彼は変な人だった
これは彼女目線です
私の好きになった人は変な人だった
“好きだ”と言った女性に
“なぜ?”と尋ねる人だった
かっこいいから?
いや別にそういうわけではない
正直言ってイケメンというタイプではない
運動ができる?
いや彼は運動が苦手らしい
前体育を見たときに知ったが 本当に運動音痴だ
じゃあなぜ?
正直言ってそれは一度の
とても小さな出来事だった
“本を取ってくれたのだ”
私はよく図書室に行き本を読む
あまり人に馴染めなく多少苦手意識があった
そのため 友達がいなくて 図書室に行くようになったのだ
私の身長は一般と同じくらいかそれより低いのかもしれない
160cmだった 図書室の棚はその私の身長を軽々と越していた
初めは面白そうな小説を適当に呼んでいたが
徐々に目の届く範囲に面白そうなのが無くなり 上の棚を少し離れて見た
すると 面白そうなタイトルの小説が出てきたのだ
そして周りを軽く見渡すが そこに台になるものがない
そもそもこの図書室には台が無いのだ
全くもっておかしな話だ
これじゃあ 身長が低い人は困るだろう
と思うが とりあえず本を取ろうと背伸びをした
しかし手は届かない
軽く飛んでみても結果は同じだった
はてさてどうしたものかと考えていると
白く細い手が視界の端から
そして本を取ると ”これ合ってますか…“と私に本を渡してくれた
はい、ありがとう
と言うと彼は一瞥して去っていった
その後彼を見かけたのは 教室から外を眺めていた時だった
旧校舎に彼がいることを知るといつしか目で追うようになってしまった
きっと彼はこの時のことは覚えていないだろうと思い
私は
“恋に理由はいりますか?”
と訪ねたのだった
次は1時間後