#百合 #耳かき 甘えん坊な自分×面倒見のいい後輩
今日は後輩が自分の家に泊まることになった。
後輩だけど、敬語とかを使うかたくるしさは、全くない。
根っからの仲良しだから。
一緒にずっとゲームをやって、とても楽しく、夜中まで二人で仲良くさわいでた。
両親は仕事にいったまま、何故か帰ってこないらしい。
とても心配にはなるが、注意されず、とにかくめいいっぱい自由に遊べるのがよかった。
二人きり。
それは誰にもこの時間を邪魔されない。
頭がとろけるほど、楽しかった。
夜中までゲームをやったあと、もう寝ようとなったが、どうしようと少し悩んだ。
暗闇。夜中。
何もしてなくても、それが家でもちょっとゾッとする。
離ればなれで寝るのは、さすがにやばかった。
白くきれいなベットに、自分と彼女は座り込む。
あー、どうしよう。
怖いなあ。
と思っているふい、自分はとっさに隣にいる彼女の手を。
ぎゅっ。
握っていた。
愛情表現とかそんなものじゃなくて…不安な気持ちが、勝手に行動を起こしたのだ。
恥ずかしいよりも、不安のが大きい。
恥ずかしいとかそういう気持ちは、もうずっと馴れ合ったからあんまりない。
ぎゅっ。
「ん?怖い?」
心配そうに私の顔を見つめる。
その通りだと素直にうなずいた。
「んーー。」
その後何か考え事をしてるようで頬杖をついた。
「ちょっと、いい?そういえばいいものがあった。あ、ちょっと手離すね。」
そう言うと、彼女はベットの上をよつんばいになって動き、前にあるタンスに手を伸ばした。
「あ、これこれ。」
タンスから何かを手に取ると、再び同じように戻ってきた。
暗くてよく分からなかったが、彼女は綿棒のようなものをもっていた。
「おいで。」
急に隣にいた彼女が自分を優しく抱きしめた。
ふんわりしてて温かい。
お母さんのような温かみ。
心が落ち着き、安らぐ。
自分の頭をゆっくりと撫で下ろされて、最高に気持ちよくて。
そして、頭を撫で下ろしながら彼女の体のなかにうずくまる自分の耳に、綿棒をゆっくり入れてきた。
まさか…耳かき?
ん、これはやばいかも…。
綿棒が奥までぜんぶ入ると、ゆっくり優しく、繊細に動かしてきた。
耳の皮膚に、やわらかい繊維が優しく刺激して、すっごい気持ちいい。
幸せと、なんていうんだろうか、その…心と心が通じあってるみたいな、そんな嬉しさを感じた。
恋人のような感覚だろうか。
「ひひ。落ち着く?」
自分は彼女の体にうずくまっていて顔は見えなかったが、どうやら微笑んでいるようだ。
どうやら彼女も同じ嬉しさを感じたようだ。
頭を撫で下ろしながら、耳のなかでゆっくりと綿棒を引っ込ませたり、戻したり、を繰り返す。
耳のなかで動くやわらかい繊維。
頭はつねに幸せと嬉しさで包まれていた。
「なんで後輩が先輩の面倒みてるんだろー。」
少しイヤミっぽさを交えて、微笑みながら。
「先輩ってばかだよねー。」
と言うと、鼓膜のなかでぐいっと綿棒を突き刺してきた。
柔らかな細かいふさふさの繊維が耳を急に強く刺激してて。
言葉に表せない感覚。
いきなりきて、つんとする気持ちよさ。
ぴくんっ。
勝手に、頭がぴくんと反応した。
「あー動いたよー?ばーか。」
そんなのしょうがない。
だって、気持ちがいいから。
「ばかだよねー。」
綿棒を引っ込めると、再びぐっと突き刺した。
またもつんっ、てきて、高い、変な声がもれてしまった。
やばい。
彼女に掴まる自分は、顔を出してひやひやと彼女に唇を噛んで焦りの表情を訴えた。
「かわいい。」
すると、あわあわと焦る自分の顔を。
ぎゅっとさっきより強く抱きしめた。
「なでなで。」
頭を優しく、また撫で下ろす。
幸せと安堵で、心のなかが包まれた。
「好きだよ。子供みたいな幼いところ。」
にこっとほほえんで、そう耳元でささやいた。
「普通は、こういうのたぶん逆にやるんだろうけど。」
普通だったら先輩が後輩の面倒をみるはずだが…自分は人の面倒など見れない。
自分は、甘えん坊っぷりを発揮して面倒や世話を見られる側だから。
彼女への“愛”のぬくもり、愛情…。
自分も、好きな気持ちが止まらない。
彼女に好きな気持ちと、お礼の気持ちを伝えた。
いつも自分の面倒を見たり、甘えを聞いてくれてありがと、と。
「うん!これからも、いっぱい甘えていいからね。」
そして、愛情を伝えたくて、言葉通り強く頑丈に手を重ね繋ぎ、自分は彼女の顔を見つめ、ほほえみながら見つめあった。
好き。大好き。
ただ、好きな人が目の前にいるだけで幸せだった。
「…一緒に寝よっか。」
自分は、嬉しい気持ちを出しながら笑顔で大きくうなづいた。
手を重ね繋いだまま、嬉しそうに自分と彼女は一緒に横になる。
怖い夜なんて二人でいれば吹き飛ぶと、実感した。
手を繋いで、自分と、彼女は顔を見合わせて、にこにこした。
嬉しさと幸せが、どこからともなくこみ上げてくる。
「ずっと一緒だよ。おやすみ。」
彼女はとびっきりの笑顔で、そう言った。