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27.首都マドラント(1)

最初の街に戻ってきた。

マドラント…

マニルエ国の首都であるこの街は住民区、工業区、歓楽区、商業区、学園区の5つの区画から成り立つ大きな都市である。特に歓楽区ではBA闘技場と呼ばれる、生でBA同士の対戦が見られ場所があり、それを目的に毎年多くの人が訪れる。


「もうちょい、そっちよれよカーチェス」

「そんなこと言われても、もうこれが限界です」

 軍の目を気にしてスバル達はセサミの機体、

〈チャトラン〉一機でマドラントまできていた、

〈チャトラン〉は1人乗り機のため3人で乗るには窮屈で、スバルとカーチェス、そして荷物が座席の後ろでギュウギュウ詰めになっていた。


「スバル、カーチェス、マドラントが見えてきたよ」 3人の前に広がる街は首都ということだけあって、かなり広い。

「トロパイオンってBA工場に降りてくれ」とぎゅうぎゅう詰めの中から顔をだすスバル。

「どこだい?」

「工業区まで行けば看板が見えるよ、でっかくて赤い看板が」

「了解」




 眼下に広がる街は人通りが多く、車がところ狭しと走っていた。セサミはそんな街の中にTROPAIONとかかれた赤い看板を見つけ降下する。



 降りたのは大きな工場だ滑走路があり、多くのBAも離着陸しているので軍の基地のように見える。

スバルは機体から降りカーチェスも続く、そんな2人に、帽子に作業着姿のトロパイオン関係者であろう男が近付いてくる。その男は帽子をとり、言う。


「どうも、本日はどういう用件で?」

「機体の改造をしにだ、

カテナさんと知り合いなんだが話を通してもらえないか?」

「社長と?

なんと伝えれば?」

「月咲が用があるって言ってくれれば、わかってくれると思う。」

「わかりました、それじゃ〜12番バンガーに機体を動かして待っててください」

 そう言うと男は工場の中へと入っていった。


「こんなところにも知り合いがいるんですね」

「軍にいれば嫌でも技術者や開発者と知り合いになれるよ、セサミ!機体を12番バンガーに移してくれ!」

「了解!」







「よお、スバル」

 12番バンガーに機体をとめてからしばらくして、1人の男がそう言いながら近づいてきた、帽子に作業着とさっきの男と同じ格好をしていた、ただ違うところはグラサンと高そうな腕時計をはめているところか。

「久しぶりだなカテナ」

「ほんと久しぶりだ、そちらの2人は連れかい?」

「ああ、カーチェスに向こうにいるのがセサミだ」

 そうスバルに紹介されてカーチェスは軽く会釈する。そんなカーチェスにカテナは胸ポケットから名刺を取りだし渡す。

「四鳳上院・華手那だ、以後お見知りおきを…

それよりお前、軍に追われてんだって、通報してやろうか?ひゃひゃひゃ」

「スバルさん、これはまずいんじゃ…」


「なんつってな、冗談だ」 カーチェスは疑いの視線をむける。

「わがトロパイオン社は完全中立、金さえ出せば軍だってレジスタンスだって、はたまた宇宙の住人だって面倒みてやるさ

それでスバル、用件は改造ってきいたが」

「あのでかいのを軽くしてやってくれ」

 そういってスバルは〈チャトラン〉を指差す、その足下にはセサミがいる。

「装甲を外せってことだな」

「ああ、それと操縦席を2つにして、操作も2人操作にしてほしいんだ」

「オッケー、オッケー、

お〜い機体点検と解析をたのむ」

 そうカテナは他の作業員に言いつける、と何人かが

「あいよ〜」と返事をする。



「今日は多いな」

 そうスバルは言う、辺りを見回せば、いたるところにBAがとめてある。

「BAの大会があるからな、ほとんどがその調整だ」

「いくらなんでも、多すぎだろ」

「まあ、今度は年に一回のトーナメントだからな、スバルもそのために来たんじゃないのか?」

「そのために来たんだが、そうかトーナメントか」


「出場するんですか、スバルさん?」

「ん…ああ」

「スバルさんが出場したら優勝間違いなしですね」

「何言ってんだ、でるのはお前らだぞ」

「え?」

「お前とセサミを鍛えるっていったろ」

「ほんきですか?」

「ああ、一緒に行動するんなら何か役にたってもらわないと」

「そんな、無理ですよ」

「心配するな、お前にはBAライダーの素質がある」

「そうですか?」

「そうだよ、それに勝てとわ言ってないんだ」

「…まあ、それならでます」

「よし、じゃあセサミにも伝えてこい」

「はい!」


「スバルはでないのか?」

「俺がでたら優勝確実でおもしろくないだろ」

「よくゆうぜ、つってもお前ならホントに優勝するだろうから怖いよ」

「そう言えば、さっきから機体のチェックしてくれてるのは小春か?」

「おお、そうだ!可愛い〜だ〜ろ〜

小春は母さんに似て美人で可愛いぞ〜」

「ほんと、あんたに似なくてよかったな」

「まったくだ…

先に言っておくが、お前に我が娘はやらんぞ」

「いらんよ」

「なっ、少しは欲しがれ!」

「俺はロリコンじゃねぇ」

「4つしかかわらんだろ」

「でもあいつは15に見えんぞ」

「それは…俺も思う」


「腕はどうなんだ、技師としての」

「そこは母さんに似ず、そうとう器用だ、もうすでに1人でBA一機組み立てられる」

「まじか!」

「まじだ!」

「あのちっちゃい体で?」

「そうだ」

「すごいな」

「ほんと小春には技師としての素質がある…

身長以外は」






「セサミさん、僕と2人でBAの大会にでますよ」とカーチェスは〈チャトラン〉の足下にいるセサミに話しかける。

「なんの話しだ?」

もちろんセサミにはわけのわからない話であるから、そう返す。


「ちょっと〜これあなたの機体?」

 とそんな2人に、機体の中から顔を出した少女が話しかける。

「彼のです」

 そうカーチェスはセサミに手のひらを向ける。

「僕のです」

 そう言うセサミの横に飛び降りる少女。身長140センチほどのその少女は言う。

「いい機体なんだから、手入れちゃんとしなよ、中サビサビだし」

「サビサビ、そうか機械は錆びるんだよな〜気を付けなければ」

「それとネクトルが3倍ってことに気ずいてる?」

「ネクトル?なんだそれ?

カーチェスは知ってるか?」

「もしかして、セサミさんはネクトルも知らないんですか?」

「まったく知らん、初めて聞く言葉だ」

「そんなBAライダーがいるなんて驚きだわ」

 少女は少し呆れているようなのでカーチェスが説明を始める。

「え〜ネクトルって言うのは、ネクスタートルクの略でエネルギー増幅装置の総称です。3倍ネクトルはエネルギーを3倍に増幅してくれるんネクトルってことです」

「増幅装置…」

「そう、少しの燃料や電力でも長時間BAが動けるのはネトルクがついてるからなの、でッそのネトルクの今の主流は6倍よ6倍!」

「半分か…」

「そう半分よ、お金の無駄使いに環境破壊促進よ」

 とその小さな少女はどんどんセサミに突っかかっていく、それを見ていたカーチェスは話を切り替える。

「あの〜ところであなたは」

「あっと…コホン、これは失礼、私は四鳳上院・小春と申します、以後お見知りおきを」

 そう言って少女は帽子を取り頭を下げる、長いきれいな桃色の髪がたれる。

「四鳳上院ってさっきの」

 カーチェスはポケットに手を突っ込み名刺を取り出す。

「私の父です」

「へぇーそうなんだ、僕はカーチェス、で…彼はセサミ、よろしくです」

「ええ、よろしく

 こちらの機体は私の担当になったので何かあったら言ってください」

「女の子なのに技師なの」

「ムッ、技師に性別は関係ないと思います!」

「あっごめん、そうだね…でもそんなに体が小さいんじゃ、いろいろ大変じゃないですか?」

「補助機器があれば大変じゃないし、狭いところに入って行けるから逆に便利です!」

「そっか、たしかにそうですね、あっ…それはそうと頬に煤がついてますよ」

カーチェスのその言葉に少女は顔を赤くする。

「そっ、そういうことは先にいいなさいよ!」

 そう言いながら、袖で煤を拭き取ろうとするが袖に煤が着いてるのでよけいに黒くなってしまった。

「小春!お客様にたいしてなんだその口の聞き方は、それに顔に煤がついてる」カテナは小春の頬を拭きながら言う。

「パパ…これは…



ってあーッ!」と彼女は急に大声をあげた。





ここまで読んでいただきありがとうございます。次話もよろしくお願いします。

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