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転生争奪ロワイヤル~チートが欲しけりゃ勝ち残れ!  作者: 北田 龍一
プレシーズン

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28/29

ゲームセット

“ゲームセット! 優勝者が決まった!! おめでとう76番君!!”


 戦いを終えた後、ぼんやりと立つ76番に神様の拍手が聞こえてくる。苦笑と共に頭を掻く76番は、素直に祝辞を受け入れていないようだ。当然お見通しの神様が、彼に対して茶々を入れる。


“オイオイ、もっと喜んだらどうなんだ? お前の望み通りの、異世界転生の権利だぞ?”

「あ、えと……いや、すいません。なんか、釈然としない勝ち方っつーか……いいのかなーこんなので」

“あぁ、確かに。最後の最後でパンチ一発やっただけだもんな。でもよ? バトルロワイヤル・ゲームじゃ稀によくあることさね”

「そういうもん……ですかね」


 最終局面で一人倒しただけで優勝――そんなケースは、バトルロワイヤル・ゲームにおいて、実は意外と起こりうる。地べたを這いずり回り、情けなく逃げ回ろうが、最後に立っていたものが勝利者。それがバトロワだ。

 なお、さらにひどいケースとして――『残りの敵が相打ちになり、別の位置にいた一人が優勝してしまった』とか……このゲームで言うところの『制限エリア』から、出ようとする者同士が足を引っ張りあい、全滅して最後の一人は『ただエリア内に入っていただけで、一回も戦わずに勝ってしまった』なんて試合も存在する。

――事実は小説より奇なりとは、よく言ったものだ。


“そういうもんさ。素直に貰えるもんは貰っておきな。運だろうが実力だろうが、上手い事噛み合って生き延びたのはお前さね。逆にここでお前から権利取り上げたら、それこそ契約違反だろ。それとも何? いらない? チート転生の権利”

「いやいやいや! 欲しいです!」

“素直でよろしい”


 慌てる76番をからかいつつ、神様は言った。


“ま、お前さんの手続きは他の神が担当するから、それまでにどういう転生を希望するか考えておいてくれ”

「え、あなたが担当じゃないんですか?」

“負けた奴らの処遇が俺の担当なんだ。悪いね、忙しいもんで”

「あ、そうなんですか。スンマセン」

“お前が謝る事じゃねぇが……まぁいいや。ともかくこれから待機所へ転送するから、別の担当が来るまでに、どんな要求するか纏めとけ”

「わかりました」


 神様がそう言うと、76番が光に包まれ転送された。勝利者を担当する神の下へ、76番の魂は送られたのだろう。残る99名の魂を呼び起こした神様は、丘の上に全員を適当に漂わせた。


“さーて、敗北者諸君! 君たちはこれから、通常手続きの転生に入ります。前世の記憶も経験も……まぁ極稀に思い出す奴もいるが、基本的には思い出せない。国も地域もランダムだ。あぁ、文句は受け付けねぇぞ? こっちはもう、出血大サービスで機会はやったんだからな”


 神の言葉を聞いて、がーがーびゃーびゃ喚く者たち。うんざりしながらも、神様は最後の救済を宣言した。


“あぁ、そうだ忘れていた。まだMVP賞を発表してなかったな。取れ高や見どころを作った奴は、チート転生ほどじゃないが、特典つけてやるって話だ”


 その言葉を聞いた瞬間、敗北者たちは静まり返った。散々文句を言っていたが、まだ可能性が残っていると知り、へらへらと悪びれもせず笑う者もいる。とっくに腹は決まっている神様は、ちゃっちゃと賞の発表に移った。


“まぁ、今回のゲームに関しちゃ、受賞者は分かり切っているけどな。なぁ1番?”


 話しかけられた男は顔を上げた。周辺の目線が集中しても、全く気にしていない。それもそのはず、一番は優勝よりも、ゲームを楽しむことを優先したプレイヤーだからだ。もちろん狙ってはいたが、敗北もまた良しと割り切っている節がある。

 その彼に対して、神様は賞状を読み上げるように朗々と述べた。


“MVPは1番だ。理由は……全員知ってるだろ? コイツ何人も脱落させて大暴れしてやがった。最終結果は……やべぇなオイ、1人で21人キルを達成だ。このゲームの参加者5分の1を刈り取った事になる”

「どうせならあと四人殺りたかったな」

“4分の1潰す気だったのかよ……倒された奴はご愁傷様”


 文字通り災害をもたらした1番。その戦闘狂っぷりは、直接目にしなくても知っているだろう。全員に通知されるキルログで、何度も1番が流れていたのだから。


“さて……特典の内容だが、記憶を保持しての転生が一つ。それとこれは俺の趣味だが、特典はMVPの内容に応じた物にする。お前さんは……傷と痛みを恐れず、戦いを好んだ。そうだな……戦闘に関わる能力が上がりやすい補正をやろう。ま、いわゆる中世ヨーロッパ系の世界だから、銃撃戦は出来ないだろうが――”

「関係ねぇ。俺は勝負が出来るなら、なんだっていい」

“おっかねぇ。狂気の沙汰ほど楽しみそうだな”

「つまらなく死ぬよりマシだろ」


 神を相手に不遜な態度。が、この強心臓だからこそ、21の敵を蹂躙出来たのだろう。特に期限を悪くする様子もなしに、1番も光に包まれ消えていった。


「さ。これで第一回のゲームは終わりだ。さーて、次の準備を進めないと」


 残った98名の鳴き声を無視して、粛々と仮想世界の電源を落としていく。天国やら地獄やら、あるいは輪廻転生やら、各々の魂にふさわしい結末へ至るだけ。

 それに、転生希望者はまだまだ存在しているのだ。ただの敗者にかまっている暇はない。今回は最初のゲームだったが、神様は神様で、色々とバランス調整しなければならない。今回のゲームをおさらいしながら、次のゲームのための策を考えた。

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