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45.シーナ

 生きてくことなど死ぬまでの暇潰し…ある歌の歌詞、その考えはなかった、とりあえず今僕は暇潰しをしているわけです。


今回はヒロインなのにこんな終盤までほったらかしにされてたシーナが登場する話。 



「ずいぶん待たせるんだなスバル」

 天井が吹き抜けになっているノアの中庭、月の光が差し込み、木の根本に座っている少女を照らす。

「悪いな、シーナ」

 そう言いながら頭を掻くスバルを見て、彼女に自然と笑みがこぼれる。

「あともう少し遅ければ私は帰っていたところだ」



「許せ」



「ゆるす、私は心が広いからな」



「ありがたき幸せにございます」

「ふふ、会いたかったぞスバル」

「俺もだ、シーナ」

 彼女は立ち上がりスバルの方へと歩み寄る、スバルもシーナを引き寄せる、そしてスバルの胸の中でシーナは言う。

「まったく、とんだ誕生日だ、スバルせいでな」

「約束は守ったろ」

「まあ…な、そうだ誕生日プレゼントはちゃんと用意してるのか」

「俺!」

「いらんッ!」

「即答…」

「冗談、最高のプレゼントだ」

「それは良かった

さて、愛を育むのはここまでにして」

「いつ育んだ」

「今」

「育んだ…か」

「行こうか、お姫様」

「ふふん、スバルのエスコートしだいだな」

 スバルはシーナの手をひき歩きだす。

逆の手には無線機を持つ。

「こちらスバル、作戦完了したぜ」

「了解です」





「スバルさんの方は終わったみたいです、で…いったいどうするんですか? ハザックさん」

 壁に張り付く3人はリーマンの捕らえられて部屋の警備をかためる雷瞬達を覗き見る。

「いいか、俺が奴らを引き付けるから、あいつらが動いたらリーマンを助けるなりなんなり好きにしろ」

「わかりました」

「よし」

 と歩きだすハザックの腕を掴み、動きを止めるカーチェスは目を輝かせていた。

「ハザックさんありがとうございます」

「たく…いい目をしてやがる、礼はいらん、これは取り引きだからな」

「取り引き?」

 聞き返すカーチェスを横目にハザックは雷瞬達の方へと向かっていく。


「よう、雷瞬」

 面倒くさそうな容姿を装ってハザックは近づいていく。

「遅いぞ、ハザック」

「まあ、別に急いでねぇしな」

「どういうつもりだ!」

「だってよ、こんなとこ守っても意味ないだろ」

「なぜだ、ここ以外にどこを守ると?」

「スバルの狙いはリーマンじゃない、シーナだ」

「なっ!」

「まっこれが狙いだったのかもな、リーマンに俺らを引き付けシーナを連れ去る」

「やられた、ビルとオルガノはここに残れ後のものはシーナの方に行くぞ」

 後は自分らでなんとかしろ、そんな風にアイコンタクトをし、ハザックは雷瞬たちについていった。


「上手く行きましたね、でもどうしますかセサミさん、2人残りましたよ」

「任せろ、2人ぐらいなら俺が引き付けてやる、あの2人がいなくなったら、カーチェスはこれで扉を破壊してリーマンを助けろ、使い方はわかるな」

「はい」

 セサミは爆弾を渡すとカーチェスを残して、ビルとオルガノの方へと近づいて行く。


「あなたはあのときの」

 先に気づいたのはオルガノだった。

「侵入者、オルはこいつを知ってるのか?」

「どうも、スバル・カーネル改め、セサミ・カーネルだ」


「誰だ?」

「〈チャトラン〉の操縦士よ」

「なに、こいつが! お前よくも俺達をだましやがったな」

「しるか、悪いがリーマンは返してもらうぜ」

 セサミは殴りかかる、がどちらも巨体、セサミは簡単に投げ飛ばされる。

「こりゃ分が悪い…ひとまず退散」

 セサミは足早に走り去る。

「逃げたぞ」

「追うわよ」

 セサミを追うように2人ともが走っていく。


「セサミさんって何だかすごいです、でももし1人残ったら僕はどうすれば良かったのか」

 セサミを追っていく2人を見届けたカーチェスはすぐ、扉に近づき爆弾を取り付ける。

「えっと、まずは壁に取り付けてと、

……あとはスイッチを押せば、おわッ!」

 爆弾は爆発とともに煙をあげる、壁には大きな穴が空き、そこからカーチェスは中へと入っていく。

「リマホルさん!」

 カーチェスは殺風景な部屋の隅に座るリーマンを見つけて名を呼ぶ。

「外が騒がしいと思ったらお前らか」

「はい、助けに来ました」

「悪いな、助けられるのはこれで二度目だ」

「何度でも助けに来ますよ、大切な仲間ですから」

「カー君、君というやつはなんていい奴なんだぁ」

「とにかく逃げましょう、セサミさんが時間を稼いでくれてます」

「セサミというと、スーツ君か!」

「スーツ君…?

ああ、そういえばそんなあだ名付けてましたね」

「そうか、彼も来てくれたのか」

「月影のメンバーはみんないますよ」

「月影?」

「リマホルさんはまだしらないんでしたね…とりあえず行きながら説明します」




「スバル、疲れた」

 スバルに手を引かれながら走るシーナは走るとはいえない速さでよたよたと進む。

「もう少しだ、頑張れ」

「私は運動が苦手だ」

「なら、担いでやろうか」 と言ったスバルにシーナは目を輝かせる。

「お姫様だっこなら許可するぞ!」

「はい、頑張って走りましょう」

「なぜ流すのだ、しろ!お姫様だっこをしろ!」

「ほら着いたぜ、とりあえず〈SDX〉に乗れ」

「あんな背の高いものに乗れるか!」

「裏に梯子がある」

「あくまでお姫様だっこはしてくれないのか」

「したらしたで、

恥ずかしいから降ろせ!

ってすぐに言いそうだからやらん」

「なぬ!」

 しぶしぶ梯子を登り始めるシーナ、そこへセサミがやって来る。

「はぁはぁ」

 荒い呼吸に汗だくのセサミはスバルを見つけ安心したような顔をする、と同時に辺りを見回す。

「セサミ!なんだその汗」

「敵を引き付けてたんだ、それよりカーチェスはまだ来てないのか?」

「俺は見てないぞ」


「スバルさーん」

「よう、スバルン」


「どうやらもう来てたみたいだな」

「ほんとだ」

「よし撤退しよう」




「電蔵のおっさんとカーチェスたちは先に行け、敵を振り切ったら連絡を入れろ」

「わかりました」

 〈チャトラン〉と〈剛力丸〉が飛び立った後、スバルの名を呼ぶ男の声。



「スバル!」

「よお、1ヶ月ぶりだな雷瞬」

「貴様こんなことをしてただで済むと思うなよ」

「思ってないさ、だがな雷瞬…俺らをなめるなよ」


「くッ!」


「…スバルさん退避完了です…」

「よし、シーナ行くぜ」

「どこへでも連れていけ」「連れてってやるよ」

 〈SDX〉も飛び立つ、時刻は夜の11時、無謀と思われたその作戦はわずか2時間で終わった。


「そういえば、スバル」

「ハザックにこんなものを渡されたんだが」

「ん?」

「私が思うに通信機だな」

「通信機か」

「まぁ私が思わなくてもハザックが通信機だと言っていたが」

「シーナ…」


 全てが順調に進んだ今回の作戦、それはスバル達にとって確かな糧となった、と同時にこれからは最上位ランクの危険分子として世界を敵にすることを意味していた。



 終わりまで一気に書いて一気に投稿しようとおもっています。なので次回がいつになるか未定、46話と47話、後48話の途中まではできていて、50話ぐらいで終わらそうと思っています。

 ここまで読んでくださっている方、できれば最後までよろしくお願いします。では次回で。

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