ならば、好きだと言おう
好きな人っている?
なんて、君が言うから「君が好きだよ」と答える。
そうして、笑う。言えた喜びを抱いて、クスクス笑うんだ。
きっと、君は勘違いする。からかわれたんだって、僕を責めるんだろう。
でも、そうなっても僕は笑うよ。
だって、君と一緒にいられるんだから。
好きが溢れて止まらない。
君への想いが、僕を埋め尽くす。
だから、伝えたくない気持ちを言葉にする。
笑ってしまえば、君が勘違いするんだ。何も怖くなんてない。
本当にね、不思議なことだ。僕は、
「冗談」なんて、一言も言わなかったのに。
そういう君は、どうなんだい?
なんて、あなたが言うから「目の前にいるわ」って答える。
顔を真っ赤にしたのを見て、「顔が赤いわ」って、笑ってみるの。
あなたは、きっと、勘違いする。私の想いに気づかない。
でも、私はそれでもいい。
だって、あなたが隣で笑ってくれるから。
好きが心を絡め取る。
あなたへの想いが、私を捉えて離さない。
だから、気づかれないようにそっと呟く。
とぼけてしまえば、あなたは忘れる。何も、気にしなくていい。
本当に、不思議な話ね。私は、
「からかい」だなんて、一言も言わなかったのに。
秘めた想いは、溜まるばかり。
出した想いは、膨らむばかり。
溜まった水が溢れるように。
膨らむ風船が割れるように。
愛しい甘さが、欲しくなる。
切ない苦さを、求めるの。
相手に任せて、自分は待つの。
相手に頼んで、自分は願うの。
それじゃあ、二人は結ばれない。
ならば、
ならば、
伝えなければ。
動かなきゃ。
二人は向き合い、見つめ合う。
そして、一緒に口を開いた。
君が
あなたが、
好きだと言った。