症状が確認されたらしく、アコニチンが体内で見つかった事から恐らくは毒殺。犯人も間違いなく彼女、でも彼女のカバン等に怪しい物は無かった」
「そんな事は分かってるぞ」
「へぇ〜?今の現状は探偵と名乗るなら推測が複数個あるはず、聞かせてもらってもよろしいかな?」
「は、はっ....はぁ?!」
「度重なる推測をして可能性が高い方を喋る位は出来るだろ?一つ聞かせて下さいよ」
「何か喧嘩腰だね、磨器伌」
「何か、足引っ張られている見たいでウザイ」
「俺は左利きの探偵、今は相棒と連絡が取れなくてな......先ずは相棒と相談しねぇとな。悪いか」
何だろう。世間一般と言うか、若者の俺へのイメージと言うか、俺ってこんなイメージなのか?
ちょっとショックだな。精神的にキツイし、無性にイライラするのはあのヤンデレ女に無性に追われ続けた日々以来だ。
でも、俺はある事件で異能禁止区内で炎をぶっぱなして、数軒の団地が燃えた事で、犯罪者としての一面も増えてしまった。
正確には犯罪者判定ではないが、表向き"探偵"は生きているので、犯罪者として指定され、変装していた赤髪のコードネームを付けられている。
"左利きの探偵"を名乗ると言う事は、実質「僕は犯罪者です」と言ってる様なものである。
「アコニチンは即効性が強い。犯人は同室の女性なのが妥当だが、二人に持ち物がない。この意味は解るかい少年?」( -`ω-)✧
「まさか俺の真似をしてる積もりじゃねぇよな?な?」
「何なんだよこのアマは!俺は名探偵だぞ」
「は、はぁ......」
「落ち着いて下さい」
「ま〜落ち着こうよ」
(お前の所為だけどな......)
自称探偵が騒ぐと警部や医者もザワザワと騒ぎ、探偵も歯を食いしばる。
彼奴は女の子が事件の解決するかもしれないと、焦っているのだと予測できるが、警部はいつ探偵が暴れ出すのではないかと、怯えているのだ。
「分かっちゃったんだよ!」
「なんだ」
「ゴニョニョ」
「あ〜......お前、そういや好きだったな、、、」
「ここは私達がこの難事件を解決して見せましょう」
自称探偵は焦ったのか、何かを叫ぼうとしたが食い気味に明麗が優しく微笑むと、男は惚れたのか顔を赤らめ黙り込み、フードで顔も見えないのに見つめている。
明麗は元々御令嬢だったので、家事も勉学も出来る。顔もいい為、振る舞いやらで非常にモテる。俺と似た境遇だが、彼奴寄りはマシだと今でも思う。
「毒をもって毒を制す。知っていますか?テトロドトキシンとアコニチンの二つは吸収に余り差は無く、代謝においてテトロドトキシンが早く代謝させる」
「アコニチンと真逆の効果を持つのはテトロドトキシン。有名ですね。まさか」
「テトロドトキシンはアコニチンと比べて血中濃度の最高値にちょっと遅く達し、体内から消失するスピードが早いと分かっている。 此処で注目すべきはアコニチン寄りとテトロドトキシンが早く体内から消失してしまう事だ」
明麗と交互に淡々と語り、難しい用語は俺が説明する。
「血液内に入っている薬の量"濃度"を表し、一応言っておくが、テトロドトキシンはフグ毒で有名だな」
「これの意味するところは同時に投与した際にはアコニチンが体内に長く残るという事、つまり同時に投与した場合アコニチンの持続時間が長いのです」
「併用した場合、アコニチンの作用がしばらくテトロドトキシンで相殺され、ある程度時間が経つとテトロドトキシンが体内から消失し、アコニチンの毒性が発揮される」
「まさに時限毒弾!実験動物を利用し家に証拠物品がまだたる可能性が高いです」
「三時間前、7時頃に最後に飲み食いしたのは夫との駅前の恐らく人気がないレストランの個室で、一服盛られたと推測できる」
「犯人は旦那さんです!物動態的な視点で考えれば良かったんです」
「駅まで個室があるのは一つの店、今から旦那さんの部屋を調べれば証拠は出てくると思います。はい!解散!!」
「終わり方酷すぎんだろ」
呆気に取られる警部が動き出し、俺たちに頭を下げて犯人逮捕に向かって行く。医者に数分褒められ、名前だの情報を聞かれたがスルーする。
自室に戻る際に自称の探偵に呼び止めら、明麗の手首を掴かむ。
────メンドクセェ〜。誰も見てねぇし、此処で気絶させて置くか......?
「気安く触れるなよ」
「君たち、何者だい?」
「私たちはねぇ」
「先ずはこの手を話せ」
俺が手首を強く握りしめ、右手を開けさせる。苦痛に顔を歪ませる男の腹に一蹴り入れ、蹲る男の頭を踏み付ける。
物音で騒ぐ声が聴こえたので、自分のヤラカシに気付く。時刻は午前4時なので、つい雑に扱ってしまった。
「"本物"の探偵なんだよ。私達は」
「あぁ。《《左利き》》の探偵だ。逃げるぞ」
「えっ?この寒さの中を走るの!?」
「うるせえ!」
明麗の腰に手を回し、壁を透過する。線路から飛び降り、雪が降る夜の街を駆け、朝あやくのリニアに乗ることになった。
毒物とか内容が難しい?その方がカッコつけられるから良いぞ
「此処でアコニチンとかの何で人が死ぬとか、教えた方が良い?」(明)
「多分需要ないぞ」(響)
「結構面白いよ?作者が一時期ハマって見てたくらいわ」(明)
「高校生?大丈夫か、頭」(響)
「速く進めてください」(誘)
「私達の護る街はウイズと言われる街、治安は良い方」(明)
「偽造品や探偵もどきの犯罪者がいます」(響)
「コーヒーが有名だったりするよ」(明)
「街は常に良い匂いが漂い、紅茶派を許しません」(響)
「許します!」(明)