非日常1
日常と非日常の境界線はどこにあるのだろうか。
そして。
朝、昨日の澪の言いつけを守り、例の、悪夢としかいいようのない、でも、断言出来ない石の剣のピアスを付ける。
何も起こらない。それはぴったりと僕の耳におさまり、そして僕の長い髪は程よくそれを隠してる。澪の言ったとおりだ。これならバレない。
「おい。」
ぱちん、と、そのピアスを弾く。
「むこーの世界に連れて行ってくれよ。」
鏡には僕が見える。そこには今までとかわらない、平凡な僕が居る。
「あるいは。」
その鏡の中の僕が、僕にあわせてにんまりと笑いながら、
「むこーの世界なんか全部嘘でしたぁーって、言ってくれよ。」
と言う。
弾かれた石の剣はすぐ元に戻り静寂を示す。僕はにんまりとした笑みを戻した。石の剣は、そのどちらも言わなかった。
まぁピアスにしゃべられてもそれはそれでリアクションに困るんだけど・・・。
「あらー♪似合ってるじゃん!うん!すごくいい!」
学校につくと澪が、僕がピアスを付けてきたことを確認して感想を述べてきた。
「ありがとう。」
ここは素直にお礼を言っておく。
そんな他愛もない会話から今日も一日が始まる。 といっても、今日の学校はみごとになにも無かった。
例の悪夢も見なかったし、ピアスもばれなかったし、宿題も忘れずに提出した。
ただ一つ、気になったこと。
ラールは今日、風邪で休みだった。
少しさみしげな隣の席は不穏な空気が漂っている気がした。
そして、放課後・・・。今日は、澪の誘いもなく、部活もなく、家に帰ることにした。
でも、家に帰ってもやることがないなぁ・・・。ま、いっか。とか、考えながら、
アイチは家に帰ることにした。なにか、後ろに不吉なもの?を感じながら・・・。