6.あるスバルの1日
ストーリーにあまり関係ないので飛ばすつもりでしたが、止めて話を付け加えて投稿する事にしました。実はもうすでに1話飛ばしてるんですが…話を進めたかったので。あっ今回は暴走する〈SDX〉です!ちょっと短めです。
「こっこれが国立BA博物館」カーチェスはいつものように目を輝かせていう。
何百人もの人が出入りしているその建物には国立BA博物館と書かれている。
さかのぼること、2時間前…
「スバルさん、スバルさん」
カーチェスはコックピットの座席裏からスバルに話しかける、〈SDX〉は北へ向かって飛んでいる途中だった。
「なんだ?」
「お願いがあるんですけど」
「お願い? いってみろよ」
「この先にあるルノーアっていう街に行ってみたいんです」
「ルノーアっていったら観光名所じゃねーか、遊びに行くつもりか!?」
「いえ、前から一度ルノーアにある国立BA博物館に行ってみたかったんです」
「ああ、博物館…そういやあったな、そりゃいい休憩ついでに行くか」
「ほんとですか!」
「ああ、ほんとだ」
「ありがとうございますスバルさん」
という流れでスバル達はルノーアにきていた。
「やばい、人に酔いそうだ」
スバルは人の多いところが苦手だった。
「はやく、行きましょう」
「カーチェス、やっぱ俺はやめとく」
スバルは青ざめた顔でいう
「はい、じゃーいってきます」
とカーチェスはルンルン気分で博物館へと向かう
「おい、ちょっとは心配しろよ」
愚痴をいいながらスバルはBAのところに戻る。
BAのところに戻ってきたスバルの目に移ったの3人の10歳ぐらいの子供が〈SDX〉のコックピットに座って何かしている姿だった。
「おっおい、ガキども何してんだ!」
慌ててスバルは駆け寄ろうとするが、そんなスバルの耳にエンジン音が届く、キーは付けっぱなしだった。
「よし、動いた」
「にっにげるぞ」
「まて、おいそのBAはお前らが扱えるよう…」
スバルが全て話し終わるまえにBAはものすごい勢いでスバルの横を通り抜けて行く。
「オートブーストか!」〈SDX〉は急発進し建物の壁などを削りながら進んで行く。
スバルはあたりを見回す。そこにはバイクを持つ男が、通り過ぎて行ったBAを見てあっけにとられていた。スバルはそこに駆けよりながら、ポケットの中に入っていた金をバイクの持ち主の胸に押し当ていう。
「借りていくぞ」
バイクは轟音とともに走りだす。
持ち主はさらに訳の分からない状況にあっけらかんとしていた。
〈SDX〉内では子供達がパニックに陥っていた。
「なっなんで、アクセル踏んでねーのに、ブースターが動くんだよ」
「早く止めろよハヤト」
「うるせー今やってんだよ」
「ハヤト前、前ーー!」危うく建物にぶつかりそうになるがギリギリのところで右に避ける。
「くそ、バイクじゃ追いつけねぇー」
時速は100キロ近くでているがブーストを使うBAには追いつけない。
「早く追いつかねーと、なんかの間違えでニトロなんて使われたらたまったもんじゃない」
そこに白黒の機体、警察BA機動隊が現れた。
「そこの暴走BA止まりなさい」
しかし、BAは止まらない、当たり前だ、止め方が分からないのだから。 スバルは道を逸れバイクで階段を登っていく、そして屋根を使い〈SDX〉に近づくことを試みる。
屋根に登ると街がよく見え〈SDX〉に近づくのは簡単だった、屋根をつたい〈SDX〉に近づいたスバルは意を決して〈SDX〉に飛びつく。
バイクは地面に落ち変形する。スバルは何とか〈SDX〉の腰にしがみつく
だが、左右に揺れる
機体にしがみつくのに必死で登ることはできない。
機内から子供の話す声が聞こえる。
「どうするんだよ」
「キー、抜いて見ろよ」「バカ、機体を停止させないとキーは抜けないよ」
「こ、この赤いボタン押してみるとか」
その声が聞こえたときスバルは今まで出したことのないような声で叫ぶ。
「それは押すなぁー!!」
それはニトロの発動スイッチだった。スバルの声に気づいた子供達はコックピットから顔を出した。
「お前らー!」
「止まんないんだよ」
「どうすればいいの」
子供達は今にも泣きだしそうな顔で言う。
「とっ取りあえず、アクセルを踏め」振り落とされそうになりながらスバルはいう。
「でっでもアクセルなんて…」
「いいから、そのBAはオートブーストなんだ、だからアクセルを踏めばブースターは停止する」
「ハヤト、アクセル」
「ああ」
その時ある建物がスバルの目にうつる。国立BA博物館だ
「お前ら早くアクセルを踏め」
ハヤトはアクセルを踏むが堅くてなかなかスピードは落ちない
「みんなもここ、押すのを手伝ってくれ」
徐々にスピードが落ちていくが一度上がったスピードを落とすには時間がかかる。
BA博物館の距離はあと約200メートル
「間に合わねー」
スバルは衝突を覚悟し目をギュッと閉じる。
数秒後、目を開けたスバルの数センチ前には博物館の壁があった。
〈SDX〉はギリギリの所で止まったようだ。
「たっ助かった」
後ろを振り返ると〈SDX〉の肩部をつかむ白黒のBAの姿があった。
下をみるとだいぶ地面がえぐれている。
泣きわめく子供というのはどうしようもないものだ、警官はもう何時間も説教をする。子供達が可哀想になってきたスバルはいう
「そんなもんでいいんじゃないか」
「いい訳ないだろう、運のいいことに死者、負傷者はでなかったものの、一歩間違えれば、どんな大事故に繋がったか。だいたい、あなたも鍵をかけずにBAから離れるとは、マナーを守れんのか、大人は子供を守る義務があるんだ」
スバルは心のなかで、まだ未成年なんだが、と思う。
「それに建物を壊してるんだ」
「俺の〈SDX〉もな」
「何か言ったか」
「いえ何も」
「とにかくだ…」
と、そこでひとりの少年が話に割ってはいる。
「それぐらいで、いいんじゃないですか」
「あなたは?」
「guardian(軍)のものです」
「guardianの、しっ失礼しました。」警察といっても機動隊は軍の所属なので軍の関係者には逆らえない。
「建物の弁償と後の話は僕がしておくから君はもう下がっていいよ」
「はッ!」
「災難でしたね」
その少年はスバルに話しかける。
「ああ、まったくだ」
今度は子供の方を向き話し出す
「君たちがやったことは立派な犯罪だ、それは分かってるね」
「はい」三人は声を揃えて返事をする。
「BAに乗るのは14歳からだし、人の物を勝手に盗るのも、建物を壊すのもな、それはしっかり反省しないとダメだ」
「はい」
「だが…」そういって少年は微笑み話を続ける
「BAに乗りたいと思う気持ちは大切にしてほしい、今日のところは僕が責任をとっておくから君達は家に帰りな」
「はい、すいませんでした」そういうと子供達は一礼をして去っていく。
「BAが相当好きみたいだな」スバルは話しかける
「ええ、それよりこのBAおもしろい装備がたくさん付いてますね」
「量産型だが改造のしすぎで原型をのこしてないけどな、最高のBAだよ。」
「改造は加えれば加えるほど愛着がわいてくるものですからね。」
「そういえば軍人なのか」
「はい」
「若いのにすごいな」
「いえ、みなさんいい人たちばかりで…」
「どこの部隊なんだ」
「僕は…」
彼が話し終わる前に遠くから声がする。
「ゼロー何してんのー早く行かないとハザックさんに怒られるよー」
「悪いエリーすぐ行く、すいません、他に用があるのでこれで」
「ああ」
少年は走って少女のもとへ向かう。
「ハザック…懐かしいな、てことはあいつedenなのか」
懐かしい名前を聞いたスバルだった、そんなスバルの耳に聞き覚えのある声が届いた。
「あー楽しかった、最高ですね。」
その声の主と目があう
「あれ何してんですかスバルさん、うわ、なんで〈SDX〉こんなボロボロなんですか」
なぜかイライラしてきたスバル。
「カーチェス…お前…人が大変だったときに一人楽しみやがって!」
「なっ何がですかぁー、すっスバルさん…暴力はいけ…ぐふッー」
その日カーチェスは訳も分からないスバルの跳び蹴りをくらう羽目になった。
オートブースト→常にブースターが起動するように設定された状態。戦闘用BAにはあまり使われないシステム。また〈SDX〉の特殊なシステムが出ましたが、まだまだいっぱいあり、今回子供達が無事だったのはまさに奇跡です。