31.エーデルリッター
今回の新キャラ
アクゼス・ランカー
鳳・紫音
パパル・アブソーバ
ナギサ・アブソーバ
アリージュ・アリーナス
大体のキャラがでました…多くて申し訳ないです。
スバル達が訓練に明け暮れるなか、guardian本部であるNoahに一機の小型飛行船艦が降りたっていた。
「いやはや、貴殿が直々においでなられるとは、めずらしいですな、アクゼス・ランカー殿」
船艦から降りてきた男に瀬戸総一郎が話し掛ける、男は黒いスーツを着込みサングラスをかけていた。
男の後ろにはボディーガードだろうか同じように黒いスーツをきた体格のいい男が2人立っている。
「一応、給料は貰っているからな、たまには軍の視察でもやらんと…しかし久しぶりだな総一郎」
サングラスを外しながら男は総一郎に近づく。
「そうですね、エージュミランでの軍会議以来ですから、かれこれ2年ぶりになります」
「もう2年になるのか、
軍の方はどうだ?最近よくない噂を耳にするが…」
「心配無用です、現在対策部隊を作りことの収拾に全力をあげていますので、じきに片が付くでしょう」
「そうか、くれぐれも計画の差し支えにならないようにしてくれたまえよ」
「わかっています、こんなところではなんです、総司令官室にでも行きましょうか」
それから数時間後、Noah上空に巨大な飛行船艦があらわれる。
「こちら第三空挺部隊所属飛行船艦ハヤブサ、隊長アリーナスより
ハッチの開放を要求する」
「了解、ハッチを開放します」
降りたった船艦から女性が1人、ブロンドの髪に綺麗な顔立ち、凛とした風格の大人っぽい彼女はゆっくりと歩き男の前で足を止める。
「総司令官殿は?」
女は出迎えに来ていたその男に訊く。
「総司令官殿は来客中であります」
「わかった」
「ナギサ!パパル!」
後ろを振り返るり、彼女に続いて降りてきた2人の男女にはっきりとしたこえで呼び掛ける。
「はッ!」
2人はぴったり同時に返事をし、駆け足で彼女の所まできた。
「機体を格納庫に収納したら今日はもう休んでくれ、明日の予定は、おって連絡する」
「はッ」
再び2人は同時に返事と敬礼をする、そして同じ方向へと歩いていった。
その後かなりの隊員が船艦からでてくる、その光景を見ながら彼女は誰かが出てくるのを待っていた。
大きな船艦、主に遠征に使うその船艦はBAの最大収容数が100機らしく、驚くことにさらに大きな船艦もあるという、そんな船艦から最後にでてきた男にも彼女は話し掛ける。
「アリーナスもご苦労だったな、長い任務で疲れただろう」
「いえ、平気です。
鳳さんと一緒の任務は勉強になります」
「それはよかった」
彼女は笑いかける、そんな彼女を見てアリーナスは腹をくくったような面持ちで言葉を口にする。
「…それより明日、良ければ食事に行きませんか?」「食事かぁ…」
さっきの笑顔から一変、彼女は困った顔をして考え込む。
「あっいや、よければなんですけど…」
「アリーナス、それはデートの誘いか?」
「でっデートというか、ただ食事をですね」
アリーナスは赤面しながらたじろいでいた。
「私と食事をしてもつまらんぞ」
「そんなことはないです、断じてないです」
「そうか…だが悪いが明日は訓練をするつもりなんだ」
「任務の次の日も訓練するんですか?明日は休みにすれば…」
「悪いなアリーナス、そのつもりはない、
それに私は色恋沙汰は苦手だ」
「そうっすか…」
アリーナスは肩を落としてとぼとぼ歩いていった。
「色恋沙汰って…
あーぁ…今季、男どもは9連敗、リーダーを落とせる男はいるのでしょうか、どう思うパル兄?」
遠くで2人のやり取りを見ていた小柄の少女は、隣で同じようにして2人を見ている小柄の男に話し掛ける。
「紫音さんも罪な人であるなぁ〜、性格はきついけどナギサと違って美人だし、ナギサと違ってBAの操縦はうまいし、ナギサと違って胸もあるし…勝ち目ないな、なっナギサ」
彼はそう言いながら彼女の肩に手をかける。
「悪かったなぁ〜、てか話がそれてますけど」
手を払いのけながら、軽蔑するような目で見つめる。
「小さきこともよきことかな」
「話し聞いてる?
…てか気持ち悪いよ、殴っていい?」
握り拳をつくって男に詰め寄る。
「暴力反対、兄を敬えナギサ…それより、おいらがそろそろ紫音さんのハートをGETしてやろうかねー」
「うん、そだね
そして玉砕されてこい!」 ナギサと呼ばれるその少女は満面の笑みでその言葉を口にする。
「その言い方では、お前の敬愛する兄が振られるみたいではないか」
「みたいじゃなくて、確実に振られる!それにリーダーを敬愛することはあってもパル兄を敬愛することはまずありません」
「くっ、ナギサは紫音さんに義姉になってほしくないのか」
パパルは次第に訴えかけるような口調になってきた。
「はっ!なっ、なってほしい…かなり」
ナギサはパパルのその言葉にハッとして、少し考えたあとそう口にした。
「ならば、応援しろ」
「…でも、リーダーにはパル兄の彼女になってほしくない!」
「なっ裏切るのかナギサ」
「裏切る以前にまだ協力するなんて言ってないし、リーダーはまだ若いんだからそのうち素敵な人があらわれるはず」
「あれ紫音さんがいない」「そうだ、早く機体動かしちゃお」
長い通路を少し足早に歩いてきた紫音はドアの前で止まる、コンコンっと叩く扉は司令官室だ。
「誰だ」
部屋の中から総司令の声が聞こえる。
「鳳です」
「入れ」
紫音は扉の横にあるボタンを押し中へ入る、そこには、瀬戸総司令と初めて見る男が向かい合わせになって高そうないソファーに座っている、その男が口を開く。
「おや、彼女は?」
「彼女は鳳紫音、彼女にはチームSNEAKのリーダーを任せています」
「どうも、鳳紫音です、すいませんがそちらの方は?」
ドアのそばに立つ彼女は尋ねる。
「こちらの方は…」
「いや、私から」
そう言うと男は立ち上がり紫音の前までいくと自己紹介を始める。
「私はエーデルリッター団長のアクゼス・ランカーだ」
男のその言葉に、紫音は背筋をピンッと伸ばし足を揃え、敬礼をしながら言う。
「こっこれは、失礼をお許しください」
彼女がそうなるのも無理はなかった、軍人でエーデルリッターの名を知らないものはいない、なぜなら軍の最高指令機関であるからだ。そして目の前にいるのはその最高責任者である。
「気にしていないよ、楽にしたまえ、それより彼に用があるのだろう」
男は彼女の焦り具合に少し笑みを浮かべる。
「しかし…」
「報告であろう、ならば気にするな、私の仕事に報告の邪魔をすることなど入っておらんよ」
「はッ!では」
そう言うと紫音は総司令の方へ向き直り報告を始める。
「セルシオ国でのリジウスに関する調査ですが、前回調査時の戦力とは比べものにならないほどになっており、早期に手を打っておいた方がよいかと思われます」
「ひどいのか?」
「はい!詳しい情報は後程、資料で」
「うむ…では今後のリジウスの対策については、会議のすえ、指示をだす」
「わかりました」
「報告は以上か?」
「はい」
「なら下がってかまわん」
「あの…」
「どうした?」
紫音の顔色が変わる。
「月咲さ…、月咲が国反所を襲撃したとか」
「ああ、今はチームrisingに任せてある」
「私も対策チームに加えてください!」
「そう言うと思っていたよ鳳…君が月咲に特別な感情を持っていたことは知っている、だがこの件についてはrisingに一任してある、君には以後もリジウスに関する任に着いてもらう」
「しかし…私は彼を止める責任がある」
「君にそのような責任はない、…それに止めるのではない、捕まえるのだ、ことと次第によっては、殺すという選択肢もある。君にそれができるのか?」
「それは…」
「今は自分の任務をしっかりこなせ、いいな」
「…すいません、後程レポートを持ってきます、失礼しました、団長殿もまた機会がありましたら」
「ああ」
「お見苦しいところを…」
「気にせんでもいい、それより、彼女は月咲と何かあったのかね?」
「鳳君は今の部隊になる前は月咲の部隊にいたんです、月咲への尊敬と憧れは人一倍強かった、だからこそ彼女にとって、月咲の裏切りは許せないものなんでしょうな」
「なるほど」
司令官室から出た彼女はもやもやした頭のまま通路を抜け、気がつけば第二格納庫に来ていた彼女は、赤い光沢を光らせる機体をじっと見ていた、その顔はとても儚げで切なく見える。
「よう」
そんな彼女にハザックが話しかける。無論ハザックは彼女と話すために来たのではなく、時機〈シャーロット〉の様子をみにきただけだ。
「ハザックか、今年の新人隊員選抜はどうだった」
「今年は不作だな、去年と比べると雲泥の差があるな」
「比べるな、去年は異常だったんだ、それにこれから伸びるやつもいるだろう」
「その見込みがあるのはチュニクって奴だけだな」
「そうか」
「それより、お前まだスバルのことが好きなのか」
「フッ笑えない冗談だな、ハザック」
「笑えないか…じゃあその機体の前で、そんな悲しそうな顔すんなよな」
「していない!」
「…そうかい、俺にはそういう風に見えたが」
紫音は黙ったままその場を後にする、残ったハザックは紫音が見ていたものに話し掛ける。
「スバルも罪なやろうだな、たくあんな奴のどこがいいだか…どう思うよ〈ギャラクシー〉」
ハザックの問いかけに〈ギャラクシー〉はただそのボディを輝かせているだけだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。次話もよろしくお願いします。