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異世界へ

「それともう一つ、この力を使うに当たっていくつか質問をさせていただきます、後々質問しますのでその時は忌憚ない返答をお願いするわ」


「分かった」


反論の余地は無さそうだしな、こうなったら腹をくくるしかない。


「それでは早速この星にお送り致しますね」


「頼むよ」


「はらりんぱらぱらべろりんホイッ」


「え?ええええぇぇぇ……」


そんなよく分からない呪文に突っ込みを入れる間もなく、突如足元に穴が現れそのまま落ちていった。気がつくと空中にいた、そして地面目掛けて真っ逆さまに落下している。


「おお、おい落ちてるんだけどぉ!?」


「はい、無事に転送完了しました」


何処からともなく先程の神様の声が聞こえてくる。というかそんなことはどうでもいい、今のこの状況がとんでもなく問題だ。


「はい、じゃねーよ!このままだと地面に激突して死ぬじゃないか」


「大丈夫です、私の力を授けたのです。その程度では死ぬことはないと思います」


「ないと思いますって全然説得力ないんですけどぉ!だいたいこんな高さから落ちたことないから、着地すら出来ないよ!」


「人間は生身で上空三千メートルから着地したことないんですか?それは困りました」


「あるわけねーだろぉ!」


口論している間にもどんどん地面が近づいてきた。ええい、なるようになれ、もうどうでもよくなってきた。


ひゅーーーーーー、……ちゅどーーん!


地響きとともに地面に激突した、俺死んだのか…自分の体を確かめてみる。ある、手足があるかすり傷一つない生きてた。僕が落ちたところはクレーターのように凹んでいた、誰もいない所でよかった。


「ほら、なんともないでしょう?」


「あのなぁ、普通に転送してくれよ今ので精神的な寿命が縮まったわ」


「そんなことよりも、近くに町があるのでまずはそこに行くことをお勧めします」


そんなことって…、まぁいいここで口論していても意味ないしな、落下の衝撃でできたクレーターから這い上がると近くにあると言う町へ向かった。


「へぇここが町か」


町は活気があり所々に店が立ち並び賑わいを見せている。行き交う人は笑顔に満ちておりとても平和そうな様子だ。


「確かに平和そうだな」


「それが困るんですよぉ、良いこと思い付きました。貴方が新しい魔王としてこの村を焼き払うなんてどうでしょうか?」


おいおいこの神様自分で生み出しといて僕に虐殺しろとか言ってるよ。


「それはしない、生まれは違えど僕もいちを人間なんで」


「貴方の世界でも人間同士で殺しあったりしてるじゃないですかー?」


「確かにな、けどだからって僕も同じことをするとは限らない、人にはそれぞれ正義があるからね、僕にはこの町を焼き払うのが正義だとは思わない」


「私から見れば人間も魔物もエルフもドラゴンも何らかわりない者なので、誰をどう殺そうと変わらない気がしますが、神の代行者である貴方が決めたのならそれでいいでしょう、しかし、手段は任せますがソウルはしっかり回収してくださいね」


「そのソウルってのは、どんなものなんだ?いまいちピンと来ないんだけど」


「そうですね、あそこにいる村人Aを見てください」


「村人Aって誰だよ…」


「私と同じ目を授けましたので貴方にも見えるはずです、あの村人Aはソウル1ということになります」


言われた通り目を凝らすと確かに胸の辺りにぼやっと青い炎のようなものが見える。


「あの人が死んだらそのソウルがまた違う命になるってことか」


「はい、そしてあそこにいる兵士Aを見てください」


見るといかにも屈強な兵士といった感じの男が歩いている。その男にも同じように炎が宿っていたが先程の村人とは違っていた。


「あの兵士Aはソウル三ってところですね、ソウルの多さはその個体の全体的な基礎能力の高さと言ってもいいでしょう」


「同じ人でも個人差があるのか、そしてソウルが多い人ほど強いと」


「はい、できればああいう一人で沢山のソウルを抱え込んでいる輩を殺っちゃってもらうと捗るんですが♪」


こいつ神様は神様でも死神かなんかじゃないのか?とても発言が生み出した我が子に向ける言葉だとは思えないんだが。


「そういえば僕のソウルはどれくらいなの?」


「三万八千です」


「なるほど、そんなもんか…………、今なんと?」


「ですから三万八千です」


「おいいいぃ、それはいくらなんでも盛りすぎだろ!ただでさえソウルがないとか言ってるくせに無駄遣いも甚だしいわ!」


「だって、神の代行者が弱かったら神である私の程度が知れてしまうでしょう?なのでサービスしちゃいました♪」


この駄目神がぁ!あぁ先が思いやられる。僕は頭を抱え込んでうずくまる。


「そんなに喜んで頂けるなんて、やはり貴方を選んで正解でした」


こいついつか絶対仕返ししてやるからな今に見てろよ。


「お兄ちゃんそんなところで何してるの?」


声のする方を見ると女の子が心配そうにこちらを覗き込んでいる。


「いや、別になにも…、ちょっと道に迷ってしまってアハハ」


「そっか、お兄ちゃん町の外からきた人ね服装も変わってるし」


そう言われて改めて自分の姿を確認する。確かにもといた世界でもなく今いる周りの人達とも違う格好で明らかに浮いている。


「ここは水の都スカタナこの辺りでも大きな町なんだから」


「へぇ、ありがとう教えてくれて」


「私はミリオお兄ちゃんお名前は?」


「僕は石上…」


ちょっと待てよ確かに僕の本名は石上達也(いしがみたつや)だが、彼女の名前を聞く限りそれだと格好だけでなく名前まで変わった変なやつになってしまう。もう少し西洋風な名前にした方がいいか。


「?」


「ええっと、僕の名前はシガミって言うんだ」


「へぇー変わった名前ね」


だぁー、結局変わった名前に認定されちゃったよ!


「なぁ、聞いたか?さっき近くの平原に空から隕石みたいなのが降ってきてでっかいクレーターができたらしいぜ」


「あぁ、聞いたしかもそこから人らしいものが出てきたって話だ、もしかして宇宙人か何かか?」


「そんなもんいるわけねーだろぅがっはっは」


すみませんそれたぶん俺です。とは口が避けても言えないけど、でも宇宙人ってのは間違いじゃないな、現に僕は別の星から来たわけだし、この星の人から見れば立派な宇宙人だろう、しかし顔までばれていないようだ。


「お兄ちゃん大丈夫?」


「あ、あぁ大丈夫ありがとう、僕ちょっと用事があるから行くね」


「うん、またねお兄ちゃん」


あまり長居すると怪しまれそうだし早く離れよう、というかもう少しましな服は無かったんでしょうか神様。


「何を言っているその服の美的センスに気づかないとは」


「急に話しかけてくるな、びっくりするだろ」


俺今口に出してたっけ?この神様人の心まで読めるのか。


「それにその服は対魔、対物あらゆる攻撃に抵抗できる素晴らしい神具なのですよ?おまけに状態異常はすべて無効、即死耐性や精神攻撃すらレジストするのだ」


「そりゃすごい、それは随分と沢山のソウルで出来ているんでしょうね」


「うむ、一万ソウルは下らないな!」


「この馬鹿神!どんだけ無駄遣いすれば気がすむんだよ!」


「な、神様に向かって馬鹿とはなんだ!馬鹿って言う方が馬鹿なんだからな!因みに武器はその防具を作った時点でもうソウルが尽きたので後は自分で何とかしてくれ」


「だろうな!俺一人だけで四万八千分のソウルを消費してるんだから!」


「そ、そんなに怒ることはなかろう私だって早くこの状況をなんとかしたいと思っておるのだ…」


「だったら、もう少しその浪費癖を直すんだな!」


「うー」


ったく、こんな神様だったら今の現状も極自然だよ。

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