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ぱらぱらと夢物語  作者: きいまき
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模型から開通へ

 魔力の訓練よりも、研究所に紛れ、魔動車と格闘する事が、メインになっていた、キサ13歳を迎える年。

 キサはキクスお兄様から、中等学園に入寮しないかと言われました。


 一般教養を既にキサが取得済みなのは、キクスお兄様もご存じのはずです。

 一体、中等学園で何を学ぶというのでしょうか?


 しかも寮?

 キサの頭の中で沸いたのは、疑問でした。


 同じ都市内にあるのだから、毎日馬車を使えば、屋敷から中等学園は十分通える距離にあります。


 キクスお兄様はもうキサを好きでなくなったのだろうか?

 もう顔を見るのもイヤになって、キサを屋敷から追い出そうとしているのだろうか?

 と、悪い方、暗い方へと、キサの思考は走って行ってしまいます。


 キサは悲しくなって、その気持ちを閉じ込めておく事も出来なくて、癇癪を起こしてしまいました。

 久々の大癇癪。

 どうしても、止められませんでした。


 屋敷に大きな損傷を出したキサに、ソレらからキツイ視線が飛んできます。

 それよりキサにとって痛かったのは、キクスお兄様の一言です。


「そんなに嫌だったんだね。ごめんよ」

 何故、キサを中等学園に入れたかったのかは一言もなく、謝りながら、優しくキクスお兄様はキサの頭を撫でてくれます。


 キサの気持ちを、第一に考えてくれるキクスお兄様……。


 暴走などしなければ良かった。

 そして今度話があったら、我が儘を言わないようにしようと、キサは心の中で誓います。




 その後。

 入寮はともかく、中等学園へ行ってみれば良かったかなと、1度だけキサは思った事があります。


 キサと同い年の新入生2人が、寮全体を魔力吸収限界状態に陥らせたのです。

 魔力を大暴走させて、家屋などを部分的に、吸収限界状態にして壊したりは、キサも毎年やらかしたりしているのですが、建物全体をそんな状態にするとは、一体どれだけの魔力だったのやら。


 ウーノの街の仕組みとして、余剰魔力を吸収し、エネルギーに変換しているのですが、その寮の1件で、街全体のエネルギーバランスが異常に上がり、おかげで既に魔動車へ繋がっていた動力源も、あわや使い物にならなくなるところでした。


 その時は、魔動車がエネルギー過多で故障しない様に、流れて来た魔力を無に帰そうと、ソレらと共にキサは必死になりました。



 キサの同い年で、建物全体をその状態に出来そうな心当たりは1人、マサウ。

 一応マサウがウーノ一族だからなのか、わざわざキクスお兄様が事態の収拾を図るため、その寮にまで出向きました。


 もう1人は、キサと同性だったといいます。


 もし中等学園に通っていたならば、2人ともキサと同学年。

 マサウとは絶対に相容れませんが、もう1人に会ったなら、どうだっただろうかと、キサはてんやわんやが落ち着いてから思いました。




 まあ、てんやわんやが落ち着くまで、色々とやりました。


 絶対に過剰な魔力が、魔動車には流れないような仕組みを作り。

 万が一、送動力が不能という事態が発生しても大丈夫なように、魔動車自体にバッテリーを搭載し。

 それによって最悪でも、最寄り駅までは運転続行を可能にしました。


 魔動車が走る事で、自然と作られるエネルギーも、発車時の動力や、照明・空調に使用しています。


 という具合に見事、寮の1件も動力源を進化させる踏み台にしました。



 いつの間にか魔動車の企画は、研究所には収まり切らず、ウーノ一族の交通部に魔動車部門が作られ、運営を取り仕切り、研究から実用化へと進んでいきます。


 領主が先頭に立ち、音頭を取っている、魔動車が走る為に敷設された路線。

 略して、領線といつしか呼ばれ始めました。


 やがて東西南北へ向かう1号・2号・3号・4号線と、学園都市を囲む環状線が開通し、必要・重要性の高い場所に、次々と領線が引かれていったのでした。





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