表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/53

30.首都マドラント(4)

いつのまにか30話

今回はお食事会。

「でか!」

 街灯に照らされているその建物は、全貌を見ることはできないが、宮殿を思わすような広さの大豪邸だった。

「でかいとは思ってたが、実際近づくとここまでとは…」

 驚くセサミの横でスバルもまた驚く。

「カテナってのは相当の金持ちだな」

 セサミ鉄格子の門の外側から中を覗く。

「世界的大企業トロパイオン、カテナはその社長だからな」

「その社長と知り合いのスバルもすごいな」

「世界的に有名なguardianの元エースだからな」

「そうなのか!」

セサミの顔は再び驚きの表情になる。

「言ってなかったか?」

「聞いてない、てかエースがなんでレジスタンスなんてしてるんだ!」

「…そのうち話すよ、とりあえず中に入ろう」

とめんどくさそうに話を終わらせる。

「カーチェスを待たなくていいのか?」

「小春が一緒にいたし、大丈夫だろ」

 そういって、インターホンを押そうとしたスバルの耳に聞き覚えのある声が入ってくる。

「スバル様〜!」

 振り向いたスバルは体をサッと横にずらす。

 その横を小春が通り過ぎる、いや飛び過ぎる。

「よう、小春」

 地面に体当たりした小春は立ち上がり、振り返る。「なんで避けるんですか!」

「またまたご冗談を、避けなきゃ死ぬ」

「小春はスバル様が死ぬほど重くはありません」

「ははは、そうだな

悪い悪い、それより中に案内してくれよ」

 これまた話を流すスバルだが小春もすぐに門を開けて中へ案内する。

「どうぞ」







「おぉー!」

 スバル、カーチェス、セサミが同時に歓声をあげる。目の前のテーブルには豪華な料理がずらりと並べられていた。

「さあ、遠慮せず食え!」 机を挟んで向かい、3人の前に座っているカテナは言う。

「スバル様、私が入れて差し上げます」

 カーチェスをどけスバルの横にきた小春は満面の笑みで皿と箸を手に取った。「おっ悪いな」

 カーチェスが不満そうな顔をして何か言おうとするが、それを妨げるようにカテナの大きな声が響く。

「よおーっし、酒だあー朝まで飲むぞー」

「あら、私を紹介してくれないの」

 ワインを持って来た女性はそれをテーブルに置くとカテナの横に立つ。

「おお、そうだ

俺の嫁のリーナだ」

 紹介が一通りすんだあと乾杯の合図で食事会が始まる。





 しばらくして小春がカーチェスに話しかける。

「カーチェスさん、ちょっといいかしら」

「えっ!うん」


「なんだ、いつまにあいつら仲良くなったんだ」

 セサミは料理を口に放り込みながらカーチェスと小春の様子をうかがう。

「カーチェスもすみに置けないな」

 スバルもセサミのように料理を口に放り込みながら、様子をうかがうがその顔はニヤついている。

「うぉ〜娘はまだ嫁にやらんぞー」

「あっあなた」

 カテナはかなり酒が入り暴れだしていた、それをリーナがなだめる。

「とりあえず、カテナをどうにかしようか」

 スバルとセサミはアイコンタクトをして同時に動き出した。



「カーチェス!」

 部屋の明かりをつけ、ドアを閉めると、小春はカーチェスの名を呼びつける。「なっなんですか?」

 一歩後退りするカーチェス小春は一歩近づく。

「あなたなら分かるかも知れないから、聞きたいのだけど」

「なにを?」

 カーチェスは冷静を装うが心臓が飛び出そうなほど緊張していた。

「なぜスバル様はあんなに私のことをさけるの!」

「えっ!…さぁ〜」

 話がスバルのことになったのでカーチェスはがっかりの気持ちと同時に憂鬱な気分になった。

「私がスバル様とうまく行くように助けて」

「僕が?」

「あなた以外に誰がいるのよ」

「そんなこと、言われてもな〜」

 カーチェスは頭をかきながら困った表情をみせる。

「あなたの頑張りで私が幸せになれるかもしれないのよ」

「僕にそんな力ないですよ」

「いいのよ、力がなくても、あなたはスバル様にいくつか質問してきて、それを私に伝えるだけでいいの」

「質問?」

「そう、質問…」

 小春はニヤリと笑う。




「スバルさん」

 カーチェスがどっと疲れたような顔をして戻ってきた。

「おっカーチェス!よっこの色男」

 それを見てスバルは冷やかしを入れる。

「何の話ですか?」

「惚けるなよ、どこまでやったんだ、…まさかなんもしてないなんて言わないだろうな」

 スバルは子供のような好奇心をむき出しにしてカーチェスを見つめる。

「いや、スバル…カーチェスはまだガキだ何かするにはまだ早い」

 ほろ酔いでかなり上機嫌なセサミは、案外普通な意見を述べる。その横ではカテナがイビキをかいて寝ていた。

「それよりスバルさん聞きたいことがあるんです」

 カーチェスの目はウルウルしている、声もどうも涙声のような気がする。

それをみてスバルは頭をフル稼働させる。

「なっなんでも聞いてくれ、それで気が晴れるなら」 無理やりキスしようとして拒まれたな、それがスバルのだした結論だった。

「スバルさんの好きな食べ物はなんですか?」

「好きな食べ物…

ん〜だし巻き玉子!」

「嫌いな食べ物は?」

「ん〜辛いもんはだいたい苦手だな、あとナッツ類がダメだ」

「好きなことは?」

「そりゃお前BAに乗ることだ」

「好きな人は?」

「なんだそりゃ」

「好きな人は!」

「…いっいることにはいるけど」

「わかりました」

 そういうとカーチェスはまた小春の部屋へと向かいだす…が、ノブに手を掛けたところで振り返る、その目からは涙が流れていた。 「どうしたカーチェス」

「スバルさんは、なんであんなに小春さんに好かれてるんですか!?」

 カーチェスの涙声をかき消すほど気迫がこもっていた。

「そうか…よしカーチェス!俺が女の子を落とすテクを教えてやる」

 そういってチューハイを片手にカーチェスをソファーまで引っ張る。その後2人は明け方まで語り明かした。




「うっお酒臭い」

 小春がダイニングルームに入ってくると、そこにはカテナとセサミが転がっていた。奥のソファーにはスバルがいて、カーチェスはそのソファーの横にもたれ掛かるようにして眠っている、壁に掛かった時計は5をさしている。

ソファーのそばまでいくと小春はスバルの顔を覗きこみ言葉をもらす。

「寝顔も素敵ですわ」

 その後横で眠っているカーチェスの肩に手を置き揺する。

「起きて」

「ん〜〜、…あれ小春さん、おはようございます」

「おはよう、それでちゃんと訊いておいてくれましたか?」

「なにを?」

「なっなにをじゃないですわ、昨日お願いしたではありませんか」

「あ〜質問!」

 カーチェスは意識のはっきりしないままだった。

「そうです」

「えっと、たしかだし巻き玉子が好きで、辛いものが苦手って」

 寝ぼけ眼のカーチェスはなんとか昨日の記憶を絞り出す。

「わかりました、他の質問はまた後でききますね」

「うん」

「じゃあ、もう少し眠っててもいいですよ」

そう言うと小春は立ち上がるが何か思い出したかのようにしゃがみまた口を開く。

「カーチェス」

「ん、なに?」

「あなたの好きなものはなんですの?」

 小春の問いかけにカーチェスは開いていないのと、かわらないぐらいの薄目で答える。

「僕が好きなのは、そりゃもちろん小春さんです」

「なっなな何をいっとらっしゃしゃいまっすの」

 小春は顔を真っ赤すると同時に尻餅をついた、何か喋ろうとするがうまく言葉にならない。

「好きな食べ物はサンドイッ…」

 カーチェスのことばフェードアウトしていき、目も完全に閉じていた。

そんなカーチェスをよそに小春は顔を真っ赤にしたまま部屋をでた。





「よし、じゃあ今日もはりきって訓練に行こう」

 酒に強いスバルは朝から元気ハツラツだ。

「スバルさん、朝から元気ですね」

「まあな」

 玄関から死にそうな顔のセサミ、その後に小春が続いてくる。


「あのスバル様これお昼に食べてください」

 小春は弁当箱をスバルに渡す。

「手作りか?」

「はい!」

「さんきゅー」

 その後カーチェスの方を向き顔を赤くしてバスケットを渡す。

「あっサンドイッチだ、僕の大好物です」

「知ってるわよ

今朝、訊いたじゃない」

「えっ訊かれたっけ…」

「覚えてないの」

「はい」

「自分の言ったことも?」「何か言いましたか?」

 カーチェスは首をかしげる。

「覚えてないんなら、別にいいです、それよりスバル様達、もう行ってますわよ」

「あっほんとだ、じゃあ僕も行きます」

「カーチェス!」

 行こうとするカーチェスを小春が止める。

「はい」

「頑張ってね」

「ありがとうございます」 カーチェスは嬉しさのあまり目を輝かせ、お礼を言ったあとスバル達を追いかける、小春はまた顔を赤くして家の中へはいっていった。




一方カテナは…

「ん!スバル達は?」

「もう、出ていったわよ」





ここまで読んでいただきありがとうございます。次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ