7.moon・river
今回はちょっとシリアスな内容。 ほとんど会話。
「ついたぞ、カーチェス」
〈SDX〉の座席裏で寝ていたカーチェスは、
スバルのその声で目を覚ます。
「着いたって、ここどこですか?」
そこには村がある、家は多い、だが周りは木に囲まれている。
「カーチェス…お前、当初の目的忘れてないか」
カーチェスは少し考え思い出したかのようにいう。
「あ、…月川先生!」
「そうだ、月川さんだ」
「こんな所にいらっしゃるんですか!」
「お前、どんなとこにいると思ってたんだよ。」
「もっと、すごい大きな研究所があって、100人くらいの研究員がいる的なのを…」
「まぁ、でかい研究所ならあるぞ」
とスバルは遠くの山を指差す、そこには白い建物があった。
「ホントだ、あった」
「とりあえず、月川さんの家に行くぞ。」
村の中で一際目立つ大きな家、表札には月川とかいてある。
「ごめんくださーい」
スバルはドアの前に立ち月川を呼ぶ。「はーい!」
ドアの向こうから男性の声がする
「今あけます」
ドアを開け、出てき男、年は30前半、髪は坊主で丸いメガネを掛けている、その奥には優しそうな目がある、体系はやや細く背は160そこそこだ。その男はスバルを見て、驚いた顔をする
「よお」
「もしかして、月咲君かい??」
「久しぶりだな、月川さん」
「本当に、久しぶりだ、」
月川はスバルの後ろに隠れているように、している少年に気づく。「そちらの方は?」
「ああ、こいつはカーチェス、BA技師をやってんだ」
「あっ…かっカーチェス・ストラムです」
さっきからやけに大人しかったカーチェスはどうやら緊張していたようだ。
「はじめまして、カーチェス君、私は月川信夫です」
「しっ知ってます。月川先生の造られたmoon・riverはtype0から全部覚えてます」
「それは嬉しいね」
といった後、月川は疲れている感じのスバルの顔をみて言う。「おっと気づかなくて失礼、中に入ってお茶にでもしながら、話しましょう」
ハーブティーのいい香りが部屋の中を埋め尽くす。
はじめは緊張していたカーチェスも徐々になれてきたのか、今は月川につきまとっている。
「出所していたのは知っていたが、まさかわざわざこんなとこまで来てくれるとはね」
「実は月川さんに頼みがあって来たんだ」
「頼み? なんだい」
「武器を作ってもらいたんいだ、タダで」
月川の造る武器、moon・riverシリーズは一番安いものでも1000万セルはするほどのものだ。「悪いが、それはできないよ」
「だよな、タダはさすがに無理だよな、じゃあ半額で!」
スバルは500万セルくらいならだせるぞ、といいたげな顔をしている。
「そうじゃないんだ、僕はもう武器の開発はしてないんだよ」
その言葉に先に反応したのはスバルではなくカーチェスだった。
「なぜですか!? あんなにすごい技術があるのに」
カーチェスはイスから立ち上がり月川に疑問を投げかける。
「すごい技術があるからだ、すごい技術があるから僕は武器開発を止めたんだ」
「どういうことですか」納得のいかない顔をするカーチェス
「まっ武器開発者には少なくない話しだ」
とスバルはいう
「僕にはわからないです…」
「カーチェス君、君もいずれ、武器開発をしようと思っているのならば、理解しておかなければならない、武器はね…BA好きのためのおもちゃではない、人を殺すための道具なんだ。」
カーチェスは黙りこむ、武器は人を殺すための道具、彼のその一言はカーチェスに重く響く
「僕も、武器を造っていた頃は、それを分かっているつもりだった、
でもほんとは分かっている気になっていただけだったんだよ…他の人にはできないことができる、僕はそれが単純に嬉しかった。だからどんどん強い武器を造った、
ある日僕はさらに強い武器を造りたくなった、そのために戦場での武器の使われ方を一度みてみたくて、戦場に連れていってもらったんだ…
そこでみた光景は衝撃的だったよ。
ほとんどのBAがmoon・riverシリーズ を持っていた、そして、それは他の武器とは明らかに威力が段違いだった。
僕のmoon・riverは一撃で上半身を消し去ったり、コックピットを破壊することができた。
そこで僕は見たんだ、墜落したBAに全身血まみれで動けず、助けを求めるように僕の方を見る1人のパイロットを…彼は数分後に死んだ…………
それを見たとき僕は自分の技術が怖くなった、恐ろしくなった…今まで人を殺す道具を造っているという実感がなかった…
その日から僕は武器を造っていない」
その場に重たい空気が流れる、しばらくの沈黙のあと最初に口を開いたのはスバルだった。
「だからこそだ…
だからこそ、俺は月川さん、あんたに武器を造ってほしいんだ」
「月咲君、しかし……
君は怖くなったことはないか、自分の力が」
「あるさ、死にかけたことだって……
人を…人を殺したことだってある、
だがBAってのはさ、技術が上がれば上がるほど、人を殺さずに戦えるようになる、誰かを守れるようになる、だから俺はもっと強くなりたいと思った、今だってその気持ちはかわらない」
「月咲君…」
「それにさ、あんたは武器は人を殺す道具だって言うけど、それは違う、人を殺すのは人だ。武器は人を殺すことができるけど使い方一つで守ることだってできるんだ」
「ぼくもスバルさんの言ってることは正しいと思います」
「……」
「月川さんが武器をつくらないなら俺たちは強要しない、今回は他を当たってみることにする、無理言ってわるかった。
また時間ができたら遊びにくるよ、それじゃ俺たちはいくから。」
そういってスバルとカーチェスが家をでようとしたその時、月川の声が二人にとどく
「待ってくれ」
二人は振り返る
「僕に…僕に武器を造らせてくれないか、君たちになら僕は!」
振り返った二人は顔を合わせて笑う。
「そう言ってくれると思ってたよ」
窓から暖かい空気が入ってくる。まるでさっきまでの重たい空気をのけ払うかのように。
目覚ましの音でカーチェスは目を覚ます。時計の針は6を指していた。外からは明るい光が差し込んでいる。
隣のベッドで寝ていたはずのスバルはいない。窓を開け外を見ると〈SDX〉の前にスバルと月川がいた。
「むかしとは随分変わったねぇー〈SDX〉」
「ああ、カーチェスとだいぶ、いじったからな」
「でもニトロはつけたままなんだね、君らしいよ」
月川は少し笑う。
「ニトロは絶対に外せねえよ、コイツがなきゃ敵に近づけねーからな」
「微調整は自分でしたのかい?」
「いや、調整したのはカーチェスだよ」
「そうかい、あの子、若いのにいい腕してるよ、起動、運動、操作、反応伝導、それらに関する誤差がほぼ0だ。彼は専門の学校にでも行ってたのかい?」
「いや、技術は全部じっちゃんに習ってるはずだぜ」
「なるほど、どうりでいい腕してるはずだ…
んっ!やあ、おはよう」
月川のその言葉で振り返るスバル、そこには、なぜか目をキラキラ輝かせたカーチェスがいる。
「スバルさん聞きましたか」
「なっ何をだ?」
朝からやけにテンションの高いカーチェスに若干とまどうスバル。
「いま、月川先生が僕のことを褒めてましたよ」
「ああ、そうだな」
スバルはめんどくさそうな顔をする。
「僕は、僕は感激です」
「カーチェス君」
「はい、なんですか先生」
「その先生って呼び方、止めてくれないかな」
月川は苦笑いをする
スバルはニヤッとする
「でも僕にとって先生は先生です」
「あれだよ、カーチェス…照れてるんだよ、せんせいは」
「月咲君までからかわないでくれよ」
「までって僕は別にからかってないですよ。先生」
「とりあえず、あのバカでかい研究所までいこうぜ、カーチェスとせんせい」
「つっ月咲君」
「スバルさん、年上の人を、からかうのはあまりよくないですよ」
研究所には多くの器材が並んでいる。それを見たカーチェスは目を輝かせ研究所内を駆け回る。
「カーチェス、あんまそこらじゅうのもん、いじくり回すなよ」
そういいながら、スバルは〈SDX〉を動かし研究所内に入ってくる。
「どんな武器を造ってくれるんだい?」
「とりあえず、月咲君は典型的な接近戦タイプのライダーだからね、武器も近距離用で高出力のレーザーソードにしようと思ってる」「ふーん…まっ武器のことはよくわからんから、あんたに全部任せるよ、後カーチェスのやつは好きに使ってくれてかまわないから」
「君はどうするんだい」
「俺はその辺を観光してくる、この近くに馴染みの深い街もあるしな」
「〈SDX〉は武器の調整に使うから、乗っていけないよ」
「なら、なんかBA貸してくれよ」
「ん〜奥の倉庫に一機
〈tyrant〉ってBAがあるんだけど…」
「じゃあそれかりてくよ」
そういい残しスバルはそそくさと倉庫の方に走っていく。
「ちょっ月咲君…あのBAはー…
〈tyrant〉=暴君
いくら月咲君でも乗りこなせるかどうか」
「月川先生ー、これはなんですか?」
遠くでカーチェスは何かを手にもって、月川を呼ぶ
「わぁー、頼むから、あまりいじらないでくれよBAと違って繊細なものばかりなんだから」
最近他の人の作品をいろいろ読ませてもらってるんですが…自分の文章力、表現力のなさに落ち込む。もっと上手く書けるようになりたい。 ここまで読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします。