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39.チャトランの実力

最近、忙しい…忙しい

今回はチャトランの隠れた能力が…。

 戦闘は予想以上に長引いた、相手を少しずつ削って行くカーチェスたち、一撃必殺の〈クラッシャー〉、集中し続ける2人にはさらに長い時間に思えた。

「堅いな!」

「敵の動きはかなり鈍くなってきてます、たぶんもう少しですよ、セサミさん」


「〈クラッシャー〉防戦一方だ、自慢の攻撃を完全に封じられている!」




「なにか変です」

 激しく揺れる機内で不意にカーチェスは言う。

「なにがだ?」

「なぜ、攻撃してこないのでしょうか?」

「そりゃこれだけ攻撃してれば、反撃出来んだろう」 セサミの意見も一理あった、だがカーチェスは納得できない、〈クラッシャー〉はカーチェス達の攻撃をひたすら右腕でガードし続ける。

「…」

「カーチェス、それそろ右腕を斬り落とせる、一気にやるぞ」

「あっ、はい!」

 〈チャトラン〉は少し距離をとったあと一気に加速して斬りかかる。攻撃はみごと右腕を捉えただがセサミは違和感を覚える。

「変だ斬った感触がない」 その言葉に反応して、カーチェスは敵機の斬れた右腕を見る。

「仕込み! しまった、罠」

「カーチェス、なにかくる避けろ!」

「間に合わない!」

 斬れた、右腕から砲口が見える、その砲口は光を発し次の瞬間…


「きたー!

ついに〈クラッシャー〉の反撃、攻撃はなんと右腕に隠されたパルス砲、敵にわざと斬らせて油断を誘ったか!」

 誰もが直視出来ないような光が場内を包む、攻撃は〈チャトラン〉に直撃した。

「あの距離での攻撃では〈チャトラン〉もう試合続行は不可能かぁ!?」

 砂ぼこりの中に座るようなかたちで〈チャトラン〉の機影が見える、勝負はついたかに思えた。

「〈チャトラン〉完全に沈黙…では、ないようだ!」


「助かった…のか?」

 セサミは機内をキョロキョロ見回す、機体の振動に比べてダメージはあまりないように思えた。

「どうやら、ついてたみたいです」

 カーチェスが意味深なことを言うのでセサミは首をかしげる。



「いったい、何が起こったのだ?」

「この私が説明しましょう」

 砂ぼこりに、まみれながらレフリーが姿を現す。

「おおっとここでレフリー芝谷、登場」

「彼らに今何が起こったのか、それは…」

 場内の視線がレフリーにそそがれる。

「キャノンシールドです」「キャノンシールド!スバル団が使ったのはなんとキャノンシールドだぁ!

で、なんなんだそれ?」

「高出力のエネルギーを一気に放出して敵の攻撃を相殺するシールドです、シールドの機能としては最強と言われています」

「ん?」

「つまり、パルス砲をパルス砲で弾き返したみたいなものです」

「なるほど」



「なんにせよ、ナイスだ!カーチェス」

「この赤いボタンが気になってたんで押してみました、ちょっといじった時に見慣れない装備があったのでまさかとは思ってたのですが、ほんとにキャノンシールドだったとは…」

「さあ、たて直していこう」

「それが、そううまくいかないんです」

 とカーチェス、セサミはまた首を傾げた。



「それはいったいどういうことだ、レフリー芝谷」

「キャノンシールドは防御性能は最高クラスの反面、その反動が大きいのです」

「反動?」

「一気にエネルギーを放出するキャノンシールドはエネルギーの大幅消費により一時的な行動機能の低下状態に陥ります」

「ということは、結局ピンチじゃねーか!」



「完全な敗北を免れただけでもラッキーです、とにかく機能が回復するまで耐えましょう」

「また、パルス砲がきたらどうするんだ?」

「パルス砲の再装填にはかなりの時間を消費します、一度の戦闘に二度は使えませんよ…たぶん」

「たぶんってなんだ、たぶんって」

「実は僕もあまり詳しくないので」

「…とりあえず、今はあれをかわし続ければいいんだな」

 目の前の機体は鉄球を回し始めていた。

長い試合、開始からすでに40分が経過していた、試合はまだまだ長引きそうだった。





「これより帰還する、到着時間は5時頃になると思う」

「…わかりました、総司令官に伝えておきます…」

「ああ、頼んだ」

 本部への連絡を済ませ雷瞬は機体から飛び降りる。

「よし、行くぞ…と言いたいところだが少し休憩してから行こう」

 雷瞬の目の前にいる2人はきょとんとしていた。

「いいんですか?」

「何事も急いてはことを損じる、休憩も大切だ、リーマンは俺が見ておくからお前たちは休んでおけ、20分後に出発する」


「了解!」



「さて少し話をしようかリーマン」

 オルガノの機体〈ソルファー〉に乗り込むと身動きがとれないよう縛られているリーマンに話しかける。

「なんだ? 手短に頼むぞ」

 仏頂面なリーマンは雷瞬と目を合わさない。

「まず…スバルはどこに行った?」

「さあな」

「知っているのだろ?」

「いや、あいつは自分の用だけ済ますといなくなっただから知らん」

「用とは?」

「natural-blue現象についてだよ」

「お前の唱える胡散臭い現象か」

「結局お前もお前の親父と一緒なんだな」

 ため息を吐き出してリーマンは言った。

「なにがだ」

「いずれわかる、どちらが正しいのかな」


「ふん、まあいい、直にスバルも見つける貴様らが何を考えているかは知らんが所詮ガキのお遊びに変わりはない」

「そうかい」




「おしい、おしいぞ〈クラッシャー〉! だが攻撃は確実に当たり始めているぞ」


 肩部、レーザーでの誘導そして鉄球での攻撃、速くはないものの攻撃は正確になってきている。

「カーチェス、このままじゃ、あの重たいのを貰うのも時間の問題だぞ」

「わかってます、あと少しです」

 カーチェスは機内モニターをチラチラ見ながら、操縦幹を慌ただしく操作する。〈チャトラン〉へ、さらに〈クラッシャー〉のレーザーと鉄球のコンビネーション攻撃が飛んでくる。

「カーチェス、まだか!」

「エネルギー回復まであと10秒、回復と同時に一気に突っ込みます、あの左腕を吹き飛ばしましょう、鉄球攻撃を使用不可能にしてやります」

「一発で斬り落とせるか?」

「十分に加速できれば可能だと思います

1、2発もらう覚悟で突っ込むんでしっかり斬り落としてください」

「なるほど肉を切らせてなんとやらだな」


「はい! 準備はいいですか?

回復まで、3…2…1

行きます!」

 真っ直ぐ〈クラッシャー〉を見るカーチェスはブースターを一気に点火させ、機体を急発進させた。


「おおーっと! ここで、スバル団ついに勝負にでたー!」

 鉄球が飛んでくる、それが〈チャトラン〉の左腕を捉え吹き飛んだ、バランスを崩す、だがカーチェスは〈クラッシャー〉を睨み付けたまま〈チャトラン〉を前に進ませる。

「うぉー!」

 カーチェス、セサミは叫ぶ、敵機との距離はつまり、セサミが狙いを定めた。




 〈チャトラン〉はバランスを崩したまま地面に倒れる、スピードがついていたため、そのまま少し地面を滑っていく。

機内の振動は激しくカーチェスは気を失いそうになるが、グッとこらえ機体を立ち上がらせる、その瞬間、ぼーっとする頭に歓声が響いた。

「すっすげーぞ、こんちくしょー、スバル団が〈クラッシャー〉の左腕を斬り落としやがった、〈チャトラン〉、ダメージはあるだろうが、〈クラッシャー〉は両腕を落とされ最大の攻撃手段を失ったぞどうする」



「カーチェス平気か?」

「はい、なんとか…それより形勢逆転です、〈クラッシャー〉の攻撃手段はあのレーザーだけ、一気に勝負をつけましょう」

「ああ!」





「カーチェス達は大丈夫だろうか、もう終わってる頃だろうな」

 フラフラと飛行する〈SDX〉、スバルは心配と期待がごちゃ混ぜになった気持ちを抑えられないでいた。

「向こうについたら連絡してみるか…」

 マヤサッサまではあと数分で着く距離、急ごうとブースターペダルを強く踏み込んだ瞬間だったレーダーに三機の機影が映る。

「三機…」

 スバルは機体を急降下させ、距離をとって飛行するguardian特殊部隊は基本、三人一組で行動する、それを知っているスバルは三機ということにやけに反応してしまう。

「慎重になりすぎか…」

しばらくして機影はレーダーから消える、どうやら気づかれなかったようだとスバルは一息吐き出して再びマヤサッサを目指した。



 それから街には物の4、5分で到着した、機体から降り街を歩く、そんなスバルの耳に話し声が入ってきた。

「なぁ聞いたか、さっきホールソンさんとこに軍のお偉いさんがきてリーマンを連れていったらいしぜ」

「そうなのか、また何か新しい研究でもすんのかねー」

「さあな」


「おい、まじかよ」

 完全に油断していた、こんなところに軍が来るはずがないと。スバルはその情報が正しいのかも確かめず走り出していた。



 形振りかまわず扉を開ける、玄関にはアマルシェが座り込んでいた。

「月咲くん…」

 彼女の目は少し赤い。

「リーマンは!?」

 スバルは荒い息を整えながらアマルシェに言う。

「また1人になってしまった」

「じゃあ、リーマンは連れて行かれたのか?」

「ええ」

「クソッ! やられた」

「…」

「いつ連れて行かれたんだ?」

「30分ほど前よ」

「さっき、レーダーに映ったのはやはりguardianか」「彼を助けるの?」

「当たり前だ」

「相手は3人よ」

「所詮3人だ」

「無茶よ、それに今から行っても間に合わないわ」

「奴等が真っ直ぐ、本部へ帰るのなら止める手段はある」

「ほんとに行くの?」

「ああ、リーマンは俺らの仲間だからな」

「……、じゃあ、私からもお願いするわ、リーマンを助けて」

「まかせろ」

 すぐにドアを開け外に出ようとする、そんなスバルをアマルシェの声が引きとめた。

「待って、彼からの伝言があるわ」

「伝言?」

「natural-blue現象は人為的に引き起こせるそうよ」

「わかった、ありがとうアマルシェ、リーマンは必ず連れて帰る」

「ええ」





次回からついにguardianとの戦い、気合いを入れていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。次話もよろしくお願いします。

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