序章 運命
彼女に出会ったのは、僕が17歳の時。ACFに入隊して1年が経った春だった。
一航戦所属なのもあって、僕は2年目にして新入隊員の指導員に抜擢されてしまった。
僕の目の前にいるのは女の子、どう見ても戦いに向くような子じゃなかった。
けれど、指導員になった以上僕も努力しなきゃいけない、そう覚悟して向き合った。そこで知ったのは彼女の辛い過去と同じ秘密を抱えているということ。
今になると、これは運命だったんだと思う。
そう、ここで僕は、由乃に出会ったんだから。
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あたしが先輩に出会ったのは、16歳の春。
「黒の日」に全てを失って、一人だけ生き残ったあたしの内に宿る翼のことを知りたい一心でACFに入隊したのだった。
気味悪がられる、そう思ってた。だから担当指導員との顔合わせも半分嫌だった。
けれど、あたしの前に立った男の子は優しく話しかけてくれた。
だから、全てを話した、話した上で向き合おうと思った。
そこで返ってきたのは、あたしを気づかう言葉と、同じ秘密を持っているということだった。
思えば、この時からあたしは先輩のことが気になってた。
ここで先輩に、悠に出会ったのは、多分運命だったんだろう。