通学中、女子高生と恋をした。
4月15日午前8:00、そんな早朝から始まった、恋
「おはよう」
その一言が無かったら、今の環境は生まれなかった。
いつもの交差点、信号待ちしている俺こと佐崎奏17歳の高校二年生だ。
毎朝思うけど、なんでこんな朝早くから学校に行かなきゃならないんだ・・・と思いながら車が走り去るのを眺める。
「おはよう」
はぁ~、俺もJKから挨拶されたい人生だぜ・・・
「お~は~よ~お~」
早く挨拶返してやれよ。
「君だよ!き~み」
どんなイケメンがJKから挨拶を返さないのか眺めてやろうと思い振り返ってみると、
シルクのような長い黒髪、アーモンド色の瞳、その上、出ているところは出ているし、引っ込むところは引っ込んでる。
「ん~かわいい!!」
「えっ」
俺の心の声が聞こえたか~・・・聞かれて恥ずかしい事は言っていないから大丈夫だけど。
「急に褒められたらさすがの私もうれしいな~// でおはようは?」
ん?あ~はいはい・・・
「?????????もしかして、俺のこと?」
「そうだよ!奏くん」
申し訳ないが、俺は記憶力は高い方だ。学校でもお話をしたらその名前と顔はセットで覚える。
しかも今回のケースは美少女だ忘れるわけがない・・・
「ひ、久しぶり~^^」
「そうだね、10年くらい前かな?幼稚園で一緒だった!陽菜乃だよ~覚えてなかった?」
「覚えてたよ、でも急だね、高校二年の通学路って。普通一年生の時に会うくない?」
「最近引っ越してきたんだよ~。私が幼稚園年中さんで転園したの、もしかして忘れた?・・・」
何か含みの有る言い方だな。
「ごめん、覚えてなかった。」
「そっか」
なんだその反応。テンションが100から0になったみたいじゃないか。
ここはギャルゲーの申し子と言われたこの俺が君の事を笑わしてやるよ!
「・・・どこの高校に入ったの~?」
何だこの質問は!我ながらコミュ障っぷりが恥ずかしい!!
「県立南校だよ~」
「隣の学校じゃん!俺、県立西高だよ。結構近くまで一緒だね。」
信号が変わった。できればもっと早く変わってほしかった。
通学中は他愛の無い話を続けた。犬が好きだとか、前在学していた話。そして、幼稚園の話
「奏はヒーロー役だったっけ?私はお姫様役な気がする!似合ってるな~私」
「それは覚えてるよ!」
「それは良かったよ!あの時の奏はとてもかっこよかったよ!」
「あの時って・・・10年ぶりにあったらちょっと違うかった、みたいな感想止めてくれる!?!?」
「そんなことないよ!今の君も、かっこいいよ」
「それは言わなくて大丈夫。」
恥ずかしがってしまったが正直
めっっっっっっっっっっっっちゃ嬉しい
5月20日
それから朝が楽しくなった。朝寒いな~とか、授業めんどくさいな~と思いながら交差点を待っていたがその日から苦じゃなくなった。
毎日、昨日の授業の珍事件や、それぞれが思っている先生の愚痴、小テストの事。
でも最近、一つ話題にしてはならない事が分かった
「で~俺の友達が言うんだけど・・・大丈夫?なんか体調悪い?」
「いや、全然大丈夫だよ~いつ通り元気すぎて、逆に元気だよ!?」
「どういう意味だよ」
「あはは~」
あれから毎日登校してるから分かる。ギャルゲーしかせず、本物の女子と会話なんて陽菜乃以外としないけど分かる。
何か隠している・・・
私の名前は陽菜乃、普通の高校2年生
になるはずだった女の子。
君に会ってからは普通になろうと思っても出来なくなってしまった。
恥ずかしいけど今だけはそう思う【運命】という言葉は本当に実在していた。
5月14日午前8:24分
皆~おはよう・・・どうしたの~そんなにざわついて~?
ダン!っと机が蹴られる音はドラマでしか聞いたことがなく反応の困る私。
「美代?どうしたの・・・そんなに怒って・・・」
その答えは言うまでもなく私の責任にある。
私は自他ともに認める美少女。そんな女の子が転校してきたら【一目惚れ】なんていうピュアな言葉もあるだろう。
「あんた昨日3年の智也先輩から告白されたでしょ。」
「・・・うん」
「どう返事したの?」
「ごめんなさい、その一言・・・だけ・・・」
「信じられない、みんな!こいつの事今日から無視!わかった???」
こんな性格だが、いやこういう性格だからこそスクールカーストが上位なのだ
「陽菜乃ちゃん」
「ありがとう、秋、大丈夫だから」
「二度とかかわらないで・・・」
そういって唯一の友達を
傷つけてしまった。
ある日の放課後俺は来てしまっていた。
なんのプランもなく、彼女の学校へ
「あの~すみません~^^陽菜乃さんってご帰宅しましたでございましょうか・・・」
「えっ、えっ、うん、そうなんだけどなんで西高の生徒さんが陽菜乃に、なんの用?」
「いや~、なんというか~・・・陽菜乃さん、今日、見ないな~って思いまして・・・」
「思っただけで、今日帰宅したのか聞きに来たの????110番するからもう少し待って・・・いや違う!陽菜乃に電話するから10分だけ待ってね~!絶対にうごいch」
「まって!!お願いだから110だけは待って!」
「じゃあ、なんなんですか?陽菜乃に何か用ですか?もし、あの件なら私があなたの事を大説教します!例え陽菜乃になんと言われようとも!!!!!!」
「あの件・・・?」
「あの事件についてですよ!!」
「やはり、俺の読みは当たっていたか・・・」
6月10日
午前8:10分、俺は一人で、待っていた、この交差点を。
あれから毎日少しずつ陽菜乃が遅れてくる。
最近になってからはさらに酷くなっていった。俺は毎日が楽しみなのに。
流石に今日も遅刻したらダメだから先に行っとくか。
「今日も先に行ってるぞ~!」8:12
よし、ラインも送った事だし大丈夫っと。
「ごめん、今日も先に行ってた!もしかして、待ってた?」8:12
ん~恥ずかしいから待ってない事にしよう。
「全然待ってない、むしろ着いてた。」8:15
「嘘はダメだよ~~」8:15
その日から彼女が俺と一緒に学校に行くことは無かった。
あの日から俺はいつもと違う通学をしていた。時間変えたとかじゃなく、電車通学にした、とかでもない。
同じ自転車、同じ時間、同じ通学路。
でも違う、いつも通りではないのだ、そう彼女がいない。
なんて心は寂しいのか・・・
「ひ、久しぶりだね・・・」
「陽菜乃!!めっちゃ!めっちゃ久しぶりだね!!!いつも早く学校行ってたみたいだけど今日はいいの??」
「うん。もう大丈夫だから、学校・・・行こっか・・・」
季節は夏。地球温暖化も進んできて7月、半袖半パンでも問題ないくらいなのに・・・
陽菜乃は
震えていた
これはギャルゲーマスターでもなく、普通の女の子としゃべれない俺でも分かる。
彼女も普通じゃないという事を
「じゃあまた明日、交差点で。」
「うんまた、明日。」
今日は長かった、授業もいつもより長く感じた。
逆に考えればそれ程、思考時間が長かったという事だ。
何故、友人の話をしたら、落ち込むのか、
何故、通学時間が急に変わるのか。
何故、あれほどラインの返信時間が短いのか
何故、震えていたのか
「っていう事件があったんですよ・・・っって聞いてますか?????」
「ごめん、秋さん、よく聞いていた。あぁよく聞いていたよ」
「本当に聞いていましたか??」
「うん、君と陽菜乃が(ひなの)が仲がいいという事をね。」
「そんなこと・・・無いです・・・」
「よく分かった。助けを求める声が・・・」
「助けて・・・助けてください・・・陽菜乃を・・・一人で抱え込んでいる陽菜乃を・・・」
「一人じゃない。三人だ。俺と陽菜乃と秋さんと。三人だ」
「秋さん!陽菜乃の家、知っていますか?」
「うん」
「行きましょう、助けに。」
ここが、陽菜乃の家か・・
外見は白く三階建て、車も一台止まっており、なかなかの豪邸に住んでいた。
チャイムを押す、出てくれ!
「はーーい、どちら様でしょうか??」
「はっ、はい!!あの同じ学校のじゃなくて・・・同じクラスのあっ、、秋です!!!!!!」
多分彼女もコミュ障なんだろう・・・
同志よ・・・陽菜乃にコミュ障脱却してもらった先輩の語彙力を見よ!!
「あっ、あっ、あっ、え~~~~~~っと、その~~~~~~~~、あのあれです。はい、すみません、いつも通学してる・・・・不審者じゃなくてその~~~~~・・・」
「奏君、名前だけでも・・・」
「奏です!」
「苗字っ!!」
「あ~~、もしかして、上野君?」
「なぜ僕の苗字を?」
「そりゃ、いつもきいt」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「!?」「!?」
「どうしたの~今日、また明日って別れたはずなのに、なんで・・・今日・・・また会ったの・・・」
「とりあえず、入れてくれ!!!!!!!!」
「ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「なんだ秋さん、対面じゃなきゃ、話ずらいだろ。」
「そうですけど、いきなりの女子の部屋に入るにはその・・・女の子にも用事ってものがあるんです」
「じゃあ、いつならいいんだ!」
「10分後です・・・10分待ってからまたインターホンを押しましょう」
「分かった」
初夏の10分はいつもより早く感じた。
「いいよ・・・」
「お邪魔します」「お邪魔します」
彼女の部屋はベッドの上にぬいぐるみなどがあり、実に女の子の部屋だった。
女の子の部屋は、実在する!!!
白ひげもこんな感じであの名言を言ったのだをう・・・
「それでなんで今日は二人で来たの?私は、いつも通り、元気だったよ。ね?秋」
「それは違うね」
「え?もしかして、秋、私の学校の事話した?」
「はい。全てを話しました」
「そっか・・・聞いちゃったんだね。確かに秋は私の事嫌いだから、言って当たり前だよね・・・」
「ちが」
「それは違うよ、陽菜乃むしろ秋さんは君と同じくらい思い悩んでいたよ。」
「なんで・・・」
「それは、君の愚痴を初対面の俺に吐かなかった、初対面の俺に、助けを求めた。それが答えだ」
「確かにあの時の私は、陽菜乃ちゃんに言葉を伝えれなかった。だから・・・ごめんなさい」
「秋・・・。私の方が、あんなにひどい言葉を言ったのに。もう二度と喋れないかと思って・・・私・・・ひどい事を言って・・・」
その陽菜乃の声は、今にも途切れそうで、か弱い声だった。
「いいの・・・もう大丈夫だから、明日からはまた親友ね。」
「うん!!」
その返事は初めて会った時のような元気な声だった。
「はい!もう悲しい話は終わり!それより、せっかく奏君が来たんだし、幼稚園のお遊戯会のビデオ見ようよ~!!」
「それは大変気になります!!」
「実は用意していたんだよね~、ブルーレイモードにしたらすぐに見れるんだよ~!!」
「えっ、なんで、すぐに」
「はいはい、見よ!見よ!ねっ秋!!」
「そうですよ!仲直り記念に!!!」
俺の言った言葉がすぐにかき消された。
後日、彼女はいつも通りに見せかけていた。震えてはいない、笑顔を絶やさないその顔は皆が一目見たら100人中99人は可愛いと思うだろう。
しかし、今日の俺はその中の1人だった。
「はい、それじゃあ、今日の授業はここまで!明日小テストするから復習って、上野!HR終わってないぞ~~~!!」
その日の俺の廊下を走るスピードはウサイン・ボルトよりも早かっただろう。
何処へ行くか、そう西高(彼女たちの学校)だ!
昨日、隠れて秋ちゃんにラインを送ったのが策士だった。
「明日、もし、陽菜乃が虐められていたら心が痛いと思うが動画を撮っていてくれ。」21:28
「分かりました。っていうか、既に録画しています」21:30
「その動画も送ってくれ」21:31
「何かするんですか?」21:32
「久しぶりにヒーローに」21:32
丁度、彼女たちも学校が終わり放課後。
「奏君!奏君!陽菜乃ちゃんが!!美代に、使用していない2D教室に呼び出されています!!!どうしましょう!!!」
「全力ダッシュだ!!!!」
「で~陽菜乃~~あんた未だに学校に来るんだ~~~鬱陶しいね~~~」
「ね~~~」「ね~~~」「ね~~~」
「なんの用?いつもなら教室なのに何で、今日だけ誰も使っていない教室?」
「なんでこんなところにハサミがあるんでしょうかぁ?」
「ひっ!!」
「完璧なあんたでもそんな声出るんだ~。じゃあ、髪の毛切ったら、どんな声出るんだろうね~」
「やめて・・・・奏・・・・助けて!!!!!!!!!!」
「そこまでだ!私の名前は英雄太。お姫様を救うために絵本の世界から参上!」
「だれこの変態?」
「そこの魔女。この動画を校長先生に流出されたくなかったらその、ステッキを離すんだ!!」
「うっ。」
「魔女もそんな声出るんだなぁ~」
「何なのこいつ、もういい、皆行こ!!」
勢いよくドアを閉める音がした。外にスタンバっていた秋さんは大丈夫だっただろうか?
「奏・・・ありがとう・・・」
「でもなんでその格好?」
「これは昨日お遊戯会のビデオを見て思ったんだ、まぁ格好まで真似しなくても良かったんだけどね」
「そっか・・・」
そう言い残した直後、突然唇が何かに当たった。
映画のような美しい背景では無いのだが、俺のファーストキスはこうして、奪われた・・・
「どうだった?美少女とのセカンドキス?ってやつは?」
セカンド?一は英語でファーストだぞ?
「そっか、転園した時の事覚えてなかったもんね!でも君は、また、私の事を助けに来てくれたね。」
「君はこう言ったんだよ」
「君が奪われそうなら、必ず助けに行く。ヒーローとして!!!」
ってね。
いつも恥ずかしがり屋の俺だが、なんだか誇らしい。美少女を二度助けたんだ。
そして、今度は俺が奪う番だ・・・
「好きだ・・・陽菜乃。君に悲しい事が起こったら何度でも助けに行く。君に嬉しい事が起きたら、何度でも喜ぶ。君の笑顔が好きだ。君の全てが好きだ。」
「私も、君が初めて私を助けた時から・・・大好きだよ!」
そういって今回は映画のようなキスをした
「今日はいい天気だね~」
「そうだな、でも今日も小テストがあるんだよな~!」
「あはは~そうなんだ!!頑張ってね~~!!!」
「あ~~~~。なんで学校があるんだよ~~~」
「でも学校があって、良かったでしょ?私と出会えたんだから」
「それもそうだね。」
「あっ、まだ言ってなかったっけ」
「何を?」
「おはよう」
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ここまでご愛読いただきまして誠にありがとうございます。
小説はあまり書かず駄文な部分もあったでしょうが良ければ感想や評価、どしどしお待ちしております!