俺はF◯派だ。
街を目指しで2時間今だに着かない。そして目の前に広がるのは森。それも深い森だ。
「マップ見た感じをここを突破すれば街はもうすぐなんだけどなぁ。」
装備をもう一度確認する。何度見ても武器が無い。さっきまでは草原だったため視界的にも警戒しやすかったが、森の中ではそうはいかない。武器もなく戦闘行為なんてできやしない。俺は臆病なのだ。喧嘩だってあまりしたことがないほどに。
「どうしよう…。攻撃手段が素手とか無理っしょ。」
迂回したいが、マップ的に難しそうだ。実際に歩いた感じ迂回すると間違いなく1日以上かかる。野宿なんて無理だし、夜とか怖すぎる。つまり、この森を突破するしか無いのだがどうしたものか。
「木の棒と石でいけるかな…。」
周りを見渡せばそこそこの長さの木の枝と野球ボールよりもちょっと小さな石ころがそれなりにある。石を投げ木の棒でぶん殴る。残念な戦い方だがしょうがない。アイテムボックスもあるし、球数はある程度揃えられるしいけるかな。
「よし!いざ森へ!」
木の棒で先を突きつつ警戒しながら進んでいく。
「まるで樹海だな。」
見たこともない植物に色鮮やかなキノコ。その上馬鹿でかい花まで咲いている。
そんな景色を見ながら森の中ほどにたどり着くと、正面から音が近づいてくる。
「えっ、どうしよう!?」
隠れる!?それとも迎え撃つ!?どうする?
そうこう悩んでいるうちに音は容赦なく近づいてきて、気がつくと目の前の茂みが揺れ人を背負った女性が出てきた。よく見ると背負われている人は怪我をしているようだ。女性は背負った人を下ろしながら声をかけてきた。
「治癒士の方ですかっ?お願いです仲間を治療してください!お礼は出来る限りいたします!」
治癒士ってのがなんなのかは想像がつくけど、今はそんなくだらない問答をしている場合じゃなさそうだ。とにかく、血や泥なんかで彼女だか彼だかわからない方の治療をしないと。
「話は後で。とにかく治癒魔法を使います。」
この世界の魔法はゲームのように決まった呪文がない。そのため各個人で魔法名が違う。だから自身でイメージを固めテンプレートを作っていかなくてはならないのだ。
「ケアル!」
そう俺はF◯派だ。決してファ◯ファ◯派ではない。ましてやドラ◯エ派でもない。
「一回では足りないか、もういっちょケアル!」
ふむ、顔色はだいぶ良くなったかな。とりあえず怪我人が目を覚ましたら事情を聞かないとな。もしかしたらやばい魔物がいるかもしれんし、それに見た感じ2人とも冒険者っぽいし戦力ゲットと行きたいぜ。
お礼はできる限りしてくれるとな
ふむ、戦力になってもらうか。
もしくは…。