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35.初陣

カーチェス、セサミが闘いますよ。

「トーナメント1日目も、もう6回戦に入った、さて次の対戦は今回初参加、機体名は〈arb〉、なんと今大会、初のタイプ式操縦ということで若干の注目を集めている機体だ、じゃ登場して頂こう、東ゲートよりセルビー・レジャー!!」

 ゲートが開き迷彩色の比較的小型の機体がでてくる。

「そして、そしてぇーこちらも大会初参加、機体名は〈チャトラン〉さらに、こちらも今大会初のダブコン機という情報が入っているぞ、さて入場していもらおうか、名前もいかしているぜ、かっこ笑いー

スーパースバル爆撃だ〜〜!!」

 今度は西ゲートが開き〈チャトラン〉が出てきた。




「……」

 観客席にいた雷瞬は思わず立ち上がる。

「どうしたの? 他の人に迷惑だわ」

 とオルガノは雷瞬を座らせる。

「今…スバル爆撃団って」「言ったわね」

「スバルって…」

 オルガノが雷瞬唇に指を押さえるように話を遮る。「こんな、ところに来るわけないって言ったのはどこの誰かしら?」

「今はそんな話どうでもいい!」

「そう、でもまぁ、とりあえず見れば月咲か、そうじゃないかくらいは、わかるんじゃない」

「ん〜、そうだなとりあえず見よう」




「カーチェス、大丈夫か」 ゲートからでると歓声はいっそう大きく聞こえた。

「はい、緊張も調度いいぐらいです」

 カーチェスはゆっくり機体を進める。

「スバルに言われたことをやれば勝てる」

「はい!」

「ところでカーチェス」

「何ですか?」

「タイプ式ってなんだ」

「折角の緊張感が台無しです」

 ため息を漏らすカーチェス。

「悪い悪い」

「タイプ式っていうのは、機体の操縦方法の1つで、別称、打ち込み式、操作をすべてキーボード式のパネルに打ち込む方法で、機体の行動を全て打ち込みによって決定します、だから手だけで、操作できるんで足でのエンジン操作は不要になります」

「楽そうだな」

「いや、逆ですね、むしろ大変です、早い打ち込み操作と予測能力がなければ、正直使い物にならないってスバルさんも言ってました」

「ふーん、じゃあなんでそんなんもん使うんだ」

「そういうのが得意な人もいるんです」

「なるほどな」




「さぁ勝利の女神はどちらに微笑むのか」

 実況がマイクを握りしめる。

「レディー」

 レフリーが片手を上げる。


「いくぞカーチェス」

「はい!」

 2つの機体は睨み会う。目の前の機体は一切構えをとらないでいた。

「まずは攻撃予測、しっかり頼むぜ、カーチェス」


 レフリーの手が振り下ろされる。

「ファイッ!」


 先に動き出したのは〈arb〉、小型銃を取りだし銃身をこちらに向ける。

「ELー12、直射、単発式爆裂銃

弾速は…遅い、セサミさん交わします!」

「OK!」

「左フェイント弱!」

 〈チャトラン〉はカーチェスの合図で左へ行く動作を挟んでから直ぐに右へと切り返す。


「〈チャトラン〉軽々と攻撃をかわしたー!」

 銃弾は地面に刺さり爆発する。

〈arb〉次に肩部のミサイルを構える。

「低軌道小型ミサイル、ブースト前進、強」

 ミサイルの発射の直後〈チャトラン〉はエンジンに点火させ最大速度で前進する、と同時に〈arb〉との距離は一気に詰まる。

「カーチェス、攻撃か?」

「攻撃は無しです!」

〈チャトラン〉は右に反れる。




「いい判断だ!」

 と観客席のスバル、その横にはカテナがいる。

「やるじゃねーか、だが近づいた時に攻撃できりゃよかったのに」

「いや、今のはあれでいい、俺が操縦してるなら別だが〈arb〉は左腕にナイフを持ってる、下手に突っ込めば返り討ちだ」

「そうなのか、ははッ、

すっげーな、スバル、お前はいったい何を教えたんだ」

「別に何も、重心の掛け方と攻撃の避けかた、あとはさっきべらべら喋っただけだよ」

「そんだけか?」

「無論、あいつらセンスの問題だ」




「凄いわね、やっぱり月咲かしら?」

「たしかに動きの無駄が少ないし、的確な判断もできるが、スバルではないな、やつならさっきの接近した時に勝負がついてる」

「そうかしら」

「そうさ、むしろスバルなら最初の一撃目を接近しながらギリギリでかわして、勝負つけるようなやつだ」

「たしかに、そうかも」





「さあ、どうくる」

 セサミは操縦幹を握り直す。



「どうした、お互い睨み合ったまま動かなくなったじゃねーか、かなり慎重になっているのかー!」



「セサミさん、攻撃のタイミングは任せます、そのときは脇腹の若干した辺りを狙ってください」

「了解!」

「相手を動かします」

 カーチェスは幹を握り、前に微かに動かす、その瞬間〈arb〉が一気に距離を詰めてきた。

「かかった」

 左腕のナイフを大きく振りかぶり〈チャトラン〉めがけて振り降ろす。


 僅かな動きで〈チャトラン〉は〈arb〉の攻撃を避け、いとも簡単に懐へ入り込む、そしてそこから〈チャトラン〉は右手のナイフを突き刺す。

「くらえー」

 バキバキっと、めり込むようにして脇腹の少し下に突き刺さったナイフは鈍い音とともに奥へと刺さっていく。

「入ったー、〈チャトラン〉の一撃は見事〈arb〉をとらえたー!

〈arb〉反撃にでないのか」




「勝負はついたな、〈arb〉はもう動けないな」

「どういうことだ」

「いいとこ狙ったよ、あの機体の脇腹辺りは最も装甲の薄いところだ、あそこに突き刺せばなにかしら機械系統に支障をきたす、もし仮に支障をきたさなくてもあのまま手を下ろせば大ダメージ間違いなしだ、まともには動けんよ」



「今レフリーが動いたぞ、…」

 レフリーは両手を頭の上で振り試合終了の合図を送る。

「〈arb〉機能停止、〈arb〉機能停止」

「この勝負スーパースバル爆撃団の勝ちだ!」





「あっスバルさん勝ちましたよ!」

 カーチェスは機体から降りる途中スバルを見つけた。

「あんまり、浮かれるなよまだ明日もあるんだから」

 カーチェスの頭をポカリと軽く叩きながら言うが顔は笑っていた。

「ふふん、余裕〜」

 後に続いてセサミも機体から降りてくる。


「セサミもお疲れ」

「どうだった、スバル!

なかなかのもん、だっただろ」

「ああ、正直予想以上だ、とりあえず、明日もがんばれよ、俺は先にカテナのとこに行っとくからお前らはちゃんと機体整備を済ましてすぐこい」

「はい、わかりました」






「スバルじゃないって断言してたくせに」

「一応だ、一応…そういえばビルはどこに行った?」

「ビルなら、弟に会いに行ったまま帰ってこないわ」

「そうか」





「ああ、すまない」

「はい、なんでしょう?」 雷瞬は機体整備をしているカーチェスに話しかける。

「スーパースバル爆撃団の方かな?」

「そうですか」

 レンチを片手にカーチェスは機体から飛び降りる。

「あの誰ですか、あなたたち」

「申し訳ない、私はguardian、rising部隊所属の瀬戸雷瞬だ、こちらは部下のオルガノ・セントルイス」

「がっguardian!!」

「どうしたカーチェス」

 そこへ機内をいじっていたセサミも入ってくる。

「セサミさん、guardianの人が…」

「guardian、何かようですか?」


「ええ、この機体はあなたたちのものですか?」

「はい」

「このスーパースバル爆撃団のスバルと言うのは」

「スバル・カーネル、私の名前です」

「そうですか、それは失礼しました、実は月咲・昴という男を探してまして」

「それで私たちが月咲だと思ったのですね」

「はい、申し訳ない」

 雷瞬は浅くだが頭をさげる。

「気にしてないですよ、それより紛らわしい名前でこちらこそ申し訳ないです」

「いえ、それではこれで健闘をお祈りします」

「ありがとうございます、そちらもお仕事頑張ってください」

「はい、では」






「……」

「………」

 雷瞬たちが見えなくなるまでしばらく沈黙が続いた。

「ビッビビりました」

「危なかった、もう少し早く来ていたらスバルと鉢合わせだったな」

「ほんとです、それにしてもよくあんな咄嗟に嘘がつけましたね、しかも普段からは想像できないような物腰の低いセサミさん」

 とカーチェスは笑う。

「まあ、もとはサラリーマンまだしな」

 セサミも微笑む。

「とりあえず、このことをスバルさんに伝えましょう」

「そうだな」




BA闘技場について


BAファイト専用の闘技場で週4回勝ち残り式の大会が行われ、年1回トーナメントが開催されます。

観客動員数約10万人、広さ的には甲子園の2倍くらい、有料席と一番外側の無料席があり(トーナメント時は全席有料)、グラウンドと観客席の間にはかなり高額なシールドが張り巡らされている、さらに重火器の火薬量制限なども制限されているので安全面の心配はない。主にBA好きの富豪とBA関連の会社からの献金で成り立っている。



ここまで読んでいただきありがとうございます。次話もよろしくお願いします。


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