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第5話 縮みそうで縮まらない

 いくら桜や海斗達がいても、二人っきりでプールを回るというのはこれは端から見たらデートじゃないか!?

 告白もしてないのに手を繋いでるし、いやいやこれははぐれないようにするためで決して変な気持ちは…


 僕がどうしてこんなになっているかというと、話は少し前にさかのぼる。


 隊長から渡された招待券、それはACF本部のある空風市のお隣、竹原市に先日オープンしたばかりの「アクアパーク」という複合レジャー施設のものだった。

 室内には温水プール、レストラン、風呂を備え、季節を問わずプールで遊べる施設ということもあって開業してから連日混雑が続いている。

 そこに僕、由乃、桜、海斗の4人で向かったわけなのだが…なぜかそこには隊長と絢佳の姿があり、当然みんな水着に着替えるわけで。

 見慣れたほうである桜と絢佳の水着はともかくとして、大人の魅力を醸し出す隊長と、これまた可愛さ全開な由乃の水着姿を目の当たりにした僕はなぜか由乃の手を引いてその場から逃げるように去っていってしまったのだ。


 という経緯があって、現在に至る。

 こうなってしまった以上、せっかくの休みを楽しまないわけにはいかないので、僕は覚悟を決めた。


「えっと、由乃はプールは好きなの?」


「はい!泳ぐのも好きですし、のんびり水に浮くのも好きです!」


「じゃあまずは軽く腕試しでもしようか?」


「腕試しですか?」


「どっちが25m先に泳げるか競争だ」


「どうせなら、罰ゲーム付きにしませんか」


「ば、罰ゲーム?」


「そうですねぇ…負けた方は買った方に飲み物をプレゼント!なんてどうですか?」


「よーし、受けて立とうじゃないか!」


 とは言ったものの、実を言うと僕は泳ぐのはあまり得意じゃなかった。25mくらいなら普通に泳げるが、早さは…

 まあ、由乃も普段の感じから速く泳げそうな印象は感じないし…

 桜みたいな人間マグロとは違うだろうから、勝てると思っていた。


「うーん、勝負の後のジュースはおいしいです!」


 負けてしまった…。泳ぐのが速いなんて聞いてなかった。

 そりゃ普段の訓練で泳ぐことなんてないけれど…


「先輩、ごちそうさまでした!」


 まあ、この屈託のない笑顔を見られたからいいかなー。なんて付き合ってもないのに彼氏みたいな事を思ってしまう僕なのであった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 久しぶりのオフはプールです。更衣室で見た隊長さん達の身体…正直うらやましい限り。

 桜さんもスラッとしててスタイルいいし、背の小さいあたしとは大違い…うぅ、先輩の前に行きたくないぃ……


「何言ってるの由乃ちゃん、うらやましいくらいの膨らみを持ってるじゃない!」


「そ、それは…その…」


「それでフリル付きのかわいいビキニでしょう?それなら悠の奴もイチコロね?」


「そ、そんなつもりはありません!」


 更衣室での女子トークも終わり、いざ出陣。どうしても先輩の視線が気になってしまう。

 海斗くんと先輩で何かボソボソと言い終わったあと、先輩は私の手を握ってスタスタとどこかへ向かう。


 へっ?へっ?何かおかしいところがあった?それとも私の気持ちがバレてて…

 ふと先輩の横顔を見ると、先輩もなんだか照れくさそう。

 お互いどうしていいのか分からず、行き着いた先のプールに入ることに。


「あ、あの~先輩?」


「は、はぐれないようにするためだから!」


「へっ!?」


「手を握ったの、その…はぐれないようにするためだから!」


 いつもは優しい先輩が、照れていた。いつもは見れない先輩の表情にあたしはつい笑ってしまう。


「そういうことなら、しっかり握っていてくださいね?」


 なんだかカップルみたいな瞬間、早く想いを告げたいけど…今日はまだいいよね?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その後の二人はというと…

 微妙な距離感なのは変わらず、でも端から見ればカップルそのものな感じでプールを楽しみ、結局どちらも想いを告げることなくこの日は終わった

お待たせいたしました、試験等忙しい案件があったので更新が滞ってしまいました。


今回はアクアパークでのお話を、一話に二人の視点でお送りさせていただきました。

前の話からすると文字数も少なく、幕間の物語のような感じです

(エンマリ編自体が幕間の物語なのに…)


さて、次回こそは二人の関係に進展があるのでしょうか?


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