表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/53

1.その男…

これからの参考にしたいと思っているので感想、指摘がありましたら、じゃんじゃん書いてください。

「本日、午前11時30分をもって月咲つきさき すばるを釈放する」

 と軍服姿の男は発した。その男の後ろの建物には大きな文字でー国際軽度反軍者収容所ーと書いてある。


「久しぶりの外ってのは眩しいもんだなぁ」


 そう言って1人の少年がその建物から出てきた、一年間の収容所にいたスバルと呼ばれるその少年はあまりの眩しさに目を手で覆う、収容所に光が入らなかった訳ではないが、鉄格子から指す光など僅かなものであった、それだけに太陽が人一倍、眩しく目に突き刺さるような感覚があった。


 しばらく止まって空を見る、その後一、二歩、歩みを進めると、振り返り唐突に軍服の男に一言。


「なあ、おっさん俺はこれから何をすればいいんだ?」


 煩わしそうな顔をして軍服の男は言う。


「そんなこと、わしは知らん…じゃがもうここに戻ってくるようなことはするなよ」

「ああ、分かってるよ、もうおっさんの顔なんて見るのも嫌だかんな、それにやることは山ほどあるはずなんだ、ただ…何からすればいいか分からないだけなんだ」


 そう言ってその彼、月咲 昴は再び歩き出す。




 街は一年であまり変わらないものだった、収容所をでて、しばらく歩くスバルの目を引きつけたのは、見覚えのある大きなドームだった、そのドームにはBA闘技場との看板。BA(battle armament)、人工の戦闘用巨大人型ロボットのことを人はそう呼ぶ、そのBAを使った賞金のでる試合、BAファイトをする場所が今目の前にある巨大なドームである。

スバルの足は考えるより先にドームの方に向かっていた。




「強い、強すぎるぞ平賀ー!もはやこの男に敵はいないのか、彼のBAはメカの動きをはるかに超えている!!」 


 場内からは溢れんばかりの熱気、中に入ると興奮の限界を越えているのであろう実況者の声と大きな歓声があがっていた。 巨大なドーム中央にはそのサイズに合った、バカでかいグラウンドがあり二機のBA、一機は右のアームを上げ勝利のポーズだろうか? をとっている、もう一機は地面に倒れている様子であった。

 その周りには、グラウンドをぐるっと囲うように大勢の観客がいる。

 観戦はタダみたいだな、とスバルは近くの空いている席に座った。

場内にまた実況の声が響く。


「勝ち抜きトーナメント、次は4戦目、誰か奴を止めるヤローはいないのかぁ、次の相手はBAファイト常連のこの男クラッシャーボブことボ~~~ブ・アァーーベック!!」


 熱い実況の声とともに東側にあるゲートから黒い機体があらわれた観客からは

「ボブー」や

「ぶっ潰してやれクラッシャー」などと声が聞こえる。


 入ってきた黒い機体はクラッシャーという機体名のようだ。

ゴツゴツしたフォルム、腰には小型ブースター、武器はビルなどの解体工事に使われそうな、大きな鉄球のようなものと、肩についている小型ミサイルのようだ、そんな彼に対峙する平賀という男の機体はクラッシャーとは対照的な白にスマートなフォルム背中に小型ブースター、武器は腰に付いている2つのビームナイフだろうか、機体名は未登録のようだ。


 共に数歩ずつ歩み寄り、向かい合う、場内は一時静まり返った。


 

 こちらにまで緊張が伝わってくる静けさ、次の瞬間レフリーの

「ファイッ」の声が静まり返った場内に再び歓声をとり戻させる、と同時に二つの機体は動き出す。 先手をうったのはクラッシャーだ、鉄球を振り回し投げつける、平賀はブースターで難なく鉄球をよける。


 外れた鉄球が地面にめり込む、えぐれた地面から鉄球がよほどの重量だとわかる、だかその重さゆえに次への行動が遅れる、平賀はその隙にクラッシャーの懐に飛び込み、素早いナイフの一撃をお見舞いする。


 場内は沸く。


 致命的な斬りつけに見えたがどうやらクラッシャーにダメージはないようだ。 俊敏な動きを捨てたかわりに、彼の機体には鉄壁の防御力と一撃粉砕の攻撃力が備えられていた。

 だが次第に勝負は一方的になっていく。

 何度も繰り出される鉄球、しかし当たらない攻撃は意味がなかった、平賀はコツコツと攻撃を加えダメージを与えていく、すぐにクラッシャーは動かなくなった。


 レフリーが試合を止める。


「勝者平賀」


 場内にはまた歓声が響き、平賀はゲートの奥へ消える、さっきまで客席にいったスバルの姿はない。





 スバルは試合が終わる前に動き出していた、ゲートの奥にある控え選手用のBAガレージには数十台の機体が収容されていた。

メンテナンスをする人間とBAライダーが機体の数の三倍ほどいる。

ガレージ右端には受付とかかれたテントが張ってある。


「試合には誰でも参加できるのかい?」


 スバルは受付にいる女性に話しかける。


「ええ、BAをお持ちでしたらどなたでも、次の挑戦者はいませんので今受付していただければ、すぐに次の試合に参加できますよ」


 機体など持っていないはずの、スバルは考える間もなく言った。


「そうか、じゃー参加登録しといて」

「わかりました、お名前又は、機体名をお願いします」


今度は少し考え…

「ひ・み・つ」と答える

「ひみつ様ですね登録には少し時間がかかるので少々お待ちください」

「あれ……まいっか」


 スバルはあたりを見回し奥の方にある他よりは一回り小さな機体のそばに行き、メンテナンスクルーとパイロットであろう男に話しかける。


「あのさぁ、このBAかしてくんない」


 みんなが怪しいものを見るような顔をした、…いや実際に怪しいものを見てるのだが。スバルには彼らの頭からハテナマークがでているようにみえる。


「なっなんだお前はいきなり、わけのわからんことを」


 パイロットは至極当然ながら、もっともなことを口にする。

だがそんなことでスバルが引き下がる訳はなかった、すでに参加登録は済ませてあるのだ、つまり、正しくいえば引き下がれないである。


「いいだろ、少しくらい」

「いいわけねーだろ、バカかお前は」


 バカじゃねー、と言おうとしたスバルをガレージ内に響く声が遮る、その声は間違いなくさっきの受け付けの声だ。


「ひみつ様、登録完了しました、BAに搭乗のうえゲート前まできてください」

 

 ガレージ内からは、まだ平賀に挑む奴なんていんのかよ、との声がする、察するに先ほどクラッシャーボブを倒した男は、勝負を挑む奴がいなくなるほどに、強いらしい。


 スバルは以外に早かった登録準備に感心したあと、パイロットの方に向き直り機体の出っ張りをサッとつたってコックピットに乗り込んだ、運のいいことに……BAの持ち主にしては運の悪いことにキーは付けっぱなしだった。


「わるいな、じゃあ〜かりていくぜ」

「おい、お前ま…」


 パイロットの話をよそ目にスバルは機体をゲートへ走らせた。




 ゲート前にきたスバルに機内無線が入る。


「ゲートが開いたら前に進んでください。レフリーのファイトの合図で試合開始です」

「了解」


 場内からは実況の声。


「おおっと、ここにきて、まだ平賀に勝負を挑むやつが現れたぜ、平賀の第5回戦のやろーの名前は、えー…っとひみつ、機体名は未登録と、きやがった謎のおおいやろうだぜ〜、かもーんMr.ひみつぅ〜〜!!」


 ゲートが開きスバルは機体を進める、逆のゲートから平賀も機体を前へと進める。

場内にどよめきがおこる。


「なんだこのやろー、武器なしだぜ、わざわざやられにきやがったのかぁ」


 そこでスバルは自分の機体に武器が付いてないことに気づいた


「おい、お前なめてるのか」


機内スピーカーで平賀が話しかけてくる、たがスバルは何もこたえなかった。一年ぶりに乗ったBAになんとも言えない感動、緊張感、コックピットから見える景色、その全てがスバルには懐かしく、自分の居場所に戻ってきたのだと気づいた、平賀の話しなど耳には入らなかった。


「武器がなくても試合はしてもらうぜ」と平賀はスピーカーをきる。


 レフリーが両手をあげる


「さあ、いよいよ始まるぜヤローども、勝つのは5連勝のかかった平賀か、はたまた無謀にも武器なしで勝負を挑んできた挑戦者か」


場内は静まり返る、スバルの緊張は絶頂まで高まる、と同時にレフリーが手を振り下ろした


「ファイッ!」


 

先に地面を揺らしたのはスバル。


「武器なしの挑戦者、いきなり突っ込んだ」


 平賀はまさか武器なしのBAがいきなり突っ込んでくるとは思いもしなかったのだろう、機体の左足が半歩後ろに下がる。

スバルはそれを見逃さない。


「退くものに勝利はない」

 それはスバルの体に染み込んだBAライダーとしての教訓だった、スバルは平賀の右側から機体をぶつける。


 振動が脳を揺らし、音が鼓膜を振るわせる、衝撃で我にかえる平賀だが遅れて半歩後ろからくりだした左アームの攻撃は、遅くスバルには止まっているかのようによく見えた。


「挑戦者見事に攻撃をかわしそのまま反撃!!」


 平賀の振り抜かれた左アームのビームナイフはスバルのBA頭部をわずかにかすめていった。

即座にスバルは振り抜かれたアームを追いかけるように強烈なアッパーを放つ。スバルのBAの指が衝撃に耐えきれず吹き飛ぶ

さっきまで、うるさかった周りの声は聞こえない、それほどまでにスバルの鼓動は音上げ、集中力は高まっていた。


 アッパーにより弾かれたアームからナイフが離れ宙をまう、平賀はバランスを崩し、スバルはその流れのまま平賀の背後にまわりタックルをくらわせる、平賀の機体はゆっくりと倒れた。


「しまった」平賀がそう思った頃にはもうBAの右アームはなかった、何が起こったのか分からないまま平賀は視線を前に向ける、そこにはさっきまで背後にいたはずの機体が自分のビームナイフをもち前に立っているのが見えた。


・・・、場内から声が消える。






「つっ強い挑戦者、誰がこんな展開を予想しただろうか、見事なまでの操縦テク、回避から反撃への華麗な流れ、そしてとどめと言わんばかりのナイフによるピンポイントの右アーム切断、こんな事のできるやろーがまだこのBAファイトにいやがったのかー、レフリーが言う前に俺が言ってやるぜーこの勝負挑戦者の勝利だーーー!!」

 興奮する実況、それにつられて歓声が再び大きくなる。

スバルはゲートへともどっていく。

平賀の機体は倒れたまま動こうとしなかった。



 ガレージ内ではモニターで試合を観ていた他の選手たちがスバルが戻るのを今か今かと待ちわびていた。薄暗くなったゲートの方から機体が歩いてくる。


「あんたすげーよ」


 一人のパイロットが機体に近づく、それに続いて何人もが近づき言葉をかける。


「あんたなにもんなんだ」


「どっからきた」


「名前は」


「降りてこいよ」


 だが機体から一切反応はなかった、不思議に思った機体本来の持ち主がコックピットに登り、中を覗くとそこには誰もいなく、ただ操作画面にオートパイロットの文字が表示されているだけだった。


 階段から1人の太った男がゼーゼーいいながら降りてきて受付に向かう。


「さっ…さっきの男は?」

「社長!ひみつ様なら賞金だけ受け取られて出て行かれましたが」


 受付の女は、普段みれないほど荒れているBAファイト最高責任者を見て慌てて答える。


「なぜ…とめなかったのだ」

「えっいや、それは…」

「あの機体さばきは、わしが見てきた全パイロットのなかで間違いなく最強の男だ、探してこい!!」




 スバルは賞金を手に駅へ向かって歩いていた、勝利に喜んでいると思いきや、彼は不服のようだ。


「う〜ん、…まさか一年であそこまで腕が落ちるとは、ナイフの攻撃のときもかすったしなぁ〜相手がもう少し強いやつなら頭部がぶっ飛んでたよな〜あれは」


 さっきの試合についてブツブツいっていると、いつの間にか駅についていた。

コムルル行きのチケットを買い、駅の椅子に座る


「え〜ヒュースト地方行き列車がえ〜3両でまいります、え〜危険ですので〜…」


やたらに「え〜」という駅員を面白く思いながらスバルはしばらくして来た列車に乗り込んだ。

あとがきでは本編では書かなかった設定などを書きたいと思います。 1スバル、まず始めに容姿などは一切書いていませんが、主人公の容姿は自分の思う主人公像を勝手に思い浮かべて読んでください。年齢は19歳。 2国際軽度反軍者収容所→軍に反抗した者で比較的罪の軽い人が入れられる、おもにレジスタンスが入れられる。ちなみにスバルは軍の総司令官を殴り1年の服役 3平賀・ボブ→後から登場するかもしれないので覚えててあげてください。   ここまで読んでくれた方ありがとうございます。次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ