犯罪!?えっ、犯罪…?
イースを背負いながらも無事に森抜けた。マジで驚きだわ。ありきたりシリーズ。全く魔物と会わなかったぜ。むしろ、魔物よりイースの寝相の悪さの方が厄介だわ。首絞め、寝言といろいろとやらかしやがって。
「ふぁぁ、ん、なんで私背負われてるの?」
やっと起きたか。もう街に着くぞ。まったく。イースをおろしながらひとり愚痴る。もちろん、表向きは紳士的にポーカーフェース。心のなかでは文句たれながしさ。
「イース、覚えてないの?あなたはリトルゴブリンに襲われたときにかなりの深手を負ったのよ。それで、そこにいる良太さんが治療してくれたの。」
イース、固まる。
「エルミル…。あなた…。」
あぁ、これはまた誤解されてそうだな。報酬は情報と伝えてやるか。
「イースさん、はじめまして。良太と申します。報酬については、エルミルにも伝えましたが街の常識と安い宿屋などです。今は何よりも情報が欲しいものでして。」
「そんなんでいいの?こちらとしては助かるからありがたいけど。」
よし、これで大丈夫かな。それにしても、エルミルが震えてるんだがなぜだろう?
「エルミル?」
「報酬はちゃんと払います!」
むっ、なぜエルミルが納得しないんだ。いい加減納得してもいい頃だと思うんだが。なんか、イースも驚いているし。
「エルミル、俺としては納得してもらいたいんだが。」
とりあえず、説得してみるか。ダメだったら必殺技を使うしかないかな。
「エルミル、良太だってそれでいいって言ってる訳だしさ…。ここは甘えさせてもらおうよ。」
「だって、あの時はイースが死んじゃうんじゃないかって、助けられないんじゃないかって怖かった。だから、良太さんに助けてもらって本当に嬉しかったんです。だから、できる限りのお礼がしたいんです。」
泣きそうなエルミル。
「ありがとう…。」
イースも泣きそうじゃないか。
それにしても律儀すぎるぜエルミル。やはり、必殺技を使わざるをえないな。くらえ!
「エルミル、わかった。一つ貸しにしておく。いつか必ず返してくれ。今はあれ以上の望みはないんだ。」
【必殺 先延ばし】
大きくなったらね。とか、いつかね。とか曖昧な表現は先延ばしにするために必須なスキルだと思う。とりわけ日本人はこういった言い回しが多い気がする。
「はい!わかりました!何かあったら必ず言ってください!必ずですからね!」
「あぁ、もちろんだ。さて、イースも起きたし早く街に向かおう。」
向かいながら安い宿屋、街のルール、ギルドの事など情報収集していく。気がつけば街を囲うように建つ高い壁が見え大きな門のところまで来ていた。
「街に入るには身分証は必要なのか?あと、通行税とかあるのか?」
身分証の発行と通行税、後はギルドに登録したいし手数料も気になるな。まぁ今までの感じだとこの所持金でどうにかなるんだろうけど。
「はい。身分証の提示と初めての方は通行税がかかります。」
だよねー。さて、問題はそもそも身分証を発行できるかだな。
「エルミル、身分証を持っていないんだけど、関所で発行はできるのかな?」
エルミルに確認しているとイースが不思議な発言をしている。
「あれ、武装兵が出てきた。」
えっ、武装兵…?まぁ、関所だし当然武装はしてるよな。せっかくだし、兵隊さんに聞くか。
「あの、「「あなたを逮捕します!!」」えっ」
囲まれ槍や剣を向けられ告げられたのは、逮捕するということのみ。
なん、だと…。
おい、逮捕とかないわー。
武器向けるとかないわー。
でも、無実を証明できないわー。
ねぇ、詰んだ?これ詰んだ?
なぜだ!神よ!