44.光ブースター
アークに突入する話。
今回は一気に時間が1ヶ月飛びます…飛びます。
ちなみに瀬戸大佐=雷瞬です。
ハイブースター、それは移動のためだけに使われるBA専用のブースターである、本来単体で使うその機能をスバルはニトロと併用して使い、ノアへの潜入を試みようとしていた。
「ここがレーダーの届かないギリギリの場所だ!」
1ヶ月はあっという間に過ぎ、作戦決行の日になっていた、時刻は夜の9時。〈SDX〉にはジェット機のような巨大なブースターが取り付けられている、作戦には月影の全機が参加、数にして約40機。
「スバルさん、僕たちは準備オッケイです」
「よし、じゃあ全員自分の役割確認だ、まずはカーチェスとセサミ」
「スバルさんの突入に続いて突入、敵をある程度かたずけたあとノア内に突入しリマホルさんを助ける」
「電蔵のおっさん」
「同じく突入後〈SDX〉、〈チャトラン〉の見張りをする」
「秀一」
「突入後、他の仲間と共にひたすら敵機を殲滅、退路を確保する」
「よし、オッケイだな」
「まだだ、スバルお前は」「ああ、そうか…、俺はブースターで突入後、特殊部隊の機体を抑え、カーチェス、セサミと電蔵のおっさんが来るまで待機、合流後、重要人物を確保し、その後撤退」
「スバルさん、ホントに大丈夫なんですか?」
「ん、心配するな…
カーチェス知ってるか?」
「何をです?」
「ハイブースターとニトロを組み合わせたブースターのことを光ブースターっていうんだぜ」
「それって」
「実際に実験してるんだ」「そうなんですか!じゃあ」
「だが実験は失敗しとる、ぶっつけ本番でやるには危険すぎる挑戦だ…だがわしは小僧ならできると思う、なぜだかわからんがな」
「もしかして、期待されてる?」
「もちろんです」
「けど、もし失敗したら作戦は中止、お前らは逃げろ、いいな」
「嫌です、そもそもスバルさんは失敗しませんから」
「カーチェスそりゃプレッシャーだぜ」
管制塔、1人の男がレーダーの変化に気づく。
「おい、見ろ」
「どうした?」
「レーダーに1機」
「…早いな、とりあえず本部に連絡入れとけ」
「こちら管制室、未確認飛行体、1、おそらくハイブースター搭載BA、
…
いやまて、スピードが上がった、なんだこれは!?」
「どうした」
「わかりません!」
「通過、びっBAが戦闘機並のスピードで移動中、本部接触まで約40秒」
「手配中の機体、〈SDX〉です、映像を送ります!」
「映像確認、risingとedenに出動命令をsneakと瀬戸総司令に帰還要請を!」
軍のオペレーター室は慌ただしくなる、瀬戸総司令は任務同行し現在ノアにはいなかった。
「いやまて」
「瀬戸大佐!」
「まさか光ブースター…、俺がスバルなら、まず格納庫を抑える、でなければあの重装備をつけ猛スピードで近づいてくる意味がない」
「では、どうすれば?」
「おそらく奴等の目的はリーマン、ならば抑える場所は1つだ、あとは総司令に状況を説明し命令をあおげ」
「こちら管制室、約40機のBA接近中」
「出せる機体は全て飛ばせ」
「了解」
「やっやりゃできるもんだな」
格納庫真上に到着したスバルは驚いていた。
自分ならできるという確固たる自信はあった、だが実際に成功して、えもいわれぬ喜びの感情が芽生えていた。
「…こちらスバル、無事到着、作戦は続行…」
格納庫内に突入する、作戦の第一段階は成功だった。
第一段階成功と同時に第二段階へうつる、第二段階はカーチェス達のノアへの突入である。
「前方に敵機、12、13、どんどん増えてます」
「いよいよか、1ヶ月の特訓の成果、見せてやろうぜカーチェス」
「はい!」
敵はguardian、通常部隊といっても世界中から集められたライダーである、ライダーになって2ヶ月そこそこのセサミやカーチェス、レンジスタンス風情が敵う相手ではない、だがスバルは作戦を実行に移した、常識的に考えて無謀、だがある一撃がそんな常識を打ち消す程の効力を発揮する。
「止まれ、奴ら強いぞ」
ある隊員から発せられた言葉、それが他の隊員の動きを止める。
それはチャトランから放たれた一撃、たった2ヶ月そこそこの彼らが放った一撃は、意図も容易く敵機を落とし、彼らの動きを止めた。
スバルはわかっていた、この2人の駆け出しライダーが持つ才能を、それが作戦を成功に導く要因になると。
「やりおるわ」
ビビったら負け、スバルのその考えが敵の力を衰えさせ、月影の力を奮わせる。
まともにやればguardianが圧倒的に有利、だがそれは序盤で脆くも崩れ去った、いや崩れさせられたのだ。「行きましょう、リマホルさんを助けだしに!」
格納庫に降りたスバルはしばらくして異変に気づく、機体に乗りに来ない、通常部隊は飛び立っているにも関わらず、特殊部隊は隊員が機体に近寄りもしていないのだ。
「よお、スバル」
やっと来た隊員は1人、ハザックだった。
スバルはビームガンを向け機体に近づかせないようにする。
「ここにいても誰も来ないぜ」
「どういうことだ?」
「特殊部隊員は皆リーマンの警備を固めてる」
「そうか、あんたは行かなくていいのか?」
「俺はお前と話をしにきた」
「話し?」
「お前の狙いはリーマンじゃなくて、シーナだろ」
「察しがいいな、でどうするんだ、シーナを取り押さえるか」
「心優しい俺様はそんなことはしない、1つ取り引きをしないか」
「取り引き?」
「シーナの迎えに来たことは黙っててやる、その代わり俺と差しで勝負しろ」
「特殊部隊のリーダーがそんなことしていいのかよ」
「いいんだよ、俺はお前と戦ってみたいそれだけだ、場所と日時は指定する、どうだ?」
「お前が指定場所に1人で来る保証は」
「さぁな」
「昔から変わらないな」
「お前は少し変わった」
「そうか」
「強くなった」
「!」
「俺の目から見て雷瞬は昔より明らかに強くなった、それを倒したお前も昔より強くなったってことだろ」「どうかな、そよりいいのか、軍に対する裏切りだぞ、バレたら確実にクビだ」
「軍に未練はない」
「チームedenの部下はいいのかよ?」
「あいつらは強い、俺がいなくても自分らでなんとかする」
「ことごとくリーダーに向いてないな、あんた」
「はっ、そんなこと紫音にも言われたぜ」
「わかった、取り引き成立だ」
2人が丁度話し終えたその時、〈チャトラン〉と電蔵の乗る〈怪力丸〉が降りてきた、と同時に二機はハザックに対し武器を構える。
「待て、そいつは敵じゃない、今はな」
「その人が重要人物ですか?」
カーチェスは聞く。
「いや違う、とりあえず降りて話そう、作戦の第二段階までは成功だ」
「作戦通りお前らはリーマンを助けに行け」
「まて、言っただろ、今リーマンのところには特殊部隊がいる、行くのは危険だ」
作戦の確認を聞いてハザックは言う。
「それでも僕は行きます、僕らの大切な仲間だから」
「ふーん、いい目をしてるなお前、名前は?」
「カーチェス」
「よし、カーチェス俺が協力してやる」
「ハザック、なんのつもりだ?」
「これも取り引きの内だ、シーナを連れて逃げる準備ができたら連絡を入れてくれ」
「わかった、じゃあ作戦第三段階スタートだ」
軍の階級について
今回雷瞬が大佐と呼ばれてますが、guardianにも階級があります。ただあまり使われておらず、使うのは一部の真面目な人だけであります。よって誰が中佐だ少佐だとか細かく決めてないです。