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49.ハザックとの闘い

今回はハザックと戦う話。

 手探りだけど確実に求める答えに近づいている、スバルさんはそう言った。

今日、スバルさんは1人機体に乗り込みどこかへ行ってしまった。

「ユノさん、スバルさんはどこにいったんでしょう?」

「取り引きがどうのこうのいってたけど私もよく知らない」

「取り引き?」

 

「そんなことより、気になっていたことが1つ、小春とは誰じゃ」

 ゴロゴロとベッドの上で転がっていたユノは飛び起きてカーチェスを見る、ニヤニヤしながら。

「えっな、なんですか急に」

「お前はそいつが好きなのか、どうなんだ、どうなんだぁ〜」

「な、な、な、何をいっててるんですか!」

「ふふふん、お前ホントに分かりやすいな」






 シルフズガーデン、通称風切りの谷、谷から吹き上げる強烈な風が機体を揺らす、ライダーの腕が問われる難所である。


そこに2つ機体。

「よお、スバル」

 1つはハザックの乗る〈シャーロット〉。

「あんたが時間通りにくるなんて珍しいな」

 もう1つはスバルの〈SDX〉である。

「俺様、超嬉しくてよ、気づいたらここにいたんだ、前は逃げやがったしな」

「そうだったっけか?」

「とぼけるのか、コノヤロー!」

「俺は逃げるのが嫌いだからな、それよりあんたにしてはなかなかいい場所を選んだじゃないか」

「当たり前よぉ、テメェとの勝負を楽しめる場所なんてここを置いて他にない」

「昔はここで仲間として戦ったが今は敵同士か」

「嬉しいぜ、貴様と敵同士という事実がよ」

 ハザックの声から喜びの感情がうかがえる、戦いが楽しみで仕方がない、それは彼自信、今まで味わったことの無い感覚であった。

「そうかい、そろそろ始めよう、勝っても負けても文句は言うなよ」

 スバルも彼の声を聞いて気持ちが昂る。

「本気でこいよスバル、俺はお前を殺すつもりで行くからな」

「怖いね〜、まあ負けないけどな」


 スバルは動いた、動けずにはいられなかった、風が機体に吹き付けるなか、巧みな手捌きでハザックの機体に詰め寄る。

「来るぜシャロ!」

 ハザックは身構える、スバル初撃はナイフによる一撃、ハザックはそれを右腕で防ぐ、だがその細い右腕は少し切れ目が入っただけで斬り落とすことはできない。


「やはり一撃では斬れんか」

 ハザックの乗る機体、〈シャーロット〉はNABA、BAとは違う、その違いの大きな特徴として装甲の硬さが上げられる、と言っても実際に、装甲は通常より軟らかい物質から構成されている、だが見た目とは違いBAの数倍の強度をもつその機体はいくらスバルと言えど一撃で斬り落とすことは不可能だった。

「フハハハッ、効かんぞスバル」

「柔よく剛を制するってやつか、やはり厄介な相手だ、だがこれならどうだ」

 スバルは小銃を取り出しハザックのコックピット目掛けて放つ、ハザックはそれをまたも腕でガード、もちろんダメージはほぼゼロ。


「スバルも俺を殺すつもりか面白い、んッ!」

 ハザックは気づくのが遅れた、スバルの狙いはコックピットへの攻撃ではなく、視界を遮ることにあった。

「悪いな〈シャーロット〉」

 スバルは小さく呟く、一撃目を腕で防いだハザックが、一撃目よりも威力の弱い攻撃を腕で防ぐのは容易に推測できた、だがそれは視界を腕で隠すことになり、その内に相手の裏に回り込むことはスバルにとって造作もないことだった。


「まずい!」

 ハザックにとってその攻撃を避けずに左腕で受けたことはいい判断だった。

新月での攻撃、へたに逃げていれば機体は2つに分かれていただろうが、機体と新月の間に左腕を入れることで左腕を失ったものの深刻なダメージは免れた。

「いい反応しやがる」

 その一撃が勝負の明暗を分ける程のものだったかもしれない、だがハザックはその一撃で冷静になる。

スバルの行動は一転、逆効果になった。


「俺はなにをしている、殺すつもりで戦うんだろう、機体の差を見せつけて奴がビビる訳がない、ちッ、やっぱり俺はバカだぜ」

 わずか一瞬の攻防でハザックの目の色が変わる。


 次に放たれた一撃がスバルの度胆を抜いた。

「驚いたかスバル」

 〈シャーロット〉は指で円を作る、その真ん中から照射された蒼白い光の束、スバルの機体に当たりはしなかったものの当たっていれば再起不能は間違い無いような高濃度のなにか、スバルはそれが何かを知っていた。

「レイジストロイダー」

 スバルがその言葉を発した瞬間、第2波が放出される。

 ハザックの機体モニターにはスバルが口にしたレイジストロイダーの文字が表示されている。

「どうだスバル、これはもうお前だけの知る能力じゃねぇ」

 ハザックの攻撃は軍のNABA研究チームすらしらないNABAの第三の力、大気からある物質を取り込み、増幅そして発射する。

「ああ、驚いたよ」

「NABAには無限エネルギーとHSP以外にまだ隠された機能がある、軍を辞める前にお前が言っていたことだ俺は今までその機能を探し続けた、使えるようになったのは半年ほど前だ」

「やるな」

「俺はもう本気だ、スバル悪いがお前を倒すぜ」

「やってみな」

 〈シャーロット〉は力を吸収する、そして放つ。

それは一発では終わらなかった。

「この技は大気より力を吸いとる、弾切れはない! ゆえに最強、ゆえに無敵」

 無数の攻撃がスバルを襲う、通常の兵器とは比にならない攻撃回数、そして威力も劣っているわけでもいない、雷瞬が使ったものよりも遥かに強力。

だが弾速は遅い。

スバルにとって避けるのは容易なこと、だが。


「どうしたスバル、攻撃して来ないのか!」

 避けるのは難しいことではなかった、だがその発射数はまさに桁違い、スバルとて簡単には近づけない、集中力をきらすといつ落とされかわからない状態にであった。

「37、38、39、次だ!」

 ハザックの攻撃は止まる、その瞬間スバルは距離を詰める。

いかに弾数が無制限でも撃ちながら力を取り込むことはできない、スバルはそこをついた、40発に一度僅か3秒間のリロードをようする。

「その技の弱点ぐらい知ってんだよ」

 スバルは新月で斬りかかる、至近距離での攻撃ハザックに逃げ道はなかった、だがハザックは笑い言う。

「出し惜しみはしない、俺は本気で貴様を倒すために来たんだ」

 スバルの攻撃は〈シャーロット〉には届かなかった、新月の刀身は弾かれ消滅する。

「シムまで使えるのか!

くそ、まずい」

 〈SDX〉と〈シャーロット〉の間には半透明の盾がうっすらと見える、〈シャーロット〉のモニターにはシムストロイダーの文字。

「終わりだ!」

 再びレイジストロイダーが放たれる、至近距離でのそれは回避不可の攻撃、〈SDX〉に直撃する。

 機体損傷率が50を越える、それはすなわちこれ以上は戦えないことを表していた、つまりスバルの敗北。


「驚いたぜ、まさかまだ原型を保っているとはな」

 勝負はついた、巨大戦艦をもで破壊する攻撃をくらっていながら生きているスバルに驚嘆する。

それは尊敬の意味も込められていた、一方のスバルはというと不敵に笑みを浮かべていた。

「ハザック、勝った気でいるかもしれないが、自機をよく見てみな」

 スバルのそのセリフと同時に気づく、自機が傾いていっていることに。

「バカないつのまに」

 〈シャーロット〉が傾いていたのは左脚が切断されていたためであった。

さらに被害はそれだけでなくブースターの噴出口も同時に破壊されていた。

「甘いぜハザック、あんたは自分の技の弱点をしらない」

「弱点だと」

「シムストロイダーシールドで防御できるのはエネルギー系の攻撃のみ、実弾やナイフなんかは防げない」

「ばかな、新月は弾かれた、ナイフなど出す時間はなかった」

「だしてねーよ、それに新月はちゃんと弾かれた」

「いったいなにを」

「新月は鉄製の柄からエネルギーを出現させ武器とする、柄の部分はエネルギーじゃない」

「まさか!」

「攻撃が弾かれたあと、柄の部分だけシールドを貫通させ、それからもう一度刀身を出現させ放出させた、あんたの背後から攻めたんだその二ヶ所を攻撃するのは簡単だった、もっともあんたは自分の攻撃の衝撃で、自分がくらってることも気づかなかったみたいだがな」

「はははっ、こりゃいい笑い話だ、俺が追い込んでいたつもりが逆だったのか、俺の完敗だ、やっぱテメーは強いな」


「なぁハザック、俺はあんたが言うように強くなった、いやまだ強くなってる、雷瞬と戦い、あんたと戦って俺はどんどん強くなってる」

「おいおい、まだ強くなんのかよ、こちとら衰えを感じて慌ててテメーに戦いを挑んだのに、やっぱ若さには勝てんてか」

「そんなことない、あんたは十分強い」

「けっ、やめろ、同情されるほど落ちちゃいねーよ」

「そうか、それより、これからどうすんだ、こんな機体持って帰ったらクビ確実だろ」

「大丈夫、嘘は得意だ、なんとでもごまかす、それに元から辞めるつもりだったしな」

「そうか、もし暇をもてあますようなら我が月影にきな、いつでも歓迎するぜ」「けっ誰が行くかよ、じゃあな、敗者はとっとと退散するぜぇ、つっても退散できる状態じゃないが」


 スバルにとってこの戦いは意義のあるものだった、NABAにも勝てるそれは自信へと繋がる、もはや軍に敵はいないそう思えるのに十分な戦いであった。



最近時間の感覚が狂ってるような気がするんです…気がするんですよ。


次回が最終話ということになります、読んでくれたら嬉しいです。

どうぞよろしく。

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